アロマテラピー学雑誌
Online ISSN : 2189-5147
Print ISSN : 1346-3748
ISSN-L : 2189-5147
16 巻, 2 号
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原著論文
  • 角崎 丈司, 三重野 雄貴, 浜出 百合菜, 青木 俊介
    2016 年 16 巻 2 号 p. 25-36
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    精油の効能については経験的に確認されているが,その構成成分の生体における作用機序については多くが明らかにされていない。本研究ではケモインフォマティクスの各種手法を用い精油構成化学成分の病原体であるMycobacterium属およびStaphylococcus属への抗菌作用機序を解明することを目的とした。精油化学成分と標的タンパク質のドッキングシミュレーションを行い,そこで選択された23種の精油に関し抗菌作用の検証を行ったところ,6種の精油において抗菌活性が見られた。抗菌活性を持つ精油を併用時の抗菌作用の検証を行い,複数精油の併用による抗菌活性の相乗効果を見いだした。さらに,シミュレーションならびに実験結果より8種の精油構成化合物を入手し,単独での抗菌作用の検証から,7種類の化合物に抗菌作用を見いだした。これら化合物を併用した際の抗菌作用の検証実験からは,有意な相乗的抗菌作用を示す化合物の組み合わせが確認された。また,抗菌活性を持つ精油化学成分と予想される標的タンパク質との相互作用解析より,結合モデルを予測した。今回の研究結果からケモインフォマティクスの応用は,精油の抗菌作用の分子レベルでのメカニズム解明に有効であると考えられた。
研究ノート
  • 小谷 泰子, 神保 太樹
    2016 年 16 巻 2 号 p. 37-41
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    口腔不快感,嚥下障害,構音障害,齲蝕や歯肉炎の多発などを引き起こすドライマウスの治療は保湿剤の使用など対症療法が多いものの,唾液の役割を考えると唾液分泌量を増加させる方法が望まれる。唾液量の増加効果を持つ精油を用いたアロマテラピーにてドライマウスが軽減するかどうかを,9例のシェーグレン症候群症例を含む20症例(64.3±10.8)を対象に検討した。その結果,アロマテラピー後に唾液分泌量が増加した症例,口腔不快感およびストレスの指標となる唾液中のアミラーゼが減少している症例が認められた。今後,アロマテラピーの適応や長期的な使用に伴う効果を検討する必要があると考えられた。
  • 浦口 真喜, 大平 英樹
    2016 年 16 巻 2 号 p. 42-51
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    短時間のアロマトリートメント(AT)が状態不安および状態自尊感情に与える影響を検討した。6名の参加者全員が,20分・10分・5分の3時間条件のATと安静,計6実験すべてに参加した。参加者は施術台上で5分の前安静,ATまたは安静の介入,15分間の後安静を行い,その後,机に移動した。前安静後・介入直後・机に移動後に状態不安尺度と状態自尊感情尺度に記入した。精油はオレンジ・スイート,施術は足から膝までの部位に統一した。介入内容×測定ポイント×時間条件の3要因分散分析の結果,両尺度とも机に移動後のAT条件と安静条件の差は有意となり,AT条件のみ状態不安が有意に低下,状態自尊感情が有意に上昇した。時間条件ごとの介入内容×測定ポイント2要因分散分析では,状態不安は全時間条件でAT条件が安静条件より有意に低下,状態自尊感情はAT条件において上昇したが安静条件との差は20分条件と5分条件で有意傾向であった。しかし,状態不安と状態自尊感情の相関分析では,AT・安静条件間の状態自尊感情の差が20分条件でのみ明確に示された。状態不安は5分のATでも低下するが,状態自尊感情の上昇には20分以上の施術時間が必要である可能性が示唆された。
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