2015年に国連サミットで採択された2030年までの持続可能な開発目標（Sustainable Development Goals : SDGs）を達成するためには，より一層のSDGsへの取り組みが日本企業には求められている。これを加速させるためには，SDGsに取り組む企業の進捗等を確認できるシステムを構築する必要があると考え，本研究では，先進的な企業での調査に基づいて「認証」制度の新たなモデルとなるような網羅的・定量的な調査票を作成し，横浜市の中小企業3社を対象にSDGsの取り組みに関するアンケート調査を実施した。調査票の結果から，これらの企業の共通点，そしてSDGs達成に向けた取り組みの改善点が明らかとなった。またSDGsに取り組む企業が社会的に高く評価されるよう，アンケート調査票の内容の充実を図るべきである。加えて，サステナブルな経営戦略や社外へのSDGsの取り組みの情報発信の可能性についても検討が必要であることが調査結果から分かった。

生物多様性地域戦略は，地方公共団体における生物多様性の保全及び持続可能な利用の推進，そして生物多様性の主流化を進めるために極めて重要な計画といえる。しかしながら，基礎自治体における生物多様性地域戦略の策定は，大きく進んでいるとは言い難い。そこで本稿では，基礎自治体が生物多様性地域戦略を策定する際の参考情報となるよう，既存文献や先行研究のレビューを行い，地域戦略の策定プロセスに着目した解説を行った。地域戦略の策定プロセスにおいては様々な考え方や手法があるため，それぞれの基礎自治体の素地や条件に応じて，最適なものを採用して地域戦略を策定・改定し，徐々に生物多様性施策を改善していくことが有効と考えられる。