アロマテラピー学雑誌
Online ISSN : 2189-5147
Print ISSN : 1346-3748
ISSN-L : 2189-5147
20 巻, 1 号
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原著論文
  • 熊谷 千津, 対馬 ルリ子, 早田 輝子, 齋藤 碧, 尾崎 勇毅, 川口 光倫
    2019 年 20 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/02/05
    ジャーナル フリー

    精油を継続的に纏う生活が閉経移行期の女性における不定愁訴,心理状態,肌や髪の状態,内分泌系に与える影響を明らかにするため,ランダム化比較試験を行った。

    不規則な月経周期を有していた40~50歳代の女性35名が3群に分かれ,精製水(対照群),1%希釈カモミール・ローマン精油(カモミール群),1%希釈ゼラニウム精油(ゼラニウム群)のいずれかを身につけて約4週間生活を行った。

    介入期間前後で参加者の簡略更年期指数(SMI),不安(STAI),気分状態(POMS 2),肌状態や髪状態の実感(VAS),血中(血清)ホルモン濃度を測定し,介入期間後に医師が不定愁訴の「改善の程度」を第三者的に評価した。参加者の介入前SMIスコアに基づき,更年期不定愁訴の度合いが軽度であった28名のデータを解析に用いた。

    SMIについては,介入後にすべての群でスコアが減少した。一方,ゼラニウム群のみで介入後にSTAI特性不安の有意な減少,POMS 2の「活気–活力」と「友好」スコアの有意な増加が生じた。「肌の潤い」と「髪の潤い」の実感スコアは2精油の介入により有意に増加し,ゼラニウム群でのみ「抜け毛の少なさ」スコアが有意に増加した。血中ホルモン濃度に対する精油の介入による有意な影響は観察されなかった。不定愁訴の「改善の程度」については,2精油の介入群で対照群より有意に大きかった。

    本研究では,精油の介入がSMIスコアに影響している結果が得られなかった一方,複数の心理尺度や肌状態・髪状態の実感,不定愁訴の「改善の程度」で精油の介入による有意な改善が見られており,更年期女性の心身に対するアロマテラピーの影響に関して,詳細な検討が望まれる。

研究ノート
  • 鈴木 悟, 吉金 優, 中島 悦子, 北川(木下) あゆみ, 東谷 望史, 沢村 正義
    2019 年 20 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/02/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,ユズ(Citrus junos Sieb. ex Tanaka)シードオイルおよび市販のキャリアオイル中のフラボノイドおよびリモノイドの分析を主な目的とした。まず,オイル試料からこれらの化合物の抽出方法を設定した。すなわち,オイル試料(5 g)に内部標準としてナリンゲニンを含むメタノール–ジメチルスルホキシド(1 : 1)5 mLを加えて,振とう,遠心分離後,下層を分析に供した。定性・定量分析には高速液体クロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィー–質量分析法を用いた。ユズシードオイル・精製にはフラボノイドは検出されなかったが,リモニン,ノミリン,オバクノンなどのリモノイドがそれぞれ,12.2, 3.6, 21.3 mg/kg検出された。これらの化合物は,実験室で調製したユズシードオイル・クルードにおいて,それぞれ,636, 757, 43.6 mg/kgと高い濃度で存在した。市販の15種類のキャリアオイル中には本実験で分析した20種類のフラボノイドおよびリモノイドは検出されなかった。しかしながら,セサミオイルのみにノミリンとタンゲレチンがそれぞれ,1,290, 155 mg/kg検出された。本分析法を一般油脂にも応用した。

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