隕石鉱物に対する興味の最も初歩的な形は,隕石のなかにどんな鉱物が出現するかという問いであろう,また,地球上に見られないような鉱物が隕石に出現するかというような問いであろう。こういう問いに対する解答として,本稿の末尾のところに,隕石鉱物の分類一覧表をつけておこう(第1表)。 隕石のなかの大部分は,カンラン石と輝石とニッケル鉄とがいろいろな割合に混ってできている。ニッケル鉄が多いことを除けば,超塩基性火成岩に似ている。しかしそのほかに,少量成分としていろいろな種類の鉱物が出現するのである。 近年,地球科学のなかの広い範囲にわたって,隕石に対する興味が高まってきた。その主な原因は,隕石の研究から,太陽系や地球の成因や構成についての手掛りをえようとする望みが高まってきたことにある。したがって,この場合には,隕石の成因鴨や生成条件が,重要な問題なのである。そこで本稿も,これから後の本文では,その点を考慮して,隕石の成因や生成条件を指示するものとしての隕石鉱物という問題に,焦点を合せて解説することにしよう。隕石の分類命名表を,本稿の末尾につけてあるから,参照しながら読んで頂きたい(第2表)。
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