科学・技術研究
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5 巻, 2 号
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巻頭言
特集
  • 田村 岩男
    2016 年 5 巻 2 号 p. 137-138
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
  • Low Tech メモリーエイドなどの開発
    安田 清
    2016 年 5 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    現在の医学では、いまだアルツハイマー病などの変性型認知症の治癒はできない。そのため、さまざまな予防説や脳トレ説などが蔓延している。本稿ではまずそれらの説のほとんどがエビデンスに乏しいことを検証した。次に既存の各種療法やリハビリテーションのエビデンスも調べた。一方、認知症の本質は、昼食の内容や自宅の位置が思い出せないなど、情報の保存や回収が困難な情報障害と考えられる。視力低下者には眼鏡、歩行困難者には杖や車椅子が提供される。同様に、認知症者にも情報提供を主とした代償支援手段(Assistive Technology)による生活支援が実施されるべきである。生活全般の支援にはHigh Tech、Low Tech共に必要だが、海外ではAssistive Technologyの名のもと、High による認知症支援の動きが高まってきた。一方、Low Techメモリーエイドなどの開発や適応は、国内外でもほとんど報告されていない。筆者は過去25年にわたり、記憶障害や認知症への各種Low Techメモリーエイドの開発と、それらによる生活支援を試みてきた。本稿ではそれらを紹介するとともに、工学系の大学と共同研究をしているHigh Tech支援にも一部言及する。認知症の進行に応じて適応するエイド、機器、情報内容などを変更してゆき、生活支援、心理支援、介護者の負担軽減などを目指すことが、認知症のリハビリテーションである。残念ながら、現在このようなリハビリテーションは当院以外ほとんど行われていない。今後の普及を切望する。
主張
  • 理科実験教室で出会った君たちへ
    立花 和宏, 伊藤 智博, 仁科 辰夫, 遠藤 浩
    2016 年 5 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    2001年ごろから理科実験教室が全国各地で催されるようになった。2002年に社会貢献に資することを目的に設立された(社)ディレクトフォースで取り組んできた理科実験教室は、東日本大震災の頃から活発化した。本稿では、民間企業をリタイアした元技術者たちの理科実験教室を紹介し、本稿執筆時点での理科実験教室の状況を記録するとともに、理科実験教室の在り方について議論し、大人から次世代を担う子どもたちへのメッセージをしたためることを目的とする。
  • 高橋 孝治
    2016 年 5 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    三角形の面積公式にはいろいろなものがある。三角形が決定されるときには、三角形の面積も決定しているはずである。確かに、三角形の面積公式は、「底辺かける高さ割る2」以外の式は、全て三角形の決定条件と関連している。そこで、本稿は、三角形の決定条件を用いて、これまで一般的に知られていない三角形の面積公式を探ることを試みる。本稿では特に一角と一辺、辺の総和の三つが明らかな三角形の面積公式を探ろうとする(この三つが明らかな場合にも三角形は決定する)。本稿での証明では当該一角が分かっている一辺の両角の一つなのか対角なのかで式が変わってしまった。そのため、三角形の一角と一辺、辺の総和の三つが明らかなだけでは足りず、当該一角の位置も明らかとなる必要があるとするが、今までに一般的に示されていなかった三角形の面積の求め方を示すという作業に一歩程度は貢献できたものと考えると述べる。
  • 伊藤 智博, 熊倉 亮介, 佐藤 大生, 立花 和宏, 仁科 辰夫
    2016 年 5 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    日本においての稲作は縄文時代にはじまり、墾田永年私財法を経て現代に受け継がれている。一方、1800年代から始まった富国強兵によって、第二次産業が発達するに従って、第一次産業や農業は衰退してきている。戦後の食糧難から脱却するための開墾、米が余ると減反政策を導入、自主流通米による米価の調整、米の自由化などと農業現場は目まぐるしい変化にさらされている。特に、農業収入は、高卒の初任給に換算すると、1975年に比べて2015年では約3分の1まで減少している。日本の農業政策も2018年の減反政策および転作補助金も終了をもって、一つの終着点を迎える。しかしながら、農業が衰退することは、水資源の減少や将来の食糧自給率の低下を意味し、国力低下を否めない。この問題に解決するために、IoT技術を活用した室内水耕栽培装置やリモート監視穀物乾燥機の開発を試みた。LED光源下の室内水耕栽培では、苗および出穂まで稲が成長した。リモート監視穀物乾燥機においては、キノマクリエイトと温度センサーを使用して排気温度を測ることで、インターネットを経由して乾燥機の緊急停止を監視し、農作業の低減ができた。
原著
  • 播摩 一成, 山田 浩明, 梶岡 信由, 高垣 有紀, 仲井 朝美, 大谷 章夫, 濱田 泰以
    2016 年 5 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    自動車のCO2排出規制における目標達成には、車体の軽量化技術が急務である。樹脂化に最も重要なのが、車体剛性を低下させないことである。それには材料の曲げ弾性率および強度の向上が必須とされる。衝突時の乗員や歩行者の安全性も考慮して、樹脂の破断や飛散を低減するために衝撃特性の向上も重要である。樹脂成形工法として、射出成形、プレス成形、RTM(Resin Transfer Molding)法、オートクレープ法、プリプレグ法があるが、射出成形以外の工法は、生産性が低く、製造コストが高いため、一般車両に採用できない課題がある。そこで本研究では、生産性に優れるポリプロピレン(PP)をマトリックス樹脂に用い、射出成形が可能な炭素繊維強化ポリプロピレン(CFPP)の機械的特性を向上させるために、機械的特性および繊維/樹脂の界面せん断強度(IFSS)を評価した。その結果、マイクロドロップレット法を用いて測定したIFSSと引張強度との間に強い相関性があることを確認した。また、表面処理法の改良によるIFSS向上の検討を行った結果、マレイン酸変性PPエマルジョンとシランカップリング処理を施したCFPPのIFSSが24 MPaを計測した。これは未処理CFPPの12 %の向上になった。シランカップリング剤と繊維表面およびマレイン酸変性PPエマルジョンとブロックPPとの間に相互作用による効果が認められた。この補強効果により、CFPP射出成形品としての開発に繋がることが示唆された。
  • 岡 泰央, 弓永 久哲, 高井 由佳, 後藤 彰彦
    2016 年 5 巻 2 号 p. 169-178
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    書画の装訂様式に掛軸がある。掛軸は鑑賞時に床の間に掛け、用が済めば下から巻き上げて箱に収納する。掛けた時には大きな反りを生ずることなく真っ直ぐに掛かり、下から巻き上げる際には折れ傷を生じさせないしなやかさが必要である。そのために、書画の裏面には和紙による裏打ちが4層施される。和紙の接着には小麦澱粉糊が用いられる。掛軸のしなやかさを保つために小麦澱粉糊を10年間かけて発酵させる。微生物分解によって糊は低分子化して乾燥後もしなやかさを保つ接着剤となる。しかし、低分子化した接着剤は、和紙を接着するだけの十分な接着力を有さない。そのため、接着された和紙の表面を打刷毛と呼ばれる刷毛で叩いて接着を促進させる。強く叩き過ぎると和紙の表面を痛める。弱すぎると接着の促進ができない。この叩く動作には高い熟練度が必要である。一般的に熟練者は長時間にわたる作業でも安定して叩く動作ができるが、非熟練者は短時間で把持する右上肢に疲労を訴えることが多い。本研究では、熟練者と非熟練者を被験者として刷毛を把持する右上肢の9筋についての筋活動を計測する。これにより熟練者と非熟練者がそれぞれにどのような筋活動を行っているのかを解明することを目的としている。さらに、%MVCを算出することにより、それぞれの被験者の筋疲労についても検証する。熟練者が非熟練者に比べて効率的に作業を行っていると考えられる一因が、明らかに異なる筋活動と筋疲労の計測結果から証明することで、非熟練者の技術習得の一助となることが期待できる。
  • 南保 英孝, 大塚 敦史, 木村 春彦, 上田 芳弘
    2016 年 5 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    ビッグデータ社会の到来とともに、現実世界の事例を基にモデルを作成し、作成したモデルに基づいて未知データの特性を予測するための識別器が広く応用されるようになってきた。しかし、識別器を構築するためのアルゴリズムは数多く存在するため、ビッグデータ解析に不慣れなユーザにとって、適切なアルゴリズムを選択することは非常に難しい。なぜならば、扱うデータの性質や目的によって、適したアルゴリズムが異なり、またデータの性質も多岐にわたるためである。そのため、精度の高い識別器を構築するために多くの時間と手間がかかってしまうと言う問題が生じる。そこで本論文では、この問題を解決するため、適切な識別器構築アルゴリズムを自動的に選択するシステムを提案する。提案システムでは、解析対象のデータの特徴を表すメタ特徴を導入し、各種データセットのメタ特徴と最適なアルゴリズムの組み合わせから学習を行うことによって、最適アルゴリズムを予測するモデルを構築する。
  • 根津 佳樹, 藤井 聡
    2016 年 5 巻 2 号 p. 185-195
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    高速道路や新幹線のような交通インフラ整備は、事業実施に伴う短期的なフロー効果のみならず、整備地域沿線に人口、企業等の各種都市機能を集積させ、沿線地域を成長させるストック効果がある。特に都市間を高速で接続する新幹線網の整備の波及効果は大きく、整備地域のみならず、我が国全体の経済発展を促す効果が考えられる。そのため、交通インフラ整備の有用性を判断するにあたっては、上記のような効果をきちんと評価する必要性がある。しかしながら応用一般均衡モデルとは異なる既往のマクロ経済モデルでは地域帰着量が推計できず、逆に一般均衡を想定した地域への帰着便益推計モデルでは、マクロ経済に及ぼす影響を考慮できなかった。そこで本研究では、新幹線等の都市間交通インフラ整備が国全体や地域に及ぼす影響を総合的に評価可能なモデルシステムの構築を既存のモデルの枠組みを活用しながら行った。その上で、構築したモデルシステムの挙動の検証を行い、有用性を確認した。
  • 武井 孝行, 福本 晃平, 檀上 創, 大角 義浩, 吉田 昌弘
    2016 年 5 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    硬骨は、姿勢の維持や内臓の保護、血球の生産など、ヒトが生命活動を行っていく上で重要な役割を担っている。生体組織工学技術を利用して、損傷した硬骨を人工的に再建する場合には、骨芽細胞の移動ならびに増殖のための足場となる高分子多孔体(スキャホールドと呼ばれる)が必要である。われわれはこれまでに、グルコン酸を修飾したキトサン(GC)の水溶液を凍結後、それを融解するだけで、キトサンスキャホールドを作製できることを見出している。本研究では、擬似体液への浸漬により、GCスキャホールド表面を骨伝導能の高いヒドロキシアパタイト(HAp)で被覆できるか調査した。GCスキャホールドをそのまま擬似体液に浸漬しただけでは、スキャホールド表面にHApはほとんど生成しなかった。一方、擬似体液中でのHApの不均一核生成を誘発するシリカ(SiO2)ナノ粒子をGCスキャホールドに組み込むことで、スキャホールドをHApで被覆することができた。また、そのHAp/GCスキャホールド内で骨芽細胞としての特性を有するMG63細胞は増殖できた。以上より、本研究のHAp/GCスキャホールドは硬骨再建用スキャホールドとして有用であることが示唆された。
  • 衛藤 卓磨, 大角 義浩, 清山 史朗, 塩盛 弘一郎, 幡手 泰雄, 信野 和也, 武井 孝行, 吉田 昌弘
    2016 年 5 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    歯科矯正治療は約3~5年の期間を要する。その間、歯面に矯正器具を装着する必要がある。矯正器具の使用は食べものが歯と矯正器具の間に挟まりやすくなる上に唾液による自浄作用も得られにくくなる。その結果、虫歯の発生リスクの上昇につながるといった問題がある。この問題を解決するために、虫歯予防効果が知られているフッ素徐放性微粒子を矯正器具中に固定化させ、徐放効果を発現できれば矯正治療中の虫歯の発生を減少させることができる。歯科矯正器具であるリテーナーの主要成分はメタクリル酸メチル(MMA)やメタクリル酸エチル(EMA)である。これらのアクリル系成分の粉末とモノマー液を患者の歯形に塗布していくことでリテーナーは作製される。ここでリテーナー作製時に、MMA、EMA粉末およびモノマー液にフッ素徐放性微粒子をそのまま混合すると、液と粉末のなじみが悪くなりリテーナーを作製できない。そこで、フッ素徐放性微粒子をアクリル系材料でカプセル化することでリテーナー作製時に液と粉末のなじみが良好になると考えた。そこで本研究ではフッ素徐放性微粒子を内包する粉末(MMAおよびEMA)の粒子径(200 μ 以下)と同程度であるMMAとEMAの共重合体を外殻とするマイクロカプセル(MC)を調製した。フッ素徐放性微粒子の含有率を増加させるためにMMAやEMAモノマーをそのまま利用するのではなく、それらの予備重合(プレ重合)を行った。フッ素徐放性微粒子がMMAおよびEMAのプレ重合液中に保持されやすくなり、含有率の向上が期待できる。プレ重合の時間を変化させてMCを調製した結果、プレ重合の時間を長くするに伴いフッ素徐放性微粒子の含有率の向上が確認できた。その一方でプレ重合時間に伴い、平均粒子径も増加した。これらの実験結果より10 minのプレ重合時間でマイクロカプセルを調製した時、最も含有率が高く、平均粒子径も200 &mu:以下に抑えることができた。
  • 小波 誉幸, 甲原 好浩, 高尾 良成, 大角 義浩, 武井 孝行, 吉田 昌弘
    2016 年 5 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    レーザー加工は新たな封止技術として注目されている。この技術は従来の封止方法である熱封止と比較し、材料への熱負荷の低減が可能であり、さらに封止時間の短縮が可能である。しかし、過度なエネルギー照射は被封着材である基板ガラスにクラックが生じるため、レーザー封止の操作条件の決定が必要である。本研究で使用したV2O5-ZnO-BaO-TeO2系ガラス(V-Te系ガラス)は黒色で低融性を有しているガラスであるため、レーザーの吸収性に豊み、レーザー照射の出力を抑えることが可能であり、クラックの発生が抑制できる。本報では既往の研究で開発された41.9 wt% V2O5 7.0 wt% ZnO 30.1 wt% TeO2 21.0 wt% BaO(V-8-Te30)ガラスに低熱膨張性セラミックフィラーであるリン酸タングステン酸ジルコニウム(ZWP)を15 wt%添加し、レーザー封止に最も適したガラス封止材として使用した。V-8-Te30ガラスに15 wt%ZWPを添加したガラスを用いて、ソーダライムガラスをレーザー照射速度0.25 mm/s、出力4.83 Wで気密封止を行ったところ、低出力で封止できることを実証した。
  • 河合 幸子, 大谷 芳夫
    2016 年 5 巻 2 号 p. 209-216
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    Tsirlin et al.は、透明視のうち「清澄感」を伴うものをGlass-transparency、「濁り感」を伴うものをTranslucencyと呼んでいる。本研究では、無彩色重なり図形を用いて、これら2種類の見えが、透明視面の重なり部分・非重なり部分、及び背景の輝度条件にどのように依存するかを検討した。実験では、3つの背景条件(白・黒・淡灰背景)毎に重なり部分の輝度(実験1)、および非重なり部分の輝度(実験2)を変化させ、被験者に「非常に澄んでいる」から「非常に濁っている」までの範囲で評価を求めた。その結果、実験2の淡灰背景条件以外では、重なり部分と非重なり部分との輝度差分が大きいほど、そして、非重なり部分と背景との輝度差分が小さいほど、「濁り感」が減少し「清澄感」が増すことが示された。これらの結果は、2つの輝度差分の比、および背景輝度により統一的に記述可能であることが示唆された。
  •  
    仁科 辰夫, 伊藤 智博, 立花 和宏
    2016 年 5 巻 2 号 p. 217-223
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    リチウム二次電池は電気自動車用電源として最有力であるが、その寿命評価やバッテリーマネージメントシステム(BMS)では、電池残容量や容量劣化の程度を知るために、電池の過電圧成分の分析が行われる。仁科他(2014)では、セパレータ部分の濃度緩和から導出した式が、定電流充放電時の電流遮断に伴う電池全体の過電圧変化を表現できることを報告したが、その原理的な源泉が説明できなかった。また、実際のリチウムイオン二次電池の過渡応答には初期に電位停滞領域が見られるが、これを説明する理由が不明なままであった。本研究では、この点について理論的な考察を進め、電解液のイオン抵抗が支配的な条件において電解液側での活物質に起因する容量成分側の緩和が時間の平方根に比例して過電圧が緩和する源泉であり、セパレータ部分による全体的な過電圧シフト分の緩和が電位停滞領域の原因として妥当なものであると考えられた。
短報
  • 多層抄き板紙の繊維配向が物性の異方性に与える影響
    北村 貴則, 伊藤 幹太, 寺村 卓, 張 志遠, 北井 啓介, 鈴木 陽, 田中 則彰, 濱田 泰以
    2016 年 5 巻 2 号 p. 225-230
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    抄紙機によって製造される紙、板紙には縦目と横目が存在する。新聞紙やコピー用紙そしてパッケージなどに用いられる厚紙において、裂きやすい方向(縦目)と裂きにくい方向(横目)は抄紙機の進む(流れ)方向MD(Machine Direction)と抄紙機の幅方向TD(Transverse Direction)に対応する。本研究では、多層抄き板紙の縦目と横目における物性の測定とSEMによる多層抄き板紙各層での繊維配向の測定により、多層抄き板紙における異方性の確認および異方性の原因の解明を行った。また実用上の異方性の効用と欠点を加筆し、考察でも製造上と実用性の関連を記述した。
  • 横田 正, 河合 智也, 木戸 康嗣, 高橋 しほり, 宮下 知也, 衛藤 英男
    2016 年 5 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    紅茶は世界中で飲料される嗜好飲料の一つである。著者らは、緑茶の亜臨界水抽出物が、高濃度カテキン含有でありながら苦渋味を抑制し飲みやすい飲料となったことや、低品質烏龍茶の亜臨界水抽出物は、香気成分が増加し高品質化に適していることを報告した。そこで、紅茶を亜臨界水抽出することにより、香気成分などをはじめとした多くの成分を抽出することができ、新たな飲料の開発に繋がると考え、紅茶の熱水抽出物と亜臨界水抽出物との官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では亜臨界水抽出物のほうが、熱水抽出物よりも優れており、3 MPa、140 ℃での抽出が最も良好であった。凍結乾燥物重量、タンパク質、総アミノ酸、グルコース、ガラクトース、マンノース含有量は熱水抽出物よりも多く、温度上昇とともに抽出量も増大した。また、紅茶に重要な香気成分であるリナロール、ゲラニオール、リナロールオキサイド、サリチル酸メチルの量も、熱水抽出物に比べ増大し、亜臨界水抽出の中では、最も低温である110℃での抽出量が最も多かった。このことは、抽出温度が上昇するにつれて香気成分の抽出量が増大した烏龍茶の亜臨界水抽出と異なる結果となり、発酵程度の違いによるものと考えられた。
資料
  • 陳 林林, 高橋 孝治
    2016 年 5 巻 2 号 p. 235-237
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
    日本では法学と数学という学問分野の断絶は著しい。しかし、かつては数学的論理を用いて法学の学術体系を構築しようとした時代もあった。本稿は、このような法学と数学には実は密接な関連があるということを、外国の先行研究を翻訳し、紹介するものである。本論は、ライプニッツが幾何学的モデルを参考に法学の体系を形成していったことについて述べる。しかし、数学は実在しない観念的な概念を用いることもあり、この点で現実社会に用いる法学とは異なる点もあるということを述べる。
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