アロマテラピー学雑誌
Online ISSN : 2189-5147
Print ISSN : 1346-3748
ISSN-L : 2189-5147
16 巻 , 1 号
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原著論文
  • 藤林 真美, 永友 文子, 石原 昭彦
    2015 年 16 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2015/10/08
    公開日: 2015/10/08
    ジャーナル フリー
    生活習慣病への罹患は動脈硬化を促し,健康寿命に影響を及ぼすことは周知である。運動は動脈硬化の予防・改善に有効であるが,運動習慣のある成人男性は36.1%,成人女性は28.2%にとどまっている。近年,植物に由来する芳香成分(精油)を用いて鎮静や癒しを求めるアロマテラピーが人気を博している。本研究では,「運動時に精油を芳香させることで心身が鎮静して,運動を楽に行える」と仮説を立てて検証を行った。10名の健康な中年女性(年齢:53.6±8.0,BMI:24.5±3.2)を対象に,自転車を用いた有酸素運動を20分間行わせた。運動前と運動中に心拍数および自覚的運動強度を測定した。運動中にグレープフルーツ精油(学名:Citrus paradisi)を芳香する精油試行と芳香を行わない対照試行の間でクロスオーバー試験を行った。その結果,精油試行では対照試行と比較して自覚的運動強度の変化率が有意に低下した。本研究から,精油芳香によって「運動を楽に行うこと」が期待でき,肥満の予防・改善を目指した運動処方に応用できると結論した。
  • 熊谷 千津, 永山 香織
    2015 年 16 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2015/10/08
    公開日: 2015/10/08
    ジャーナル フリー
    小学校高学年児童の計算力と気分に与える精油の影響を明らかにする目的で,ペパーミント油とオレンジ・スイート油を用いてランダム化クロスオーバー比較試験を行った。対象は小学6年生(11,12歳)の男子女子,合計38名であった。対象児童をランダムに2群に分け,ペパーミント油の検証を行う群,オレンジ・スイート油の検証を行う群とした。また,各群ともさらに2群に分け,実験順序による影響を消去するため,ウォッシュアウトの休憩時間を挟み,対照とする精製水と精油の実験順序をクロスオーバーさせた。気分の変化は二次元気分尺度(TDMS-ST),および,VASで評価し,計算力は10分間の百ます計算(1桁,加法)の作業数と誤答数を評価した。さらに,語彙検索力の評価として語想起課題を行った。精油の香り刺激は,精油を滴下したプレートを鼻に近づけ30秒間吸入した後,机上にプレートを置いて芳香浴を持続した。ペパーミント油は,精製水の場合と比較して,集中している,頭がスッキリする,元気がある,の3項目でVASスコアが有意に向上した。オレンジ・スイート油では,精製水の場合と比較して,イライラしていない,やる気がある,不安でない,きびきびしている,頭がスッキリしている,の5項目でVASスコアが有意に向上した。また,TDMS-STでは,オレンジ・スイート油において,活性度,安定度,快適度で有意な向上が確認された。計算力では,百ます計算作業数の平均値は,精製水,ペパーミント油,オレンジ・スイート油の場合ともに変化は見られなかった。誤答数の平均値は,有意差は認められなかったが,ペパーミント油では,精製水の場合の4.2から3.2に24%減少し,オレンジ・スイート油では精製水の場合の4.4から3.2に27%減少した。誤想起課題では,ペパーミント油,オレンジ・スイート油ともに有意な変化は見られなかった。
    以上のことから,ペパーミント油,オレンジ・スイート油ともに,頭がスッキリするなど,小学生の気分に好影響を与え,計算ミスが減少する傾向があることが明らかとなった。
  • 木村 竜一朗
    2015 年 16 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2015/10/08
    公開日: 2015/10/08
    ジャーナル フリー
    成人T細胞白血病(ATL)は,ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)感染を原因とするリンパ性悪性腫瘍である。ATLの発症には,転写因子NF-κBが重要な役割を果たすことが知られており,特異性の高いNF-κB阻害剤の開発が悪性度の高いATLの治療に有効と考えられている。本研究でわれわれは,精油の抗ATL効果とNF-κB阻害効果について,ヒトHTLV-I感染T細胞株を用いた解析から明らかにした。試行した30種の精油のうち,ゼラニウム,イランイラン,ジュニパー,ジャスミンの4種については,顕著に細胞増殖を抑制することがわかった。さらにゼラニウムは,HTLV-I感染T細胞株の恒常的なNF-κB活性化を抑制し,その結果,カスパーゼ依存的なアポトーシス細胞死を特異的に誘導することが明らかとなった。以上の結果から,ゼラニウムは強力なNF-κB阻害効果と抗ATL効果を有することが示された。これらの知見は,ゼラニウム精油,および精油の構成成分は,NF-κBが活性化している多くの腫瘍,および種々の炎症性疾患に対する分子標的治療と緩和ケアに効果を発揮する可能性を示唆するものである。
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