理学療法とちぎ
Online ISSN : 2434-2300
Print ISSN : 2186-4861
7 巻, 1 号
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原 著
  • 坂口 裕介, 佐野 陽
    2017 年 7 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]温泉水中運動が各関節の筋力,持久力,柔軟性に与える効果と効果の出現する介入期間を明らかにすることである.[対象と方法]健常男性を対象に,温泉水中運動を30 日間実施した.介入前,介入開始10 日後,20 日後,30 日後に下肢の各筋力,6 分間歩行距離と長座位体前屈を測定した.[結果]股関節の筋力と6 分間歩行距離は10 日後,膝関節伸展と足関節底屈の筋力と長座位体前屈は20 日後,膝関節屈曲と足関節背屈の筋力は30 日後に有意に向上した.[考察]粘性抵抗の負荷量や温泉の温熱作用が結果に影響を与えた.[結論]温泉水中運動は各筋力,持久力,柔軟性を向上させ,各指標で有意に向上する介入期間が異なった.

  • ―廃用症候群患者の起居移乗動作能力に最も関連がある項目の検討―
    五月女 宗史, 竹沢 友康
    2017 年 7 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]起居・移乗動作簡易評価スケールを考案し,移乗動作関連項目を検討した.[対象と方法]廃用症候群患者30名をFIM移乗5点以上,4点以下群に分類し,Mann-Whitney検定で分析.スケールと移乗結果をSpearmanの順位相関係数にて相関分析.スケール選択項目を独立変数としロジスティック回帰分析,5点以上群動作能力の独立変数の影響度,臥位項目からロジスティック回帰分析実施.[結果]スケールと移乗結果に相関有り,全項目は体幹前後傾,臥位項目はOn elbowが有意.[考察]全項目は体幹の可動・固定性,足部への重心移動が重要,臥位On elbowでは重心移動成否意義が高い.[結論]離床促進ツールとして期待される.

  • ―学修進行度による影響―
    小野田 公, 久保 晃, 丸山 仁司
    2017 年 7 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    理学療法士にとって触診は基本的な必須技術である.視覚情報なしで骨標本部位を特定する触診スキルの程度をその速度から学修進行度の相違を明らかにすることを目的とした.本学理学療法学科2年次生,3年次生各10名を対象とした.被験者は,全身骨格模型前で立位にてアイマスクを装着した.骨の部位が出題され,開始合図からその部位の触知までの時間を計測した.出題部位は,10部位を行った.2年次生と3年次生の速度を各部位ごとに比較分析した.3年次生は2年次生よりも骨指標を早く触知できることが示唆された.3年次生は講義等で骨格をイメージする機会が多く,よりイメージが形成されていることが考えられる.

  • ―通所介護施設における多施設共同横断研究―
    田村 由馬, 工藤 玲佳, 田宮 創, 寺島 雅人, 鶴見 知己, 須藤 誠, 関谷 直樹, 小林 孝次, 福田 瑞恵, 矢嶋 俊一, 中口 ...
    2017 年 7 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]軽度介護認定者の重症化予防のため,推定塩分摂取量と座位時間,および血圧や降圧薬との関連を明らかにする.[対象と方法]要支援1,2,要介護1の36名における施設来所時の血圧,尿Na/K比を測定した.国際標準化身体活動質問票により1日の座位時間を測定,服薬状況も調査した.[結果]降圧薬の多剤服用者は尿Na/K比高値者で有意に多く,座位時間高値者においても多い傾向であった.[考察]塩分摂取過多者や不活動者は降圧薬の多剤使用により血圧をコントロールされており,心臓リハの介入意義は高い.[結語]軽度介護認定者において,塩分摂取過多症例や座位時間の延長者は降圧薬を多剤併用している者が多い.

  • 小野田 公, 廷々 知美, 三田寺 祐子, 横川 優奈
    2017 年 7 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]頸部へのリンパドレナージおよびストレッチによる身体機能への効果を明らかにすることを目的とした.[方法]健常若年男性10名を対象に筋硬度,関節可動域,VASを評価した.頸部リンパドレナージ,頸部ストレッチ,安静背臥位を一日おきに各群10分間行い,実施前後に各測定を行った.[結果]関節可動域がストレッチ群の両側肩関節屈曲で有意に増加し,リンパドレナージ群では右頸部側屈と両側の肩関節屈曲が有意に増加した.また,ストレッチ群,リンパドレナージ群ともに肩こり,ストレス,浮腫のVASが介入前後で有意に減少した.[考察]リンパドレナージは,可動域およびリラクゼーションの効果が高い可能性があることが示唆された.

  • 貞清 香織, 貞清 秀成, 石坂 正大, 久保 晃
    2017 年 7 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]介護老人保健施設に入所している超高齢女性の身体組成を計測し,除脂肪量指数(以下:FFMI),脂肪量指数(以下:FMI)と身体機能の関係を調査した.[対象と方法]介護老人保健施設に入所している超高齢女性9名である.身体組成と身体機能評価として握力,下肢筋力,歩行速度を計測した.[結果]FFMIは,歩行速度と強い相関がみられ,FMIは,握力,歩行速度と強い相関がみられた.[考察]加齢とともにFMIは増加するといわれているが,本研究では低値を示した.また,FMIはFFMIより身体機能との関係が強いことが明らかになった.[結論]介護老人保健施設に入所している超高齢女性では,脂肪量にも着目する必要があると考える.

  • 田宮 創, 田村 由馬, 餅 脩佑, 赤澤 祐介, 永坂 優美, 伴場 信之, 安 隆則
    2017 年 7 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]糖尿病性腎症(DMN)における活動量計と国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire: IPAQ)の身体活動量および座位時間の関連を明らかにする.[対象と方法]活動量計を5ヵ月間装着したDMN患者42例を対象とした.IPAQと活動量計の身体活動量および座位時間の比較に,対応のあるt検定とピアソンの積率相関係数および級内相関係数を用いた.[結果]身体活動量はIPAQ1,257.0±1,780.0 kcal/week,活動量計4,379.9±1,248.5 kcal/weekとIPAQにおいて有意に低く,IPAQの座位時間と活動量計の身体活動量ではr=−0.35と有意な負の相関がみられた.[考察]DMN患者は10分間以上の連続した身体活動が少ないため,IPAQには反映されにくい傾向にあった.一方,活動量計の身体活動量とIPAQの座位時間は有意な負の相関を認めたことから,IPAQの座位時間は断続的な身体活動を反映していることが考えられた.

短 報
  • 田村 由馬, 江原 恭介, 田宮 創, 工藤 玲佳, 寺島 雅人, 鶴見 知己, 須藤 誠, 落合 香, 髙橋 英里, 星合 愛, 上野 明 ...
    2017 年 7 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]末梢動脈疾患患者に対する歩行運動前処置としての下肢温浴による温熱療法の急性効果を検証.[対象と方法]血管内治療未施行の症候性末梢動脈疾患患者5例.歩行負荷前に温熱療法としてバイブラバス(バイブラ)にて下腿を温浴し,バイブラ非施行時と比較した.[結果]バイブラ後の歩行は,バイブラ非施行と比べ疼痛発生時間が3例で改善し,最大歩行距離は4例で改善を認めた.バイブラ後は足関節上腕血圧比の改善を認めた.[考察]温熱療法による急性的な下肢血管拡張が生じ,歩行の改善を認めた.[結語]末梢動脈疾患患者の歩行運動前に温熱療法を併用することで疼痛発生時間や最大歩行距離が延長する可能性を示唆した.

  • 小林 薰, 佐藤 珠江, 柊 幸伸
    2017 年 7 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    学校保健安全法に基づいて,学校定期健診に「運動器検診」の項目が追加された.今回,大学生を対象とした運動器セルフチェック票において,各項目の「問題あり」の発生率は,「関節の痛み14.3%」,「肩が180°まで挙がらない5.1%」,「前屈で指先が楽に床につかない57.6%」,「しゃがみこみに問題あり17.3%」,「片足立ちが5秒以上できない3.7%」であった.将来的な運動器疾患・障害を予防するためには,セルフチェックだけではなく運動器に関する講義およびストレッチングといった予防法についても教授していくことが必要であると考える.

  • 松井 瞭友, 田村 由馬, 山越 聖子, 寺島 雅人, 鶴見 知己, 安 隆則
    2017 年 7 巻 1 号 p. 41-43
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]維持透析患者における透析中の運動療法の違いが大腿直筋の筋輝度(EI)に影響を及ぼし,下肢の除水に有用であるかを検討した.[対象と方法]エルゴメーター(エルゴ)運動およびベルト式骨格筋電気刺激(B-SES)を用いて透析中にリハビリを行い,透析終了後に超音波による筋EIと体組成測定を行った.[結果]エルゴ,B-SESの両施行で統計学的な有意差は認められなかった.筋EIはB-SESがエルゴに比べ12.5%低値であった.[結語]B-SESは4 Hzの律動的で他動的な筋収縮が行われ,筋ポンプ作用により静脈灌流を促進し,下肢筋内浮腫改善に有用である可能性がある.

  • 江原 恭介, 田村 由馬, 落合 香, 工藤 玲佳, 松井 瞭友, 永坂 優美, 田宮 創, 須藤 誠, 清水 理葉, 松下 恭, 杉村 浩 ...
    2017 年 7 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]末梢動脈疾患(Peripheral arterial disease: PAD)患者における心肺運動負荷試験(Cardiopulmonary exercise test: CPX)のエルゴメーター(エルゴ)とTreadmill(TM)の検査特性を比較した.[対象と方法]対象は血管内治療等が未施行かつ,TMでの歩行運動が可能な症候性PAD患者5例とした.3ヵ月間の運動療法前後でTMおよびエルゴでのCPXを施行した.[結果]Peak O2は機器間で有意な差はみられなかったが,AT時O2はエルゴでのCPXにて有意な改善が得られた(p=0.04).[考察]TMとエルゴでは運動様式の差異から異なる検査特性を示すと考えられた.[結語]運動様式の違いを理解して評価,介入を選択する必要性を示唆された.

症例報告
  • 寺島 雅人, 田村 由馬, 落合 香, 髙橋 英里, 田宮 創, 江原 恭介, 工藤 玲佳, 鶴見 知己, 山口 佳奈, 星合 愛, 安 隆 ...
    2017 年 7 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]運動アドヒアランスを維持するためには急性期から維持期へのシームレスな体制の整備が必要である.本症例は外来心臓リハビリテーション(外来心リハ)とNPOメディックスクラブを併用した症例である.[症例紹介]拡張相肥大型心筋症により心不全を発症した40代女性.[経過]退院後に外来心リハ,メディックスクラブを週1回継続した.3ヵ月後に運動耐容能,心機能の改善および歩数の増加がみられた.[考察]外来心リハでは理学療法評価を実施,メディックスクラブでは廉価で楽しい運動の継続を期待し,有益な効果を認めた.[結論]外来心リハとメディックスクラブ併用は,急性期から維持期への運動アドヒアランス向上に寄与する.

  • 猪熊 千広, 一瀬 裕介, 金谷 さとみ
    2017 年 7 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    [はじめに]甲状腺機能低下を伴う症例に対し,II期に分けて理学療法を行った.[症例紹介]80代,女性.体動困難となり当院受診,入院後に甲状腺機能低下症と診断された.[経過]入院時より筋力,連続歩行距離,ADL低下を認めたため,甲状腺機能低下が著明なI期では,低負荷での運動療法を行った.甲状腺機能低下が改善したII期では積極的な運動療法で身体機能,ADLが向上した.[考察]I期では,易疲労により運動強度は増加出来ないが,低負荷での運動療法で廃用症候群を予防出来たと考えられる.そのため,II期でスムーズなADL改善に繋がったと考える.[結論]薬物療法に並行して早期から運動療法を開始したことにより,著しい運動機能の低下を予防することが可能であった.

  • 伊沢 諒
    2017 年 7 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    本邦では2014年よりリバース型人工肩関節置換術が腱板広範囲断裂や腱板断裂関節症に対し用いられるようになった.一方で,上腕骨近位端骨折など骨折例に対するRSAへの介入報告などは国内においては少ない.今回,上腕骨近位端骨折に対しRSAを施行した症例を経験した.術後は4週間の外転装具固定を行い,他動での可動域練習は装具除去後より開始し,自動での可動域練習は8週後から行った.当症例においては術中に修復した結節に腱板が温存できていたため,腱板による回旋の作用も期待し介入を行った.術後13週にはADL上不自由さはなくなり,術後23週で結髪動作も可能となった.当症例においては除痛や自動可動域の改善も良好に得られ,復職も可能となった.

紹 介
  • 鶴見 知己, 田村 由馬, 田宮 創, 寺島 雅人, 工藤 玲佳, 須藤 誠, 小倉 佳子, 大西 優子, 下山 正博, 星合 愛, 上野 ...
    2017 年 7 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    わが国の透析患者数は増加し,透析患者の高齢化も進んでいる.透析患者の多くは運動耐容能低下や骨格筋機能低下,さらにはフレイル状態にある場合が多く,理学療法の対象となる.透析中に実施するリハビリテーション(リハビリ)においては,近年,多数報告がされてきた.本報告では透析患者の身体機能の特徴や運動療法の効果を紹介する.透析中のリハビリは医療監視下であるため安全性は高く,リハビリ通院などの時間的制約を受けないため,運動継続性の高い方法である.本報告では獨協医科大学日光医療センターにおける透析中のリハビリを紹介する.

  • 佐藤 珠江, 井野口 誠之, 佐々木 秀明, 竹澤 直城, 斉藤 嵩, 小林 薰
    2017 年 7 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/01/31
    ジャーナル フリー

    2020年の東京オリンピック・パラリンピックの大会運営要件2015年9月版には,医療スタッフとして理学療法士が参加することが明記されている.大会ホストタウンとして登録されている栃木県には,多くの外国人選手ならびに関係者の来訪が予想されているため,県内の理学療法士には外国人患者への適切な対応に向けた英語能力向上が求められる.このため,栃木県理学療法士会地域活性化特別委員会主催の寺子屋勉強会では,平成29年度より年3回の医療英会話勉強会を開催することになった.そこで本稿では,医療英会話の勉強会について実施状況を紹介するとともに,今後の課題を提示する.

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