高齢化が進行する先進諸国において、介護を必要とする高齢者や障害者(以下、利用者)の生活を支える介護福祉職の量的・質的確保は共通する課題である。利用者の多様化・複雑化・高度化する介護ニーズに適切に対応するためには、介護福祉職に求められる能力が明確になっており、それを具現化する教育科目が設定されていることが必
要不可欠である。
本稿では先駆的福祉国家であるデンマークの社会保健ヘルパーの職業教育訓練制度を取り上げ、求められる能力及
び教育訓練科目との関連性を明らかにすることを目的とした。Bekendtgørelse om erhvervsuddannelsen til social-og
sundhedshjælper(Undervisnings- og Kvalitetsstyrelsens bekendtgørelse nr. 535)などの文献・資料から、社会保健
ヘルパーの職務は、利用者に対して広範囲で基礎的なケア、身の回りの世話及び実際的な支援を単独で遂行することで、求められる能力として、①利用者の権利、並びに社会保健ヘルパーの職務領域に適用される専門職・権限者としての責任を伴う倫理的・法的規則に従って社会保健ヘルパーとして単独で及び専門分野の間で協力して職務を遂行すること、②早期発見のためのツールの使用を含め、利用者の身体的・精神的・社会的健康状態に観察された変化に単独で専門的に対応することなど、13項目があり、それぞれ、「社会保健ヘルパーの役割」、「利用者との出会い」など教育訓練の各科目と密接に関係している構造が明らかとなった。
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