〔目的〕地域包括ケア病棟の入院患者における入院関連機能障害(HAD)の特徴を明らかにする。〔対象〕対象は地域包括ケア病棟患者134名(年齢中央値86歳,女性61.2%)とした。〔方法〕Barthel Index の退院時得点が入院時から5点以上低下した者をHAD群,維持または向上した者を非HAD群とした。両群間で年齢,体重,BMI,改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R),下腿周径,セミタンデム立位,タンデム立位を比較した。統計解析には対応のないt 検定およびMann-Whitney U 検定を用いた。〔結果〕HAD群は非HAD群に比べて高齢で,体重やBMI が低かった。また,認知機能(HDS-R)や下腿周径,立位バランス能力(セミタンデム立位・タンデム立位の保持時間)が低かった。〔結論〕高齢で痩せており,認知機能や立位バランスが低い患者は,HADを呈するリスクが高いことが明らかになった。
〔目的〕足指のタッピングテストを実施し,得られた結果を転倒歴の有無で比較することとした。〔対象〕介護認定高齢者のうち転倒歴なし群6 名[79(69-89)歳],転倒歴あり群6 名[86(72-97)歳]とした。〔方法〕本研究は横断研究である。足指タッピングテストは指タッピング装置で測定した。10秒間でできるだけ素早く,利き足の足指を上下運動するよう指示した。足指のタッピング回数,足指の総移動距離,タップインターバル標準偏差,距離の最大振幅,距離の極大点の平均を解析に用いた。統計解析は,転倒歴の有無別に得られた値をMann-Whitney U 検定で比較した。〔結果〕転倒歴のない者は,転倒歴のある者よりも足指のタッピング回数が多く(p=0.039),総移動距離も長かった(p=0.026)。〔結論〕介護認定高齢者の転倒予防には,足指を素早く動かせる能力も必要であることが示唆された。