Veterinary Nursing
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27 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 宮田 拓馬, 小林 光, 坂上 樹璃花, 関 瀬利, 石岡 克己
    原稿種別: 原著
    2022 年 27 巻 2 号 p. A1-A7
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/08
    ジャーナル フリー
    動物の褥瘡の発生を防ぐ方法として体位変換が推奨されている。動物病院に勤務する動物看護師の多くは女性であり、特に大型犬に対して体位変換を行う際には腕力の面や腰痛を発症してしまうリスクなど困難なことがある。人の看護の現場では介助グローブ等の補助具を用いることで看護師への負担を軽減している。そこで介助グローブが動物の体位変換にも有用かどうか検討した。実験には5年以上勤務経験のある動物看護師と、体位変換に関して講義実習を受けた動物看護学生に参加してもらい、鎮静を施した犬に対して介助グローブの有無による体位変換を行ってもらい、その所要時間と評価を行った。その結果、介助グローブがあることで、滑り込ませやすくはなるが、体位変換時には介助グローブがない方が行いやすい結果となった。今後、介助グローブを活用していくためには改良が必要だが、動物とマットの接触面の圧力を抜く目的であれば活用できることが示唆された。
  • 古本 佳代, 尾崎 佐登子, 富田 早貴, 西山 聖真, 前田 憲孝, 神田 鉄平, 糸井 崇将
    原稿種別: 原著
    2022 年 27 巻 2 号 p. A8-A18
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/18
    ジャーナル フリー
    夏季のイヌの散歩では飼養者、イヌの双方において熱中症発生に注意が必要となる。双方が受ける温熱ストレスを調査し、安全管理に資することを目的とした。2015年8〜10月に岡山県倉敷市の水島中央公園において5〜8時(以下、朝時間)、16〜20時(以下、夕時間)のアスファルト面、土面で飼養者とイヌの高さで気温とWBGT (Wet Bulb Globe Temperature) 指数、路面温度の測定を行った。8、9月は同時刻でも土面よりアスファルト面の気温やWBGTが高い時間があり、アスファルト面では飼養者よりイヌの高さの気温やWBGTが高かった。8月は夕時間にイヌの肢裏が熱傷を起こす危険性がある時間があった。8月は朝時間に安全なイヌの散歩が実施できるが、朝時間に実施できない場合、上旬は19時以降、中旬〜下旬は17時以降に土面での実施が推奨される。9月は残暑の影響が残っている日があり、上旬や夕時間での実施には注意が必要で、土面での実施が推奨される。10月は安全なイヌの散歩が実施できる。
  • 古本 佳代, 長川(井口) 亜弥乃, 神田 鉄平
    原稿種別: 短報
    2022 年 27 巻 2 号 p. N1-N5
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/24
    ジャーナル フリー
    動物病院では診察台を衛生的に管理するため、定期的に清拭を行う。診察台表面の一般生菌数を指標とし、清拭に用いるタオルの管理方法が診察台の清拭効果に及ぼす影響を検討した。民間の動物病院に協力を依頼し、その動物病院が定法としていたタオルと中性電解水を用いた方法で診察台の清拭を行った。清拭に用いるタオルを(1)診察台の清拭後、流水洗浄と手絞りを実施し、繰返し使用しているタオル(複数回使用タオル)、(2)洗濯済みで未使用のタオル(単回使用タオル)の2条件とした。単回使用タオルによる清拭では、診察台の汚染度の悪化は見られなかったが、有意な清拭効果を示すには、今後試行数を増やし、検討する必要がある。複数回使用タオル群では半数以上に診察台の汚染度の悪化が見られ、汚染度の著しい悪化もあった。診察台の清拭において、水洗いタオルの繰り返し使用は微生物学的な観点から適切ではない可能性が示唆された。
  • 三井 香奈, 茂木 千恵
    原稿種別: 短報
    2022 年 27 巻 2 号 p. N6-N11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/24
    ジャーナル フリー
    飼い主のいない猫(野良猫)の、人道的管理として、野外を放浪する個体の捕獲、不妊去勢手術を施して元の場所に戻すTrap–Neuter–Return (TNR) 活動が行われ、TNR活動による個体数抑制の効果も報告されている。本研究では、動物看護関係の大学生と一般市民を対象とし、アンケートを用いた野良猫の捕獲やTNR活動に関する意識調査を実施した。アンケートは米国の野良猫に対する意識調査にて使用された項目を用いており、調査結果は日本と米国との比較、さらに対象者の属性間での比較を行い、意識の相違点を明らかにすることを目的とした。米国と比較した結果、日本では、TNR活動への認知度及び参加意向が高くなっており、この相違には社会的要因の関与が示唆された。加えて一般市民と比較し、動物看護関係の大学生のTNR活動の認知度が低いことが分かった。回答者の性別や年代が認知度に影響を及ぼすことが示唆された。
  • 山口 翔大, 永井 貴志, 村上 彬祥, 小沼 守
    2022 年 27 巻 2 号 p. N12-N16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/09
    ジャーナル フリー
    猫の血栓塞栓症(TE)は予後不良であることが多く、動物看護師は適切なアセスメントを提供する必要がある。TEの疑いで来院した猫22頭のカルテデータを用いてSCAT(Steps for coding and Theorization)を基準に臨床徴候の12個のコード、およびプロフィール等から8区分、36個の水準を抽出し、クロス集計表から多変量解析を行った。結果、「発症時期<24h・cardiac troponin (cTnI)・), creatine kinase (CK)・全純血種・去勢雄・>11歳・6-10歳」、「純血種(アメリカンショートヘア・マンチカン)・去勢雄・急性・発症時期<24h・呼吸促拍・四肢冷感」、「急性・全純血種・白い毛色・中~高齢の去勢雄・呼吸促拍・四肢冷感」、「急性・呼吸促拍・四肢冷感・両後肢完全麻痺・後肢不全麻痺・後肢血流障害」、「発症時期<24h・cTnI・CK・全純血種・去勢雄・>11歳・6-10歳」「X線検査・超音波検査・CK・cTnI」の各群に関連があった。よって、「純血種(アメリカン・ショートヘア、マンチカン)、中~高齢の去勢雄、白い毛色、発症時期<24h、呼吸促拍や四肢冷感、cTnI、CK」の項目を、TEと関連するアセスメント時に注目すべき項目として利用できる可能性がある。
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