コンクリート工学論文集
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23 巻, 2 号
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  • 関 玲子, 松本 浩一, 石橋 忠良, 小林 將志
    2012 年 23 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/15
    ジャーナル フリー
    土木構造物の設計において,せん断スパン比2.0程度を境界としせん断耐力評価手法が変わるため,その適用境界において断面諸元が著しく異なる場合がある。側方鉄筋の多い壁式橋脚では,せん断スパン比が小さい領域であっても,せん断補強鉄筋が降伏した場合はトラス理論により求めたせん断補強鉄筋が負担するせん断耐力をコンクリートが負担するせん断耐力にそのまま加算でき,せん断補強鉄筋が降伏していない場合は腹部コンクリートの斜め圧縮破壊耐力を用いることでせん断耐力の評価が可能となった。これにより,せん断スパン比の値によらず,せん断耐力評価の連続性を保つことが可能となる。本論では,壁式橋脚と異なり,側方鉄筋の少ないディープビーム部材の載荷試験を行うとともに,既往の試験結果についても検討した。前述したせん断耐力評価手法が載荷方法,支点の支持条件および側方鉄筋の配筋状態に関わらず,適用できることを報告する。
  • 坂田 昇, 菅俣 匠, 林 大介, 作榮 二郎
    2012 年 23 巻 2 号 p. 59-69
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/15
    ジャーナル フリー
    コンクリートの凍結融解抵抗性に及ぼすブリーディングの影響について検討を行った。石灰石微粉末の細骨材置換および異種細骨材の混合によってブリーディング量を変化させた場合,ブリーディング量が多いほど凍結融解抵抗性は低下した。水銀圧入法による細孔径分布やビッカース硬さによる粗骨材まわりの脆弱層は,φ100×200mm の供試体ではブリーディング量によって変化しにくい一方で,気泡間隔係数はブリーディング量の増加に伴い大きくなる傾向にあった。この要因として,ブリーディングの流れがAE剤によって連行された空気の破泡および合一を促すためと推測し,浮力法によるフレッシュコンクリートの気泡間隔係数の経時変化から,ブリーディング量が多いほど経時1~3時間で気泡間隔係数が大きくなる傾向にあることを明らかにした。
  • 植木 康知, 大塚 勇介, 平本 真也, 檀 康弘
    2012 年 23 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/15
    ジャーナル フリー
    各種高炉セメント及び,高炉セメントにフライアッシュ(FA)を置換した結合材を用い,コンクリート供試体を作製し,45年間水中養生を行ない,各種物性を調査した。その結果,いずれの結合材を用いた供試体についても,材齢45年時は表層より約1cmで溶脱による変質が認められたものの,スラグ置換率が大きくなるほど長期強度が増進する傾向が確認された。また,高炉セメントにFAを添加した場合,混和材が高炉スラグ微粉末のみの場合に比べて,長期強度が大きく増進していることが分かった。FAを混合することにより,細孔径分布において6-20nmの細孔量が増加し,組織の緻密化が促進されていることが確認された。
  • 菊田 貴恒, 三橋 博三, 秋田 宏
    2012 年 23 巻 2 号 p. 81-90
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/15
    ジャーナル フリー
    ひずみ硬化セメント複合材料(以下,SHCC)の優れた特性を生かして実構造物に適用していくには,引張性状評価法の標準化が重要である。一軸引張性状を評価するための試験方法はこれまでにも各所で提案されているが,そのほとんどは試験体寸法が小さいものや,曲げ試験による間接評価に留まっている。構造部材中のSHCCの性能を適切に再現し評価するためには,断面を十分に大きくして部材断面内の繊維配向により近い状態とした試験体での引張性状評価手法を確立することが必要と考えられる。本研究では一軸引張試験を実施し,引張性状に及ぼす支持条件並びにひび割れの発生に伴う2次曲げの影響を明らかにすると共に,それらの知見を生かし100mm角の大断面試験体を用いて効率的に試験が実施できる新たな一軸引張試験用治具を開発した。
  • 内海 秀幸
    2012 年 23 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/15
    ジャーナル フリー
    BET吸着等温線を拡張したBSBモデルにより最適化された硬化セメントペーストに対する水蒸気吸着等温線のデータに基づき,含水量に応じて遷移する蒸気相水分の拡散特性を検討した。蒸気相水分の有効拡散係数比は材齢や水セメント比に関わらず単分子吸着状態において最大値を示し,その最大値は単分子吸着量の増加,すなわち比表面積の増加にともなって線形的に減少する傾向にあることが明らかとなった。硬化セメントペースト内部における蒸気相水分の拡散特性は,乾燥状態から単分子吸着状態に至る過程では吸着の駆動力である試料界面と吸着ガスの間に働く相互作用,また,単分子吸着状態以上の含水状態においては微細構造の幾何学的特性に基づく拡散経路に関する影響が支配的となる二つのメカニズムを有しているものと考察された。
  • 田邊 裕介, 石川 裕次, 藤井 英二, 大野 正人
    2012 年 23 巻 2 号 p. 99-110
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,繊維補強セメント系複合材料(FRCC)を用いた鉄骨接合構法の可能性を検討するために,実験的および解析的研究を行った。まず,高強度モルタルにアスペクト比の異なる2種類の鋼繊維を混入したFRCCの基礎特性を調べるために,材料の曲げ試験および圧縮試験を実施した。材料曲げ試験により,FRCCはプレーンモルタルより曲げ強度および曲げ靭性が著しく増加することを確認した。次に,鉄骨の端部プレートにスタッド鉄筋を溶接し,ノードに相当する部分にFRCCを打設した,鉄骨接合構法(FRCC接合)の検討を行った。本構法は自由曲面鋼構造などへの適用を想定しているが,本研究では基礎性状を把握するために,一軸曲げ応力状態を想定した漸増繰り返し実験を行った。さらに,材料試験データを基にFEM解析モデルを構築し,FRCC接合部の漸増繰り返し曲げ実験をシミュレートして解析の妥当性を検討した。最後にFRCC接合の軸力とモーメントの耐力曲線(M-N耐力曲線)を算出し,FRCC接合の適用可能範囲を示した。
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