毛包にある幹細胞は特殊な 3D コラーゲン(17 型コラーゲン:COL17)を作り出し、これを接着剤のように使って毛包内壁に留まりながら、そこで毛の元となる毛母細胞を生み出している。一般に加齢に伴いCOL17の産生量は減少し、幹細胞の毛包内壁への接着が脆弱になるので、幹細胞の毛包から毛穴外への離脱が進行するので、毛母細胞の供給ができなくなり、その結果、薄毛が進行していくことになる。 この進行を抑えるには毛包幹細胞に対し自らCOL17を産生させうる新たな刺激(有用成分)を与える(供給する)必要がある。 この記事ではPLGA ナノ粒子の優れた毛穴浸透性と各種細胞内への成分送達性を活かし、頭皮から毛包幹細胞へCOL17産生促進成分であるクロロゲン酸を効率よく供給しうるキャリア粒子として(育毛剤)利用を想定し、in vitroにおいてCOL17の産生が促進されることとヒトモニター試験により毛包幹細胞の活性が認められたことを報告している。
乾式微粉砕機として広く用いられているジェットミルはターゲット型、スパイラル型、流動層型などに分類されますが、これらの中で流動層型のカウンタージェットミルでは,主に粉体原料同士による衝突で微細化されるため、装置の摩耗や原料への不純物の混入が少ないものの、ジェットミルはエネルギー効率が低いのが難点となっています。この記事では、この問題を解決する手段の 1 つとして高温ガスを用いる方法について解説し,その粉砕効率向上の原因について説明し、実際の実験データも紹介しています。
粉体処理システムにおいて、粉体の粒子径分布を把握することは非常に重要ですが、これまではもっぱらサンプリングによる回分的な測定が行われていました。一方、近年の粉体処理システムの生産管理の高度化や自動化、IoT化などにおいて、粒子径分布のオンライン測定へのニーズがますます高まっています。この記事では、オンライン粒子径分布測定機オプティサイザⓇシリーズを用いた粉体処理システムを紹介し、粒子径分布のオンライン測定について注意すべき点や、フィードバック制御、リモートモニタリングシステムへの応用等について解説しています。
かさ高い微粉材料のハンドリング性の向上や減容化などのために、回転する2本のロール間で粉体を圧縮成形する乾式のロール型圧縮造粒機への関心が高まっていますが、この記事では、ホソカワミクロンの乾式造粒用ロール型圧縮造粒機の概要,原理,構造を紹介すると共に、この2本のロール回転数に差を持たせ、ロール表面に速度差をつけて剪断力を高めた「せん断型ブリケットマシン」の開発とその納入例、ならびに大型機へのスケールアップの実績について紹介しています。
近年、3Dプリンタによる造形技術が急激な進歩を遂げ、より広く使われるようになってきていますが、金属粉体を使った選択的レーザー溶融による積層造形法では、その金属粉体の粒子の大きさと形状についての要求がますます厳しくなっています。通常これらの金属粉体は、ガスアトマイズ法で製造されますが、ある程度粒子径分布が幅を持っています。この記事では、積層造形法の高度化を狙って、この金属粉体を1台の分級機で、粒子径分布の上端と下端をカットして、微細でシャープな分布を持つ製品を得ることができる超微粉分級機とそのシステムについて紹介しています。
LIB二次電池の負極材料としては、天然黒鉛粉末が広く用いられており、粒子の球状化が電池のエネルギー密度を向上させるためのポイントの一つであることが知られています。ホソカワミクロングループは、天然黒鉛を球形化するための装置とプロセスを提供していますが、一般的な球形化メカニズムではこの現象を十分に説明できません。この記事では、新しい現象モデルを紹介し、球状化装置とその動作メカニズムの歴史とともに説明しています。
今日、IoT技術は、第4次産業革命またはインダストリー4.0をキーワードに、さまざまな産業分野で大きな注目を集めています。この記事では、粉体処理システムのニーズを満たすためのトータルIIoTサービスとしてHOSOKAWAGEN4®を紹介しています。インラインセンサーで稼働データや製品データを収集し、機械学習により分析することで、工程の生産性向上に貢献しています。本稿では、HOSOKAWAGEN4®を適用した粉体処理システムの実例を紹介し、機械学習を利用して最適な運転条件を提案しています。
近年、様々な機能性化粧品が発売されています。この記事では、ナノDDS(ドラッグデリバリーシステム)のコンセプトに基づいた一連の特殊化粧品を扱い、生分解性ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)を使用して、有効成分の皮膚や毛穴への浸透を改善しています。PLGAナノ粒子には、角質層と毛穴への透過性、およびカプセル化された有効成分の徐放という特性があります。この記事では、にきびやその他の皮膚の問題、発毛、まつげのアプリケーションにPLGAナノ粒子を使用する効果について説明しています。
機能性材料の創製と性能向上を目的として、機械式粒子合成機は、異種材料の合成と単一材料の加工により粒子の物理的、化学的、電気的、光学的性質を変化させることで重要な役割を果たしてきました。この記事では、これらの機械式粒子合成機は、有用な粒子設計ツールとしてさまざまな分野で100人を超えるユーザーによって使用されていると報告されています。これらの機械の特徴の1つは、機械的エネルギーが個々の粉体粒子に効果的に適用されることです。この記事では、マシンの移行と将来の展望について説明しています。
この記事では、IntelliSizer®と呼ばれるインプロセス粒子サイザーを紹介しています。これは、粉体処理ラインでの粒子径分布の効率的で信頼性の高い測定のために設計されています。バックグラウンドレベルとデータエラーを自動的に評価し、現場でのオペレーターの介入を最小限に抑えることができます。この装置は、粒子径分布の測定結果を使用して、機械の動作条件を自動的に最適化することを可能にします。粒子径分布の測定結果はオフライン測定とほぼ同じで、長時間の運転でも安定して測定できます。
現在黎明期を迎えている第4次産業革命は、インターネットの進歩と産業的な応用がクラウドで支援される確固たるプラットフォームの開発、ならびにオンラインシステムを使った社会的活動の増加によって実現されてきた。本稿では、これらのシステムの展開を可能にするアーキテクチャー、ならびに粉粒体産業で利用することができる応用事例、いくつかのデータマイニングの実例、遠隔計測、閉回路人工知能制御について述べている。
エネルギー分野や電子材料分野に代表される各種製品の高機能化や省エネルギー化、小型化などに伴い、粉体処理技術分野においても、より細かい粒子や均一な粒子径分布、あるいは粉体自体の高機能化に対する要求が年々増してきている。本稿では、このような市場の要求に対応すべく、最近我々が開発した粉砕機や分級機などの新型装置の特徴や原理等について、粉体単位操作別に紹介する。
乾燥による小ジワの予防・改善する一般的な方法は、ヒアルロン酸などの保湿成分を皮膚表面に吸着させ,そこに水分を留めて皮膚の乾燥を防ぐものである。しかし,ヒアルロン酸は親水性であり,脂分の多い皮膚(角質層)表面には長時間滞留できず、また、その分子サイズが角質細胞間隙に比べて非常に大きくなるので角質層内部への浸透も起りにくい。 一方、生体適合性・生分解性の乳酸・グリコール酸共重合体PLGAナノ粒子は表面が両親媒性であり、顔面上で挙動する ので,角質層や毛穴・シワ内部への浸透性に優れたDDSキャリアとして応用できる。そこで、ヒアルロン酸に本技術を適用して,これまで角質層表層にのみ形成されていたヒアルロン酸の保湿帯を角質層深部まで拡張することにより新発想の保湿効果が体感できるようになった。本報は本保湿効果,抗シワ効果の検証結果について紹介している。
最近の労働安全衛生法の改正を受けて,労働災害防止,作業者保護に対する意識が一段と高まってきているが、粉体を扱う現場では、粉じんが飛散する厳しい環境が依然として多いのが現実である。粉体の性状が多岐に渡る事から環境改善が有効に機能していない状況が多くみられ,さらなる環境改善を要望するケースが増えている。本稿ではワンランク上の環境改善を目指し,規制の整理,把握と粉体製造現場にマッチした封じ込め技術の実績,関連機器が紹介されている。
ピコラインは少量のサンプルを用いて粉体処理テストを行うための卓上ラボ機として開発された装置である。1台のプラットフォームに各種モジュールを取り付けることで粉砕・分級・混合・粒子設計のような様々な粉体処理が可能である。運転条件, 測定データ等の情報は正面のタッチパネルに表示され, 同時に内部メモリへ保存される。保存された各種データは運転後に容易にPC等へ取り出すことが出来る。ピコラインは要望に応じて、セラミック仕様・コンテインメント仕様も対応可能であり、医薬分野の超粉砕テストなどに多く使用されている。ピコラインで得られる粉砕サンプルの粒子径は同じシリーズのスケールアップ機種において達成可能である。
ホソカワミクロン株式会社の創業100周年記念事業・行事として、2014年末から2016年にかけて、記念ロゴマークとスローガンの制定、永宝社の改修と本殿還座祭、創業記念式典、感謝の集いならびに東西での社員向け祝賀パーティが実施されました。
ホソカワ粉体工学振興財団は、国内での研究助成以外に、毎年粉体工学に関する講演討論会を開催すると共に、粉体工学に関連した論文を掲載した英文学術誌KONA Powder and Particle Journal を出版し、世界に無料で配信していますが、本年設立25周年を迎え、KONA賞の国際化、KONA誌のさらなる充実化、国際シンポジウムの開催などにより世界に向けてさらなる飛躍を目指しています。
ホソカワ粉体工学振興財団の設立25周年記念特別事業の一環として、第2回国際ホソカワ粉体工学シンポジウムが2017年11月4日に米国ニュージャージー州サミットにあるホソカワミクロンパウダーシステムズ(HMPS)のテストセンターで開催されました。今回のシンポジウムは「粉粒体の特性評価とプロセッシングにおける挑戦と展開の可能性」をテーマとして4件の講演が行われ、100名近くの参加者がありました。