テルル (Te) の酸化物を母材料とするTeO
x (
xはTeO
2とTeの混合物における平均的化学組成比) にゲルマニウム (Ge) およびすず (Sn) を添加した薄膜は, パワー密度とスポット長の異なる2つのレーザービームを交互に照射することにより光学的反射率が可逆的に変化し, 消去・書き換え可能な光ディスク用メモリー材料として有望であることを見い出した.信号の記録には, 回折限界まで絞り込んだパワー密度の高い円形レーザービーム (直径0.9μm) をメモリー薄膜に照射する.薄膜は, この照射により急熱, 急冷を受けて反射率の低い状態へ転移する.この記録ビットの消去には, 長楕円状に絞られたパワー密度の低いレーザービーム (約1×10μm) を照射する.薄膜はアニールされて, 元の反射率の高い状態へ戻る.これらの2つの半導体レーザービーム (1つは記録再生用, 他は消去用) を1つのレンズ系に組み込んだ光学ヘッドを開発した.このヘッドの開発により, 記録ずみの信号を検索し, ただちに消去する, あるいは消去しながら新たな信号に書き換えて行くことも可能となる.主なディスク特性としては, 5MHz, 30kHzバンド幅でのCN比は55dBであり, 記録・再生・消去を100万回繰り返すことが可能であった.
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