科学・技術研究
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2 巻, 2 号
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巻頭言
特集
連載
総論
  • Mass, energy and informations
    Ching Chuen Chan
    2013 年 2 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    To cope with the complex economical, societal, science and engineering challenges in the new era, it is proposed to promote the spirit of renaissance scientists and engineers, as well as the spirit of open mind, and the inspiration of innovative ideas. The definition and characters of renaissance scientists and engineers are given. Renaissance scientists and engineers are those not only understand Why and How Things work but also on Why and How the World works. The importance of horizontal and vertical integration, as well as the relationship among mass, energy and information are discussed.
原著
  • Kazuya Nishimura, Tomoaki Takasaki, Tetsuo Sakai
    2013 年 2 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    A large-size battery for future industrial applications requires a higher capacity and longer cycle-life than that for the consumer applications. The Ni(OH)2 was granulated with conductive and binder materials, and the granulated particles were sandwiched between two nickel-foam pieces to form a plate-like positive electrode. The capacity was estimated to be 54 mAh/cm2, which was higher than that of the conventional paste-type one (36 mAh/cm2), loading the Ni(OH)2 slurry on the nickel-foam substrate. In this electrode structure, the granulated particles can be easily maintained on the substrate in the electrolyte. The battery test using the granulated Ni(OH)2 electrode showed that the cycle-life performance could be improved by increasing the amount of separator compression. The high compression suppressed the electrode expansion by electrolyte absorption, which causes electrolyte loss during the charge and discharge processes.
  • 西村 和也, 高崎 智昭, 境 哲男
    2013 年 2 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    大容量の産業用電池として安全性の高いニッケル水素電池が検討されているが、従来構造である集電タブのある捲回式電池を大型化すると発熱が多くなり現実的ではない。そこで、筆者らは、高容量化と高出力化、低コスト化を実現できる新規電池構造として、電極と集電体は溶接せず接触のみで導通を保持しつつ、多数の電極を大面積の金属板で集電する方式を提案した。この電池構造の有用性を確認するために、0.77 Ah×単セル(1 Wh)、141 Ah×30セル(5 kWh)、1,200 Ah×10セル(14 kWh)と電池の大型化を行い、電池を大型化しても内部抵抗は一定の値を示すことを確認し、新規電池構造は大型化に適した電池構造であることを確認した。
  • 金子 聡, 本田 俊亮, 勝又 英之, 鈴木 透, 水谷 修
    2013 年 2 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    本研究では、比重の小さい有機成分と無機成分からなるハイブリッドろ過材を用いた循環型ろ過システムにおいて、効率的な逆洗浄プロセスを検討した。従来の逆洗浄水を流して水質汚濁物質を剥離・流出させるだけでなく、エアーバブリングシステムを追加し、逆洗浄水を流す前に、エアーバブリングによりろ過材が水中に分散して懸濁状態となり、効果的に汚濁物質が剥離した。続いて、逆洗浄水を流して、汚濁物質をろ過塔外へ排出した。エアーバブリングを組み込んだ逆洗浄プロセスが非常に有効であることが分かった。
  • 武井 孝行, 中原 秀樹, 川上 幸衛, 吉田 昌弘
    2013 年 2 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    キトサンは、ヒト生体に対して極めて毒性が低く、優れた生体適合性ならびに生体吸収性を示す高分子である。従来、キトサンからなるヒドロゲルを調製する際には、グルタルアルデヒドなどの毒性が高い化学架橋剤が使用されてきた。一方、筆者らは前報において、アルドン酸の一種であるグルコン酸(C6)を修飾したキトサンが、化学架橋剤の非存在下で凍結-融解処理のみによりゲル化することを見出し、そのゲルがバイオマテリアルとして優れた生物学的特性を有していることを実証した。本報では、グルコン酸とは分子量の異なるアルドン酸を修飾したキトサン誘導体が、グルコン酸修飾キトサンと同様のゲル化特性ならびに生物学的特性を有しているか調査した。アルドン酸として、トレオン酸(C4)とキシロン酸(C5)を選択した。トレオン酸修飾キトサンおよびキシロン酸修飾キトサンのいずれも、グルコン酸修飾キトサンと同様に、未修飾のキトサンに比べて中性水溶液への溶解性が向上した。また、それらキトサン誘導体の水溶液は、凍結-融解処理によりゲル化した。このように、修飾するアルドン酸の分子量が減少してもキトサン誘導体は凍結-融解処理によりゲル化することが示された。さらに、グルコン酸修飾キトサンと同様に、トレオン酸修飾キトサンは毒性が低く、そのゲルはリゾチームにより分解され、細胞接着性が低いことを示した。
  • 数種の養殖・天然魚におけるセレン分布
    Norihisa Kai, Yasuhiro Tanoue, Yukinori Takahashi, Takeshi Nagai
    2013 年 2 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    日常生活において、普段から廃棄されがちな魚類組織からのセレンの利用の可能性を明らかにするため、数種魚類(ブリ、マダイおよびフグ)の非可食部の一つとして、鱗あるいは表皮をとりあげ、それらにおけるセレン分布を、水銀分布と関連づけて検討した。その結果、本研究に供した天然魚および養殖魚の当該組織におけるセレン分布は、いずれも普通筋のそれらと比較して、ほぼ同等か幾分高かった。一方、水銀レベルは著しく低いかほとんどゼロであった。結果として、Se/Hg(モル比)は極めて高かったことから、対象とした組織は、普段摂食されないが、ほとんど水銀蓄積のないきわめて安全な組織であることが示唆された。したがって、これらの知見から、環境改善に加え、魚類鱗あるいは表皮からのセレンの有効利用が十分期待された。
  • 浦野 直人, 岡井 公彦, 相川 和也, 田中 陽一郎, 石田 真巳
    2013 年 2 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    多摩川は日本の代表的な都市河川である。近郊の生活廃水や産業排水は、水再生センターを経て再生水として流れ込んでおり、河川水の抗生物質濃度は日本の都市河川中でも高レベルにある。本研究は、多摩川流域における多剤耐性菌の蔓延度の解析を行った報告である。2010年7月に上流(青梅市)、2011年5月に中流(立川市)と下流(川崎市)から、多摩川の表層水と底泥を採集した。1~8種類の抗生物質を含む培地を用いて、採集サンプルから一般細菌および抗生物質耐性菌をスクリーニングした。多摩川の表層水中の一般細菌数と抗生物質耐性菌数は上流から中流・下流へと下るにつれて増大したが、底泥中の一般生菌数と耐性菌数は中流が最も多かった。細菌数は環境中の有機物濃度と相関があると考えられた。多剤耐性菌は、下流では2剤耐性菌が多く、中流では3剤耐性菌、上流では5~8剤耐性菌と川を遡るにつれて、多剤耐性能が高くなった。5-8剤耐性菌群にはBacteroidetes門、2~3剤耐性菌群にはFirmicutes門が多かった。また、上流の一般細菌中にBacteroidetes門、下流のそれにFirmicutes門が多かった。従って、上流に多く生息しているBacteroidetes門は多剤耐性能が高くなり易いと考えられた。各流域において、多剤耐性菌中に重篤な病原性細菌は発見されなかったが、肺炎桿菌、食中毒菌、敗血症菌、腸炎菌の存在が見とめられ、上流に多く発見された。
  • Zelong Wang, Ken-ichi Tsuji, Toru Tsuji, Akihiko Goto, Yuka Takai, Hir ...
    2013 年 2 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    "Kana-ami" is one of the traditional craft products of Kyoto. It was made all by hand and, for this reason, there was no industrial pollution produced during the manufacturing process. The product's quality was judged by the standard structure of "Kana-ami", which was established and developed in the long course of history and culture. That aesthetical standard has already been deeply and consistently rooted into Japanese peoples' hearts. However, production has decreased dramatically year by year due to mechanization difficulty and a lack of heritage consciousness of craft techniques. Therefore, there is an urgency time to pay attention to do something to keep this traditional wealth of culture and skill for the next generation. In this research, expert-A and expert-B were employed from "Kana-ami Tsuji" workshop, which is one of the most outstanding workshops in Kyoto. The best three products were chosen by expert-A and expert-B respectively from 38 products made by 38 different students to be compared as non-experts with the excellent products of experts. So, the average hexagon angles by experts were treated as the standard in this study. All hexagon angles of the experts and non-experts final products were investigated and measured, at the same time, angle degrees at corresponded label location were calculated and compared between experts and non-experts in order to explain the structure distribution. Their mean and standard deviation values of corresponding vertex angles for 48 hexagons were calculated and analysed. In this current study, the characteristics of metal wire network structure made by different people were discussed and analyzed through mathematical measurement. Based on this structure evaluation system, the hexagon angles of experts' products showed complete uniformity and consistence. Further more, Kana-amis' hexagon structure evaluation standard of expert-A, with 45 years experience, was considered to be achieved better aesthetic requirements and appreciation.
提言
  • 本誌2巻1号の陳・蹇論文に関連して
    南 繁行
    2013 年 2 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    昨今、スマートコミュニティあるいはスマートモビリディといった言葉をよく耳にする。本誌、第2巻1号において、陳・蹇(2013)は、エネルギーと情報の相関関係(Correlation)と題し、その協調こそがエネルギー社会の未来に向けて重要であると論じておられる。しかしながら、その論点には、賛同できるところと、混乱を招くと思われるところがある。本論文では、昨今しきりに注目を浴びているスマートエネルギー社会やスマートモビリティにおける本質と、その将来像を陳・蹇の論文と対比して述べたい。ここでいう「スマート」という表現は、知的な(インテリジェントな)システムとしての意味合いをもっており、それらに関する取り組みは、膨大かつ多岐に亘るものである。スマートコミュニティ産業については、世界中で2030年までに4,000兆円のマーケットがあるという予測もあるにはある。Chan先生は、電気自動車の父とも呼ばれる電気自動車の権威であるが、ここでは、これまで筆者も四半世紀携わってきた電気自動車に関する経験を通して、スマートエネルギーの実像と、その一見輝けるビジネスへの参入に対し留意すべき点について論じた。
短報
  • 池田 宏史, 中迫 勝, 廣瀬 浩昭, 三星 昭宏, 武田 功, 南 繁行
    2013 年 2 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    自動車の運転に支障を及ぼす四肢または体幹に障害がある場合、道路交通法では障害の程度に応じた補助装置を取り付けることが必要条件とされている。障害に応じたさまざまな補助具が開発され、下肢に障害がある場合には、アクセルとブレーキの機能を持った手動運転装置を用いれば、上肢のみでも運転することが可能である。しかし、健常者の運転を前提に設計された自動車に後付けするため、障害を完全に補完することは困難である。自動車事故は、一度起こると大きな災害につながるため、その安全対策は急務であり、学術的のみならず社会的にもその意義は大きい。そこで本研究では、肢体不自由者が自動車を運転する際、走行が困難な状況下でも運転操作に影響を与えることのない体幹保持具を設計開発した。そのデザイン設計には2つの特徴がある。運転座席の胸部左右にある体幹支持プレートは、カーブなどで体幹バランスを崩した時でも上体の胸腹部で支える。もう一つの三角錘の隆起構造物部分は、大腿部をシート外壁で内側に圧迫し、隆起構造物によって外側に圧迫するようデザインされており、大腿部・腰部だけではなく上体の安定にも寄与している。
技術報告
  • その技術紹介
    田村 岩男, 上原 郁雄
    2013 年 2 巻 2 号 p. 151-154
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    河川や湖、地下水、大洋における水質汚染の問題を解決するため、マイクロバブルを利用した汚染水浄化システムを開発した。汚染水浄化システムは、微細気泡生成装置が汚染水から微細気泡を生成できるため、汚染水槽から流出される汚染水、微細気淑生成装置から排出される微細気泡を浮上分離槽に流入させる構成である。汚染水から微細気泡を生成できない微細気泡生成装置を用いた場合、汚染水と微細気泡とを別個に浮上分離槽に流入させる構成を採用しなければならないが、本システムではその必要がないため、システムの構造を簡略化できる特徴がある。
資料
  • 棚瀬 繁雄, 湯口 宜明
    2013 年 2 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/07
    ジャーナル フリー
    理工系の大学生を対象にした科学実験で使うことができるマンガン乾電池の教材(キット)を開発し、“マンガン乾電池の製作と評価”と題する課題を設定し、2012年度の前期の実験で教材を試用した。実験には100名の学生が参加し、正極合剤の調製を含む電池の製作、開路(負荷を繋がない状態における)電圧の測定、抵抗負荷による放電、電池の解体、セパレータや負極の状態の観察などを行った。製作した42個の電池の全てが1.5 V以上の開路電圧を示し、豆電球が明るく点灯した。しかし、2.5 Ωの抵抗負荷による連続放電では、放電時間が3~75分と電池毎に大きく変化した。負極の減量にファラデーの法則を適用して電気量を求めるために、電池を解体して負極を回収した。解体後の目玉クリップ、炭素棒、スチロール瓶は、教材を補充する際、再利用した。学生は実験データの取得に掛かる一連の作業を3時間以内に終えることができ、実験の内容が量的に概ね妥当であること、また、実験を通して、学生が電池の製作、試験、評価に関する技術や、材料のリサイクルに関する素養を修得できることが分かった。
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