(1) 輝沸石と束沸石とは相互に類似した2種の沸石であるが,その X線的および熱的性質については下記のようにかなり明瞭な差異が確認される。 (2) 脱水曲線として表現された重量減少は両者とも加熱とともに徐々に進行するが,輝沸石に於ては280℃において一部の結晶水が急激に失われることがその特徴として見出される。 (3) 示差熱分析曲線に関しては,191℃および252℃における吸熱ピークの存在が束沸石の特徴で,これに反して輝沸石では341℃における吸熱ピークが特徴となる。 (4) X線廻折像に関しては本質的に大きな差異はないが,いくつかの点について両者の識別に有効な明かな差異をみとめることが出来る。 (5) 700℃ までの加熱に際し,輝沸石の格子は300℃と400℃の中間において一部脱水した組成の高温型に転移した後,崩壊するが;束沸石は高温型をとることなく単に高温に到つて大部分脱水すると共に格子が崩壊して無定形になる。
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