大分県理学療法学
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  • 後ろ向きコホート研究による検討
    佐藤 一樹, 河上 淳一, 宮崎 大地, 里 優, 小野 日菜乃, 中村 久美子, 笠松 遥, 東 春華, 釘宮 基泰
    2024 年17 巻 p. 1-7
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】 本研究の目的は膝 OA 患者の理学療法介入期間と医療提供者因子の関係を検討すること である . 【方 法】 対象は外来膝 OA 患者 320 名とした.介入期間は先行研究を参考に 4 週未満群,4-12 週群,12 週以上群の 3 群に分けた.目的変数を理学療法介入期間,説明変数を年齢,性 別,PCS,KL 分類,理学療法士の経験年数,担当理学療法士の介入者人数とし各因子を 統計にて確認した.統計手法はχ 検定と残差分析,Steel-dwass 法を用い,有意水準は 5% と定めた. 【結 果】 介入期間 12 週以上群は KL 分類Ⅰが有意に少なく,介入期間 12 週以上群は介入期間 4 週未満群より介入人数が有意に多かった. 【結 語】 膝 OA 患者の理学療法では介入人数を検討する必要性が示唆された.
  • 辛嶋 良介, 谷 侑汰, 川嶌 眞人
    2024 年17 巻 p. 8-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目的】 仙腸関節障害に対する swing-石黒法の治療効果を検討した. 【対象と方法】 対象は6名(うち男性1名),平均年齢42.5歳(29-61歳)であった.開始時と 終診時に日本整形外科学会腰痛疾患質問票(以下,JOABPEQ)と腰痛,殿部の痛み,痺れの visual analogue scale(以下,VAS),仙腸関節スコアについて評価した. Swing- 石黒法は,原著者の報告に準じて実施した. 【結果】 開始時 JOABPEQ の中央値は,疼痛37.5 点,腰椎機能50.0点,歩行機能75.0点,社会生活54.1 点,心理56.3点,VASの平均値は,腰痛47.7mm,殿部下肢痛62.5mm,痺れ25.1mm,仙腸関節スコアは平均6.5点であった. 経過は,2名が即時に症状軽快して再来院がなかった.4名66.7%に対して終診時に再度評価が行えた.JOABPEQで20点以上の改善を疼痛,腰椎機能にそれぞれ2名に認め,VAS の平均値は腰痛 21.8mm,殿部下肢痛12.0mm,痺れ 20.0mm,仙腸関節スコアは平均1.8 点へと改善した. 【結語】仙腸関節障害に対するswing- 石黒法は,簡便な手技で即時効果も得られる有用な手技である.
  • 松木 宏多朗, 皆田 渉平, 平松 亮太朗, 石井 寛海, 安部 優樹, 今岡 信介
    2024 年17 巻 p. 15-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】 当院での腹部大動脈瘤(以下;AAA)術後患者のリハビリテーション(以下;リハ)進 行状況と身体機能の変化を明らかにすること. 【対 象】 2020 年 10 月から 2022 年 12 月までに AAA に対して待機的人工血管置換術を施行し た患者 13 例. 【方 法】 調査項目は,基本情報として年齢,性別,身長,体重,Body Mass Index(以下; BMI).術後経過として集中治療室(以下;ICU)在室日数,在院日数,術後リハ経過 として術後端座位開始日数,術後起立開始日数,術後歩行開始日数,100m 歩行自立日数, 術後経口摂取開始日数を後方視的に調査した.身体機能検査として握力検査,Short Physical Performance Battery(以下:SPPB)を後方視的に調査した. 【結 果】 リハ進行状況は,術後歩行開始日数 1.0 日(1.0-2.0),術後経口摂取開始日数 2.8 ± 0.9 日,100m 歩行自立日数 4.0 日(4.0-8.8)であった.身体機能の変化は,術前後で有 意差を認める項目はなかった. 【結 語】 術後早期離床や早期経口摂取の開始,術後合併症の有無がリハ進行に影響を与えた可能 性がある.
  • 田﨑 拳哉, 武田 真樹
    2024 年17 巻 p. 21-27
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】 脳性麻痺児者における電動車いす処方の関連因子を明らかにすることを目的とした. 【対 象】 電動車いすを処方されている者(以下,処方あり群)17 名と,練習はしているが処方されていない者(以下,処方なし群)11 名の脳性麻痺児者 28 名を対象とした. 【方 法】 出生時体重,在胎週数,GMFCS,MACS,CFCS,言語使用の有無を調査し,統計にて群間比較した. 【結 果】 出生時体重(p<0.01),在胎週数(p<0.04),GMFCS(p<0.001),MACS(p<0.003), CFCS(p<0.001),言語使用の有無(p<0.001)に有意差を認め,処方なし群は処方あ り群に比べ出生時期が正期産に近く,GMFCS,MACS,CFCS レベルが低く,言語を使 用している者は少ない傾向にあった. 【結 語】 脳性麻痺児者と電動車いす処方との関連因子として,出生時体重,在胎週数,GMFCS, MACS,CFCS,言語使用の有無が関連していることが示唆された.
  • Cumulated Ambulation Score(CAS)を用いて
    竹本 麟, 高橋 礼奈, 安藤 真次, 竹村 仁
    2024 年17 巻 p. 28-33
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目   的】 CAS を用いて退院時の自力歩行獲得におけるカットオフ値と必要な評価期間を検討 すること. 【対象と方法】大腿骨近位部骨折を受傷し当院で手術及びリハビリテーションを実施した 33 名を 対象とした.基本情報に加えて,Hb値,Ab値,MMSE,手術待機期間を調査した.また,術後7日間CASを測定し,術後3,5,7日間の累計得点をそれぞれ3,5,7-daysCASとした.退院時における歩行能力として,介助群と自力群に分類し比較を行った.3,5,7-daysCAS のスコアを説明変数,退院時における歩行時の介助の 有無を目的変数として ROC 曲線を作成しカットオフ値を算出した. 【結果】介助群12名,自力群21名となった.2群間においてMMSEと3,5,7-daysCAS に有意な差を認め,退院時の自力歩行を獲得可能なカットオフ値は,3-daysCAS は 6 点,5-daysCAS は 12 点,7-daysCASは18点となった. 【結語】 CAS は大腿骨近位部骨折術後 3 日目と早期から歩行予後予測ができる有用な指標と なることが示唆された.
  • 朝木 茉耶, 平松 亮太朗, 皆田 渉平, 今岡 信介
    2024 年17 巻 p. 34-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】 化膿性膝関節炎に対する治療方法に関連する報告はあるが,治療後の理学療法経過およ び術後の身体機能の経過に関する報告は極めて少ない.本研究の目的は,重複障害を有する化膿性膝関節炎術後症例の経過について考察を加え報告することである. 【対 象】 当院に入院し,左化膿性膝関節炎に対して手術された 73 歳の女性. 【方 法】 術後に疼痛が強く,離床が遅延した結果,心不全を併発し歩行開始までに期間を要した.術後経過を膝関節の疼痛管理,心不全の重症化予防,離床開始期に分けて各病期に応じ た介入を行った. 【結 果】 ベッド上安静の状態から術後 82 日目で基本動作の起居動作・起立動作は中等度介助,移乗動作は 1 人全介助,歩行器での短距離歩行は軽介助で可能となった. 【結 語】 重複障害を有する化膿性膝関節炎術後症例では,膝関節局所だけでなく,検査データや 身体所見などの全身状態を把握した理学療法介入を行う必要がある.
  • 谷 侑汰, 辛嶋 良介, 川嶌 眞之, 川嶌 眞人
    2024 年17 巻 p. 42-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】 偽性麻痺肩に対する保存療法にて,病態や病期を勘案した理学療法が奏功し,挙 上動作の改善に至った一例について報告する. 【対 象】対象は 77 歳男性,転倒後より右肩関節周囲の疼痛と腫脹が出現,他動可動域で は制限を認めないが,自動挙上が 10°と偽性麻痺肩を呈したことで保存療法が開 始となった.初期評価より元来腱板筋機能が破綻していたことが示唆され,三角 筋機能や肩甲骨運動の代償を用いた挙上動作戦略を用いていたと推察した. 【理学療法と経過】 患部の状態を考慮して治療方法を検討し,疼痛発生の主因を推察した.肩峰部へ の過負荷を避けながら早期より三角筋や肩甲骨周囲筋機能の改善に努めた結果, 理学療法開始より 3 ヶ月後に自動挙上が 130°へと改善した. 【結 語】 外傷を契機に偽性麻痺肩を呈した症例に対し,評価し得た所見から受傷前の挙上 動作戦略を推察し,病期に応じた治療を実施したことで良好な結果に至った.
  • 研修・教育ラダーの実際
    中川 慎也, 畑中 哲志, 浅倉 秀剛, 黒木 洋美
    2024 年17 巻 p. 48-52
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】 セラピストによる喀痰等の吸引実施において,当院では院内認定制度として確立し,令和 4 年 3 月より吸引実施が開始となっている.当院で作成した吸引研修及び教育ラダーに ついて報告する. 【方 法】 吸引手技習得の教育ラダーとして,専門知識や経験年数に応じて口腔・咽頭部の吸引が 可能な初級コースと,鼻腔吸引及び人工気道からの吸引が可能な上級コースに分類した. 吸引研修プログラムは,当院看護部使用の吸引手技の手順表及び,厚生労働省の「喀痰 吸引等研修テキスト(第 3 号研修)」を参考に到達度の評価を行なった. 【結 果】 初年度は PT2 名,ST4 名が初級コースを約 4 か月かけて修了した.修了者は「吸引」認 定章バッチを名札に装着し,院内周知,実施時のリスク管理を図っている.令和 5 年 3 月時点では,吸引手技に係る有害事象やトラブルの発生はない. 【結 論】 今回我々が作成した研修プログラム及び教育ラダーは当院療法士の吸引実施を可能とし たが,今後も知識・技術の変化などに応じて,更なる改定・改善することが必要と考える.
  • 理学療法士養成課程を有する専門学校における取り組み
    武田 知樹, 大嶋 崇, 佐藤 圭子, 大野 智之, 岡部 陽介, 分藤 英樹, 荒巻 華子
    2024 年17 巻 p. 53-60
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/16
    ジャーナル フリー
    【目 的】効果的な履修や学習方法について習熟を図るという目的で,「学習方法論」という科目を設定した.本研究では,この科目に関する取り組みについて報告する. 【方 法】対象は,専門学校の学生(理学療法士科 1 年生)35 名であった.「学習方法論」では,チュー ター役として上級生 1 名を各グループに配置した学年縦断的なチュートリアル教育により 対象学生の学習支援を行った. 【結 果】学習に対する意識の変化については,対象者の 85.7%の者が「あった」と回答した. また,学習に対する実際の行動変化については,学内で 85.7%,学外で 74.3%の者がそ れぞれ「変わった」と回答していた. 一方,自己学習時間は,「学習方法論」受講前平均 1.4 時間に対し,受講後平均 3.0 時間 と約 2 倍に増加していた(Paired t-test,p<0.01). 【結 語】 多くの学生において学習に対する意識や行動の変化が認められた一方で,十分な行動変 容に結びつかない学生も 1 ~ 2 割いることが確認された.
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