理学療法とちぎ
Online ISSN : 2434-2300
Print ISSN : 2186-4861
1 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
発刊に寄せて
症例報告
  • ~認知過程へのアプローチを通して~
    及川 翼
    2011 年 1 巻 1 号 p. 03-05
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    当施設に長期入所している歩行困難な入所者に対して,麻痺側下肢と環境との相互作用,歩行時の麻痺側下肢の支持性向上を目的として認知課題を実施した.認知課題は麻痺側下肢への注意向け,麻痺側下肢へのスポンジ課題・接触課題を実施した.結果治療開始6 ヶ月後には「左足で立てるようになった」という言葉が聞かれるようになり,7 ヶ月後には平行棒内片道だが,独力で歩行可能となった.このような知覚認知課題を継続的に行ったことで,認知過程の活性化され,歩行動作の獲得につながった.脳の神経システムの可塑性を学習過程と解釈し,病的状態からの回復を学習と捉えるならば,慢性期・維持期における症例においても認知過程へのアプローチを取り入れることは有用であると考える.

  • 小原 裕次
    2011 年 1 巻 1 号 p. 07-08
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    今回,胡座姿勢保持で胸背部痛が増強する症例を経験した.本症例は股関節後面のstiffnessが強く,股関節屈曲+外旋可動域が制限されており,胡座姿勢時に骨盤後傾が大きいため,姿勢保持に脊柱起立筋を過用しているものと考えた.股関節後面のstiffness を改善すると即座に胸背部痛が軽減されたため,股関節後面筋と胸背部の筋の緊張は関係性があるのではないかと推測する.また本症例において股関節後面の筋にstiffness が生じることは歩容が関係していた.立脚後期で股関節外旋が強く,いわゆる“がに股歩き”のようである.股関節内旋位の伸展運動を再構築することで胸背部痛の消失,効果の持続が得られた.

  • 斉藤 嵩
    2011 年 1 巻 1 号 p. 09-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    日本で起こる変形性股関節症の80 ~ 90%は二次的に起こる変形性関節症である.今回の症例は変形性股関節症と診断され,歩行時に痛みを訴える症例である.今回着目している点は姿勢制御戦略と股関節の安定化である.股関節制御,足関節制御がNasher らによって言われ,知られているが,股関節の機能が破綻した状態ではどのように制御行うかを考えた.また,股関節の安定化は臼蓋と骨頭の適合性が重要であった.適合性を高めるの必要なのは大気圧と関節腔内の陰圧関係,靭帯,関節唇の作用,筋肉の作用であり,特に理学療法士としてコントロールできる筋にアプローチした結果,歩行時痛の軽減に至った症例であった.

  • ~仮説と検証~
    福野 博人
    2011 年 1 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    胸郭の運動は肋椎関節などの後方組織だけでなく,前方組織である胸骨や肋軟骨に関しても考慮する必要がある.今回は矢状面から前方組織に関して仮説,検証,考察を行った.検証には胸郭拡張差を用いて,胸骨の前方回転を誘導し,その前後で比較した.その結果,強い誘導を使わずとも,胸郭拡張差が拡大する傾向が見られたため,胸郭前方組織の胸郭拡張差に与える影響を,臨床上観察する必要性が感じられた.

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