日本女性科学者の会学術誌
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5 巻, 1 号
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巻頭言
総説
  • 甘利 幸子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2025/03/13
    ジャーナル フリー

    隕石中に含まれるスターダストはプレソーラー粒子と評ばれているが、1987年にプレソーラー粒子であるダイヤモントが隕石中から分離同定されてから、この天文学の新分野は日覚ましい発展を遂げて来た。これまでに、ダイヤモンドの他に、炭化ケイ素(SiC)、グラファイト、炭化窒素(Si3N4)、酸化物、ケイ酸塩などの鉱物がプレソーラー粒子として同定されている。これらの粒子の元素比や同位体比を測定することによって、星の中での核合成、星の進化、銀河の化学組成の時間的変化を調べることかできる。

  • 藤田 礼子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2025/03/13
    ジャーナル フリー

    フェナンスリジン誘尊体は、amaryllidaceaeアルカロイドでありまた抗白血病(8,9-dimethoxyphenanthridinium salts)、抗PARP(phenanthridones)、発ガン物質(ethidium bromide)など広い生理活性を有している。フェナンスリジン誘導体の合成は、ここ50年らい試みられ、多くの報告がある。我々は、3または4位に電子吸引性基を有する2(1H)-キノロン誘導体をジエノフィルとするDiels-Alder反応を用いたフェナンスリドン類の合成を報告してきた。本総説では、フェナンスリジン誘導体の合成法を分類して概説する。

  • 澤口 聡子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2025/03/13
    ジャーナル フリー

    顧著な少子高齢化の傾向にあり、かつ整備された乳幼児保健環境をほこる日本において、更なる乳幼児死亡率の改善を期待するためには、乳幼児の死因に大きな割合を占める乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome:SIDS)の減少を図ることが必要である。従来、SIDSの病因解明は、疫学的・生理学的,病理学的に個別に研究されてきたが、その原因は未知であったため、各分野の統合という視点から研究の展開を試みた。SIDSの病態仮説としては、従来から提唱されてきた無呼吸仮説と無呼吸仮説の見直しの中で浮上してきた覚醒不全説がある。前述の統合研究の結果、健康乳幼児にSIDSの疫学的リスク因子を付加した場合に覚醒傾向が減少すること、更にSIDS児にも覚醒不全があることか検証されてきた。また、覚醒不全だけではヒトは死亡しない。生理学的データと病理学的データを同一事例についてリンケージした統合研究の結果、SIDSにおいては、脳幹の覚醒経路における神経系の可塑性の不全が存在し、更に、低酸素状態に対する認知と記憶の基盤が変化し、このことが、児の死亡への引き金となっていることが推測された。

  • 鈴木 邦彦, 濱中 すみ子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2025/03/13
    ジャーナル フリー

    Krabbe病の臨床、病理および生化学的表現型には幾つかのユニークな特徴があり、その中には遺伝性ライソゾーム病の共通概念に必ずしもあてはまらない点がある。初期の研究で、脳に注入したガラクトシルセラミドがグロボイド細胞反応を引き起こすことが示された。次いで、30年前、ミエリン及びミエリン形成細胞の急速かつ完全な消失という現象に着目し、疾患の発症メカニズムを推定したサイコシン仮説が提出された。サイコシンは強い細胞毒性を示す物質であるが、疾患原因てある遺伝的欠損酵素による分解を受けない。従って、この仮説は、2つの相反するような現象、即ち、一方では患者脳におけるオリゴデントロサイトの極めて急速な消失があり、他方では基質であるガラクトシルセラミドの蓄積が認められない、という矛盾を解明しうるものであった。実際に、ヒトKrabbe病とマウスおよびイヌ疾患モデルの脳にサイコシン蓄積が証明されるのには10年を要した。その間、サイコシン仮説は古典的乳幼児型Krabbe病を説明しうる病理機序メカニズムとして徐々に受け入れられて行った。さらに近年のサポシンA (in vivoにおけるガラクトシルセラミド活性化タンパク)を欠損したマウスモデルの研究から、疾患プロセスヘの新しい知見が得られてきた。即ち、Krabbe病の原因と成り得る2番目の欠損遺伝子が同定されたばかりでなく、上記の2つの相反現象の成立には、それぞれ独立した発病メカニズムが存在することが判明したのである。現在、グロボイド細胞反応はガラクトンルセラミドによって引き起こされ、ミエリン形成細胞の消失はサイコシンに起因することか明らかとなっている。しかしながら、主要組織適合抗原系の関与や他の免疫メカニズム、多種サイトカインの活性化に代表される炎症プロセス、また、性ホルモンの関与など、解明されるべき問題点も多く残されている。

原著論文
  • 高橋 英子, 川端 朋枝, 山田 正二, 宮下 洋子, 大浦 麻絵, 山田 恵子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2025/03/13
    ジャーナル フリー

    痩せ顧望の有無と体型評価,体型誤認との関係について,男子高校生287人,専門学校生317人,大学生170人を対象にして自記式質問紙を用いて調査した.対象者をA群(痩せ願望を持つ対象者)とB群(痩せ願望を持たない対象者)の2群に分けて解析した.高校生の30.9%,専門学校生の43.0%,大学生の38.8%が痩せ願望を有したが、A群の81.9%(高校生),74.7%(専門学校生),68.2%(大学生)が標準体重の範囲内てあった.実際の体型に対して正しい評価をしているかどうかを痩せ願望の有無で比較した結果では,A群の25.0%(高校生),30.2%(専門学校生),37.9%(大学生)が,B群の24.0%(高校生),28.1%(専門学校生),22.2%(大学生)が体型誤認をしていた.痩せ願望群の体型誤認者の大部分は実際の体型より「太っている」と評価していた.ー方非痩せ願望群では反対に実際の体重より「痩せている」と評価する者が多かった.どの年代もダイエッ卜経験の回数がA群で多かった.これらの桔果から,不必要な痩せ願望の背景に誤った体型評価があることが示され,適正な体型認識に基づいた健康教育の重要性を考察した.

調査・報告
  • 並木 和子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2025/03/13
    ジャーナル フリー

    日本では、自然科学分野において初めて女性の学位取得者がでたのは1930年前後である。この黎明期の女性科学者が育った経緯を調べてみると輿味深いことに、その多くが東北大学と北海道大学の出身であり、その卒業後は理研で研究業績をあげられている。これは当時男子にのみ門戸を開いていた国立大学のなか、東北大、北大では、先進国に学んだ学長や教授が先見をもってこれらの女子学生を受け入れたこと、また、研究の場となった理研は当時日本で唯一最大の総合研究所であり、ここでは主任研究員が人事や予算を運営し、学閥などに囚われる事のない自由な環境があったことに起因すると思われる。黎明期の女性科学者たちがここで優れた仕事をされたことには、ご本人たちの才能や不撓の努力があったことに加えて、女性が独立した研究者として育っていけた研究環境かあったことが考えられる。5名のパイオニアの方々の理研でのプロフィルについて述べた,

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