理学療法とちぎ
Online ISSN : 2434-2300
Print ISSN : 2186-4861
3 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
症例報告
  • 蒲澤 寿明, 坂口 裕介, 森山 俊男
    2013 年 3 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    当院入院中の患者と健常成人に対して,同じ運動を地上,温泉運動浴(水中)でそれぞれ行い,主観的効果の違いをアンケートで比較した.アンケートは,体の重さ,歩きやすさ,疲労,運動の効果に対する満足度の4 項目とし,各項目は5 段階の評価とした.健常成人では,水中運動は地上運動に比べ満足度が高かったが,その他の項目で差はみられなかった.それに対して,患者での水中運動後のアンケートは,地上運動後のアンケートに比べ,全ての項目において良好な結果が得られた.リハビリテーション対象の患者において,温泉運動浴は主観的効果が有意に改善することが示された.

  • 坂口 裕介, 蒲澤 寿明, 森山 俊男
    2013 年 3 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    脳血管疾患患者に対し水中運動の身体機能に及ぼす即時的効果を研究した.水中運動は10分間とし,内容はスクワット,股関節屈曲,股関節外転,股関節伸展,足関節底屈を行なった.水中運動の水は38℃,深さ120 cm とした.水中運動の前後で,二点識別覚,表在覚,下肢荷重率,継ぎ足立位保持時間,Timed Up and Go Test(TUG),Functional Reach Test,30 秒椅子立ち上がりテスト(CS30)を比較した.脳血管疾患患者で,水中運動後にTUG が有意に改善した.健常成人で表在覚とCS30 が有意に改善した.脳血管疾患患者は,温泉運動浴でバランス改善することが分かった.

  • 杉山 輝美, 渡辺 恵子, 美濃和 紀子, 細川 裕史, 石坂 勇人, 野澤 直広, 水嶋 優太, 加藤 祝也
    2013 年 3 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    脳死両肺移植を受けた症例に対して呼吸理学療法を施行した.本症例は,心機能低下により術後6 病日までは人工心肺補助装置が必要であった.また,気管支吻合部の治癒遷延や呼吸筋力低下により人工呼吸器からの離脱は術後44 病日であった.術後20 病日よりCPAP 使用下での歩行練習を開始したが,呼吸困難感・胸部圧迫感の自覚症状が制限因子となった.退院時の6 分間歩行テストでは胸部圧迫感は消失し,呼吸困難感は軽減した.自己ペースでの歩行時にはSpO2 の著明な低下や呼吸困難感の出現はなく,ADL は自立し自宅退院となった.両肺移植後の運動耐容能向上には,症例に応じた慎重な対応が必要であり,術後早期からの呼吸理学療法が大きな役割を果たしたと考える.

  • 小野田 公, 霍 明, 丸山 仁司
    2013 年 3 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    脳死両肺移植を受けた症例に対して呼吸理学療法を施行した.本症例は,心機能低下により術後6 病日までは人工心肺補助装置が必要であった.また,気管支吻合部の治癒遷延や呼吸筋力低下により人工呼吸器からの離脱は術後44 病日であった.術後20 病日よりCPAP 使用下での歩行練習を開始したが,呼吸困難感・胸部圧迫感の自覚症状が制限因子となった.退院時の6 分間歩行テストでは胸部圧迫感は消失し,呼吸困難感は軽減した.自己ペースでの歩行時にはSpO2 の著明な低下や呼吸困難感の出現はなく,ADL は自立し自宅退院となった.両肺移植後の運動耐容能向上には,症例に応じた慎重な対応が必要であり,術後早期からの呼吸理学療法が大きな役割を果たしたと考える.

  • 木村 和樹, 小川 幸宏, 加藤 龍彦, 前田 和也, 石坂 正大, 久保 晃
    2013 年 3 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    本症例はくも膜下出血後術中に血管攣縮を起こし小脳梗塞を併発した70 歳代女性の症例である.既往には現在完治しているがメニエール病を罹患していた.筋力低下と四肢の失調が改善されたが,立位・歩行時にふらつき・めまいがみられた.そこで,メニエール病の症状再燃を疑い,前庭神経へのアプローチを中心に介入を段階的に行った.介入後,静的・動的バランスの改善がみられ,重心動揺と歩行のふらつきが減少した.自宅退院1 週間後には自宅内での移動が伝い歩き・独歩にて自立レベルまでに改善した.

  • ─裸足・スリッパ・リハシューズの3 条件での検討─
    竹沢 友康
    2013 年 3 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    自宅への退院を想定した腰椎圧迫骨折に対して,裸足,スリッパ,前方チャック式介護・リハビリシューズ(リハシューズ)の3 条件下での静止立位について比較検討した.結果として3 条件共に異なる姿勢制御を選択したことが観察された.このことから退院後の生活を踏まえ,家屋,周辺状況に応じた履物を選択することはもちろんのこと足部環境が姿勢,姿勢制御戦略について与える影響について把握することは転倒などのリスクを軽減させるだけでなく2 次的障害の発生率を予防するのに役立つと考える.

  • 前田 和也, 石坂 正大, 佐藤 始乃, 本田 大貴, 木村 和樹, 齋藤 博樹, 小川 幸宏, 加藤 龍彦, 藤田 順之, 前野 晋一, ...
    2013 年 3 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    人工股関節全置換術後,歩行障害の改善により生活行動の拡大が期待されるが,高齢者は脱臼の不安から生活行動が制限されることも考えられる.一方で,地域生活の特色として草取りが行われることは多い.今回われわれは,人工股関節全置換術・人工膝関節全置換術を同時に施行した患者に対し,脱臼予防動作指導と草取りが行えるようになり,退院後の活動量が増加したと思われる症例を経験した.この症例を通し,草取り動作の動作指導を行ううえで,3 つの動作方法の検討を行った.草取り動作には安全性だけでなく,疲労・時間などの効率性を考慮した指導が重要であった.

  • 加藤 龍彦, 石坂 正大, 金子 純一朗, 鈴木 達也, 小野田 公, 前田 和也, 小川 幸宏, 渡邊 裕子, 貞清 香織, 木村 和樹, ...
    2013 年 3 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    脚長差は整形外科領域のリハビリテーションではしばしば見られ,バランス能力や歩行時のふらつきの原因となる.大腿骨頭切除術は今日ではほとんど行われてなく,歩行や日常生活動作への影響に関する報告も少ない.本症例は,幼少期に右股関節の化膿性股関節炎により大腿骨頭を切除し,80 歳代になり左変形性膝関節症により人工膝関節形成術を施行し,歩行能力が改善した症例である.脚長差のため荷重量が術側に多く,歩行速度の低下,尖足歩行や膝折れによるふらつきが見られた.介入方法として歩行練習時に踵接地を繰り返し促し,殿筋群や大腿四頭筋の筋活動を引き出した.結果,ふらつきや歩行速度が向上した.

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