日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
選択された号の論文の265件中201~250を表示しています
R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物
  • 阿部 利弥
    セッションID: R2-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ここ数年,Li2OやB2O3を添加したCaO-V2O5系のフラックスを使用して,アノーサイト結晶の育成を試みている.この系は育成に適しており,約10x5x2mmのサイズの結晶が得られている.1~2mm大の結晶は透明であるが,数ミリを超える結晶では淡黄色を帯びたものや白濁したものも多く,クラックが顕著なものも多く見られた.結晶の着色は,フラックス組成と関係しており,CaO-V2O5-Li2O系フラックスにおいて最も良い結果が得られている.クラックは冷却時に導入されると考え,冷却を遅くする対策を講じたが,現時点で顕著な効果は確認されていない.
  • 越後 拓也, 山田 裕久, 田村 堅志, 鈴木 達
    セッションID: R2-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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     Cancrinite [Na6Ca2(AlSiO4)6(CO3)2•2H2O] は3次元フレームワーク構造を持つ準長石族の一種である。最近、ロシアのコラ半島において、シュウ酸イオンを含有した cancrinite族鉱物 kyanoxalite [Na7(AlSiO4)6(C2O4)0.5-1.0•5H2O] がアルカリ深成岩体中から報告されたが、その生成機構については不明な点が多い。そこで本研究では、kyanoxaliteの生成場を模した環境でシュウ酸を含有したcancriniteを合成し、kyanoxaliteの生成機構を考察することを目的とする。  天然環境におけるkyanoxaliteの産状を考慮し、sodaliteを出発物質として用いた合成実験を行った。合成sodalite結晶 (0.1 μm) を 0.3 M シュウ酸ナトリウム溶液で 200 °C、5日間加熱したものに対し、粉末X線回折分析、ATR-FTIR、熱分析を行った。粉末X線回折分析の結果、水熱処理後のsodalite結晶の結晶構造は、cancrinite構造へと変化していることが明らかになった。また、熱分析の結果、シュウ酸塩鉱物の分解過程において普遍的に見られる発熱反応 C2O4 → CO↑+ CO32-が観測されたことから、シュウ酸がcancrinite のケージ内に包摂されていることが示唆された。
  • 栗林 貴弘, 佐野 亜沙美, 長瀬 敏郎
    セッションID: R2-P01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    相の安定性と構造中の水素に関連して,第一原理計算機シミュレーションにより28GPa付近での水素結合の対称化に伴う高圧相転移を予測されたり,粉末X線回折実験により20 GPaまでの高圧下において圧縮曲線により高圧相転移らしき挙動が観察されているが,相転移や転移点圧力に関しては推測の域を出ていない. 本研究では,相転移が予測される圧力付近で単結晶X線回折実験を行い,δ相の高圧相転移の確認と相転移点圧の決定を試みたので,その結果について報告する. 単結晶法によって,消滅則に対応した回折線の積分強度をモニタリングした結果,7 GPa付近でこれら回折線の積分強度がなくなり,新たな消滅則が働くことを確認したことから,この圧力において相転移が生じたと考えられる.
  • 内川 珠樹, 栗林 貴弘, 工藤 康弘
    セッションID: R2-P02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    含水ケイ酸塩鉱物にはbrucite層的な構造をとる鉱物が多く、それらの構造中の水素の挙動を理解する上でbrucite層は重要である。BruciteのOH伸縮振動赤外吸収スペクトルは3700cm-1にピークが1本現れる。しかし、bruciteの3700cm-1のピーク近傍に複数のピークが見出せる結果が先行研究にみられる。本研究では、FT型顕微赤外分光光度計とEPMAを用いて,天然のbruciteの赤外吸収スペクトルにおける3700cm-1近傍に見られる複数のOH伸縮振動赤外吸収ピークの原因を化学組成から検討した。EPMAの結果は陽イオンとしてMg, Mn, Feの存在を示した。反射電子像では累帯構造等は観察されず、試料全体で組成的に均質であった。赤外吸収スペクトルではOH伸縮振動領域において3700cm-1とその近傍の3691cm-1にピークが観察された。2本のピークが観察されたことは、OH基の配位する陽イオンの組み合わせが2種類存在することを示唆する。3700cm-1のピークはMg端成分のときのピークに相当し、3691cm-1のピークはMg, Mn, Fe組成比に対応して現れると考えられる。
  • 長田 直, 栗林 貴弘, 長瀬 敏郎
    セッションID: R2-P03
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    スピネル(MgAl2O4)の構造には4配位席(Tサイト)と6配位席(Mサイト)が存在しており,各サイトの結合距離と平衡温度の間には直線的な関係が報告されている。本研究ではその関係を利用してマダガスカル産天然スピネルのT-O距離とM-O距離から平衡温度を推定することを試みた。EPMAによる化学組成分析の結果,試料の組成式はMg0.93Fe0.06Al2.01O4であった。さらに結晶構造を精密化するため,四軸自動回折計を用いてX線回折実験を行った。格子定数はa = 8.0915(6) Åであり,空間群Fd3mで構造を精密化した結果,酸素の原子座標パラメーターu = 0.26363(4),T-O距離1.9428(6) Å,M-O距離1.9190(3) Åを得た。これらの結合距離に鉄イオンの影響を取り除くための補正を行ったところ,平衡温度としてそれぞれ561K,585Kという値を得た。
  • 大川 真紀雄, 戸高 翔太, 伊賀 文俊
    セッションID: R2-P04
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    いわゆる天然磁石と呼ばれる10試料(9産地)について、SQUID磁束計(MPMS)を用いて磁化測定を行った。天然磁石の代表的な産地であるIron County産、Magnet Cove産の試料が飽和残留磁化・保磁力ともに大きな値を示すのに対し、今回実験に用いた本邦産の試料はそれらには及ばない値であった。柵原鉱山産は大きな飽和残留磁化を示すものの保磁力は大きくはない。なお、磁鉄鉱の組成はMagnet Cove産のみTiを含み(TiO2 10.1wt%)、柵原鉱山産ではSi含有量が多い(SiO2 <4.34wt%)ことが特徴的である。
  • 植田 康浩, 三宅 亮
    セッションID: R2-P05
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    分子動力学 (MD)シミュレーションによりペリクレース (MgO)中の空孔の移動頻度や空孔同士の位置関係の違いによる空孔移動の差異を明らかにするための研究を行った。セルサイズは6x6x6から10x10x10まで、圧力はすべて常圧、温度は300Kから3000Kまで、MgとOの空孔を一つずつ含むMDセルで計算を行った。低温では空孔の移動が確認できなかったが、およそ1600K以上の高温で空孔の移動が確認できた。Mgの空孔の移動頻度の方がOの空孔の移動頻度より高く、また温度の増加に伴い、OとMgそれぞれの空孔の移動頻度はともに指数関数的に増加する傾向があった。低温の方が空孔同士が隣り合った状態でいる時間が長く、高温になるにつれ空孔同士が離れた状態でいる時間が長くなる傾向があった。
  • 荒砂 茜, 奥野 正幸
    セッションID: R2-P06
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    オパール(SiO2n・H2O)は水分子やシラノール基(Si-OH)を含むシリカ鉱物である。本研究では、人工的に合成した非晶質オパールの加熱処理による構造変化について調べた。合成オパールは、160℃から1400℃の温度で1時間加熱処理を行った。得られた加熱試料について、SEM観察、粉末X線回折測定、赤外吸収測定(KBr錠剤法)、ラマン分光測定を行い、調査した。未加熱の合成オパールは4員環を主体とするネットワーク構造を持ち、400℃までの加熱処理では中距離構造に大きな変化は生じないと考えられる。600℃までに、シラノール基の脱水縮合が起き、新たなSi-O-Si結合が形成されるが、この温度以上では、熱によるネットワークの再構築が起き始め、構造中に6員環など、より大きなリング構造が形成される。1000℃の加熱で、オパールの構造は6員環を主体とするシリカガラスに近づく。さらに、1200℃以上の温度で、オパールはcristobaliteへと結晶化すると結論づけられる。
  • 土屋 裕太, 西戸 裕嗣, 能美 洋介
    セッションID: R2-P07
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ジルコン試料(Malawi産)のカソードルミネッセンス(CL)を解析した。CLに偏光効果があることを確認した。室温では青色領域にintrinsicな構造欠陥、500~700 nmに放射線損傷に伴う構造欠陥に起因するブロードなバンドスペクトルを認めた。また、Dy(III)による480 nmおよび580 nm付近のナローなピークもみられた。室温で確認された500~700 nmのブロードなバンドスペクトルは700℃以上で消失し、Dy(III)の他にGd(III)およびEr(III)の発光ピークが認められるようになる。また、青色領域の構造欠陥に起因する発光は処理温度の上昇とともに強度が段階的に増加した。これは、メタミクトが解消し結晶場が回復したことを示す。従来の方法では困難であったメタミクト化の程度の低い試料に対して、CLはアニーリングによる結晶構造の回復の過程を評価することが可能である。
  • 草野 展弘, 西戸 裕嗣, 槙尾 雅人, 蜷川 清隆
    セッションID: R2-P08
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ドロマイト試料(Hase D-06; Binntal D-17; Blackrock D-26)のカソードルミネッセンス(CL)を解析した。アクチベータはMn(II)のみ認められた。室温においていずれの試料からも赤色領域にブロードなバンドスペクトルが認められた。D-06とD-26は、1.84 eVおよび2.15 eV付近にピーク波長をもつ2つの発光成分をもつ。前者はドロマイトのMgサイトをMn2+イオンが置換し、後者はCaサイトを置き換えたもので、両者の結晶場の違いを反映している。いずれの試料とも濃度消光を起こすほどMn含有量は高くないため、CL強度とMn濃度は比例関係にある。したがって、これら成分の積分強度から両サイトを占めるMnイオンの分配を定量的に評価できる。D-17は全てのMnイオンがMgサイトを占めている。このような例は報告がない。
  • 槙尾 雅人, 西戸 裕嗣, 草野 展弘, 蜷川 清隆
    セッションID: R2-P09
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    スミソナイト試料(San Antonio S-08; New Mexico S-09; Chihuahua S-11)のカソードルミネッセンス(CL)を解析した。S-09およびS-11からは、室温において赤色領域にブロードなバンドスペクトル(波長650 nm)が認められた。これはMnイオンがZnを置換しアクチベータとして発光したものである。一方、S-08は400 nm付近をピーク波長とするブロードながら大きな発光スペクトルを示した。また弱いながらS-09からも検出された。これは、構造欠陥に起因すると考えられる。赤色発光は1.82 eVを成分とする単一の発光からなり、青色発光は3.25 eVと3.52eV付近をピーク波長とする二つの成分からなる。試料温度の上昇とともに青色成分の強度は徐々に減衰し、Mott-Seitzモデルから推定される温度消光を示すことが明らかとなった。
  • 蜷川 清隆, 西戸 裕嗣, 河野 重範, 野村 律夫
    セッションID: R2-P10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    今までに、カソードルミネッセンス画像とその発光スペクトルは、自生鉱物及び生物起源の鉱物の成長構造を明らかにするのに使用されてきている。そして、環境地質学及び考古学の分野、特に生命活動でできた炭酸塩の研究においてよく研究されてきている。しかし、珪化した化石に対してはあまり研究されてきていない。本研究では、カソードルミネッセンスによる珪化木の画像測定の結果、発光スペクトルの結果を報告するとともに、ラマン分析の結果と合わせて、珪化木の珪化について考察する。
  • 上野 禎一, 福嶋 つかさ, 西山 恵梨, 小平 希望, 鹿毛 俊作, 土橋 健太郎, 長澤 五十六
    セッションID: R2-P11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    フラックス法により白金るつぼと電気炉を用いてエメラルドの合成実験を行った。主成分試薬は、BeO、 Al2O3 、SiO2で、着色剤は Cr2O3で、フラックスはMoO3とLi2Oである。数種類の結晶を得たので、それらの結晶形態、表面構造、結晶学的データについて報告する。
  • 藤 昇一, 上原 誠一郎, 松村 晶, 海野 裕人, 菅原 潤, 服部 研作
    セッションID: R2-P12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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     コーディエライト(Crd)は鉱物の共存関係や相転移ならびに微細組織に着目した多くの地質学的鉱物学的研究が行われて来たが,その特徴の一つとして,特異な熱膨張特性を上げることが出来る.この特性は鉱物学のみならず,セラミックスの分野でも注目されてきた.黒崎播磨(株)は高精度測定機器用部材として,室温付近での熱膨張係数がほぼゼロを示し,機械的特性においても極めて優れた特性を有する,Crdを主成分とするセラミックス,NEXCERAを開発した.  本研究では,これらのセラミックスの主成分であるCrdの特徴を明らかにする事を目的として,透過型電子顕微鏡およびX線回折計を用いて微細組織,化学組成ならびに結晶構造解析を行った.発表では以上の結果にもとづき,添加元素(Li, La)および熱履歴の影響について考察ならびに議論を行う.
  • 山田 翔輝, 赤井 純治
    セッションID: R2-P13
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    serpentineの多形にはlizardite,antigorite,chrysotileがあり,chrysotileの構造としては,spiralとconcentricの存在が知られている(e.g.,Yada,1971)が、その成因についてははっきりとしていない.また,Veblen and Buseck(1979)などによりpyribolesからserpentineが生成している組織構造がHRTEMにより撮像されているが,chrysotileの成長プロセスについては, なお明確ではない.本研究では,大江山接触変成岩体産 pyribolesからchrysotileが生成,成長する過程をHRTEMにより撮像し,その成長の動的過程について検討を行い,pyribolesのb軸方向から半ば結晶構造の規制を受けつつ、成長したものとして合理的に説明できることがわかった.
  • 牲川 菜月, 北村 雅夫, 下林 典正, 三宅 亮, 高谷 真樹, 兒玉 優
    セッションID: R2-P14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    オストワルド段階則に従う結晶形成過程に関する一般的理論を構築したうえで、天然に見られる雪の砲弾集合の作製実験を行った。一般的な理論的考察の結果、高い過飽和度の下では準安定相が核形成し、結晶成長に伴って過飽和度が減少すると、準安定相の上に安定相が核形成・成長しうることが連続的に説明できた。得られた条件をもとに、西堀榮三郎記念探検の殿堂(滋賀県東近江市)の低温室内で雪の砲弾集合結晶の作製に取り組んだ。質量分析計の試料導入に使われるネブライザーとスプレーチャンバーを用いて微小な水滴をつくり、凍結させた。これを空中で成長させた後回収し、顕微鏡観察を行った。その結果、特定の条件下で天然の砲弾集合結晶の再現に初めて成功した。
R3:高圧科学・地球深部
R4:地球表層・環境・生命
  • 渡邉 克晃, 山本 祐平, 青才 大介, 水野 崇, 竹野 直人, 小暮 敏博, 鈴木 庸平
    セッションID: R4-01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    花崗岩体深部におけるコロイドの働きは物質移動を議論する上で重要であるが、コロイドの採取と分析の困難さからその特性は明らかでない。本研究では、地下水中のコロイドの鉱物学的な特性の把握を目的として、花崗岩中に掘削されたボーリング孔から得られた地下水(深度650、1150m)を嫌気状態で限外濾過(孔径10kDa)し、濾過膜を収束イオンビーム法で超薄片に加工した試料について分析を行った。透過型電子顕微鏡観察から、非晶質鉄酸化物の凝集体及び赤鉄鉱の微結晶が、Siを伴って析出していることが分かった。本研究の結果を鉱物学的・地球化学的に解釈すると、確認されたコロイドはボーリング孔掘削時にFe(II)が酸化されることにより形成された可能性があること、Fe-Siコロイドは形成後数年間は安定に存在していることが示された。 本研究は原子力安全・保安院「平成22年度地層処分に係る地質評価手法等の整備」の予算の一部を利用して実施した。
  • 赤井 純治, 松下 新, 松本 仁子
    セッションID: R4-02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    福島原発事故による土壌の放射能汚染、とくに半減期の長いCs汚染の深刻な問題に不安が広がっている。環境鉱物学の視点から、Cs土壌汚染の問題の基礎を検討した。
  • 鈴木 庸平, 渡邉 克晃, 小暮 敏博, 月村 勝宏
    セッションID: R4-03
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    地球上の生命は120℃を上限として表層から深海、地殻内に渡る広大な空間に分布し、物質循環のフロントはナノメートルスケールの鉱物から構成される。ナノ鉱物はバルクより表面特性が卓越し、核形成・結晶成長を理論的に扱うには過飽和度(ギブス生成自由エネルギーに基づく平衡定数と溶液中のイオン活動度積の比)に加えて、水との親和性の指標である表面エネルギーを考慮する。しかし表面エネルギーは測定が困難で既存データの信頼性が低く、目的の天然ナノ鉱物に適用できるか検証を要する。また天然系では溶液から直接沈殿する均質核形成と、固体表面を下地とした不均質核形成を介す場合が想定される。現在取り組んでいる地球生命圏を対象としたナノ鉱物学的手法と地球化学分析を組み合わせた研究、および核形成・結晶成長過程の解明と地球化学モデリングによる過飽和度の計算から天然ナノ鉱物の表面エネルギーの情報を取得する方法論を発表する。
  • 三浦 保範
    セッションID: R4-04
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    REE(微量炭素を含む)から (1) タイプY(玄武岩)と(2) タイプC(高地溶融)に分けられるので、これを地球内の複雑な岩石と衝突岩(サドベリー破砕岩)の形成過程情報に応用する。火成岩(花崗岩・玄武岩・閃長岩・ダナイト・流紋岩)は二種あるが、斜長岩はタイプYで、蛇紋岩・キンバレー岩・黒曜石はタイプCである。堆積岩や銅鉱石・MnノジュールはタイプCであるが、炭酸塩(石灰岩、ドロマイト)は二種ある。鉱物では、雲母と灰長石はタイプCである。カナダオンタリオ州のサドベリー鉱山の破砕岩(地表)は、REEはタイプCである。サドベリー破砕岩形成過程の推定:試料のその場分析(FE-ASEM)から、塩素、Ca、炭素の微粒子を検出した。REEタイプCより、「浅海に衝突し、大陸移動中に埋没し形状破壊された」と新たにわかった。本応用として、形状破壊した埋没孔を、今回の手法で形成確認がすることができる。
  • 渕崎 円香, 阿部 仁美, 福士 圭介, 長谷部 徳子, 柏谷 健二
    セッションID: R4-05
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ダルハド盆地はモンゴル北端の大陸内部に位置し、気候変動に敏感である。ダルハド盆地では気候変動に従った水文学的イベントが起こったことが知られており、更新世の間幾度かの氷河作用により氷河湖を形成し、気候変動に伴って放水と貯水を繰り返していたことが報告されている (Gillespie et al., 2008)。また近接するバイカル湖やフブスグル湖では、気候変動の応答として水質の変化が起こったことが推測されている。本研究ではダルハド盆地から掘削された湖沼堆積物を対象とし、鉱物学的分析から古湖沼水質の復元を試みることを目的とする。
  • 村上 隆, 菅崎 良貴
    セッションID: R4-06
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    初期原生代の大気酸素進化の定量的パターンはこの時代の地球表層の変動を知るために不可欠である。大気酸素濃度は25億年前から20億年前にかけて10^-6から10^-3気圧に徐々に上昇したという新しいモデルを提唱されたが、このモデルは同時代の大規模な氷河時代の大気酸素濃度を評価できない。風化モデルを使い、氷期-間氷期時代における大気酸素濃度を評価した。間氷期の高温時期では、標準的な時期と大差なく評価できるが、氷期の低温時期では風化からは大気酸素濃度が評価できないことがわかった。
  • 菅崎 良貴, 村上 隆
    セッションID: R4-07
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    初期原生代に起こったとされる大気中の酸素濃度の上昇は、地球史で最も重大なイベントの一つである。これまで様々な地質記録からその酸素進化を明らかにする試みが行われてきたが、酸素濃度上昇のパターンは定量的に明らかにされていない。しかし近年、村上ら(2011)によって、Fe(II)の酸化速度を用いた古土壌データの解釈から定量的な酸素進化パターンが計算されることが示された。また横田ら(2008; in prep.)は風化帯中で記録されるFe(III)/Fe(II)比を形成時の酸素雰囲気に応じて算出する風化モデルを構築し、風化帯中のFeのふるまいがFe(II)酸化速度、地下流水によるFe(II)掃き出し率に非常に敏感であることを明らかにした。Fe(II)酸化速度に関しては近年報告された酸化速度データを用い、地下流水による元素の掃き出し率に関しては地下流水中での濃度が大きく変動しないと考えられるSiに着目し(地下水中のSi濃度)×(地下水体積流量)=(Si溶脱速度)の関係から見積もり、風化モデルに適用した。
  • 横山 正
    セッションID: R4-08
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    化学的風化と物理的風化の相互作用を調べることを目的として,ベレア砂岩を用いて風化実験を行った。この砂岩は,鉱物組成は石英約90%,間隙率22%,砂の粒径約0.2 mmであり,基質として微小な石英や炭酸塩が砂粒子間に存在する。砂岩を純水中に浸し,波や水の流れの効果を模擬するために振とうしながら反応させた。全体の風化は,鉱物からの元素の溶解(化学風化)と,鉱物粒子の分離(物理風化)により進行する。25℃にて2ヶ月間の反応後,元素の溶解量は0.3 mg cm-2(Ca,Mgの溶解が多い),粒子の分離量は0.1 mg cm-2であった。分離した粒子は基質の粒子が主で,砂粒子はほとんど観察されなかった。これらのことから,風化の初期ではまず溶解により基質のセメントが弱化し,その後,砂粒子の分離,セメントの弱化,という過程の繰り返しで風化が進行すると考えられる。
  • 桑原 義博
    セッションID: R4-09
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    barite溶解に関する反応過程や機構,あるいは諸問題を明らかにすることの重要性を踏まえて,これまでに,多くのbarite溶解に関する実験がなされてきたが,その多くはbariteの溶解度や大まかな溶解速度を求めたものであり,溶解の過程や機構を詳細に追求した研究はほとんどない.そこで,本研究では,AFMを用いて,純水中でのbarite(001)表面の溶解その場観察を試みた.barite(001)表面の溶解は,おおよそ3ステージに分けられる.第1ステージは,人工的に劈開面を作った際に形成されたステップの緩やかな後退で特徴づけられる.第2ステージでは,ステップの後退挙動の変化とエッチピットの形成が認められた.最終ステージは,より安定な [010] ステップの増加,それに伴う <hk0> ステップの減少,およびdeep etch pitの発達で特徴づけられる.
  • 横尾 直樹, 鈴木 道生, 鍵 裕之, 小暮 敏博
    セッションID: R4-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    バイオミネラルとしての炭酸カルシウム(CaCO3)では、いくつかの結晶相とともに、非晶質炭酸カルシウム(ACC)の存在が報告されている。また、軟体動物の貝殻にもACCが存在するとの説がある。ACCの溶解度は結晶質CaCO3に比べ約二桁大きく、海洋の酸性化などを考えると、貝殻形成におけるACCの有無は重要な問題である。本研究ではこの点の確認を中心に、アコヤガイ幼殻について解析を行った。FIB-TEM観察の結果からは、幼殻は全てアラゴナイトで構成されていると示唆されたが、FIBによる試料加工ではイオンビームを照射することによる熱ダメージの影響が考えられる。そこで他の手法を用いて解析を行った。ラマン分光法、XRDによる解析では、アラゴナイトのみから成るとの結果が示唆されたが、FT-IRによる解析では、ACCに特徴的なピークが見られた。
  • 西山 理沙, 宗本 隆志, 福士 圭介
    セッションID: R4-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    モンゴル北西部にあるフブスグル湖の湖沼堆積物コアに、カルシウム炭酸塩鉱物であるモノハイドロカルサイト(CaCO3・H2O: MHC)が認められた(福本,2008MS)。福本(2008MS)は、堆積物コア中に産出が確認された炭酸塩鉱物の組み合わせから過去の気候変動を復元し、MHCが生成された時期は寒冷期に相当することを示している。MHCが生成される水質条件がわかると、寒冷期におけるフブスグル湖の水質条件に制約を与えることができると考えられる。本研究では様々なCa、MgとCO3の初期溶液組成からの炭酸塩鉱物合成実験を行い、生成固体と溶液の詳細なキャラクタリゼーションからMHCの生成条件を明らかにすることを目的とする。
  • 福士 圭介, Marty Nicolas, Tournassat Christophe, Gaucher Eric
    セッションID: R4-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    PHREEQCを用いた一次元反応移行モデリングにより、川崎ベントナイト鉱床で認められた鉄を含む熱水とベントナイトの反応による鉱物学的・岩石学的変化を再現する試みを行った。
  • 和澄 利美, 赤井 純治
    セッションID: R4-P01
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ベトナムの地下水ヒ素汚染は,発見されたのが比較的最近であり,Mnが高濃度に含まれるなどの特徴がある.ドンタップ省タイ島北側での深さ74mのボーリングコアと2010年現地調査での水質データを用い分析を行った.堆積物の鉱物組成は,主に石英・長石・スメクタイト・バーミキュライト・イライト・カオリナイトを含む.As濃度はFe・Mn・Al・P・LOIで正の相関をもち,時代別の堆積物で解析し異なる相関の特徴がみられた.完新統と更新統で相関する元素あたりのAsの存在量が異なり,主に堆積環境の違いがあると考えられる.また水質は3区分できることがわかった.一般的には,ORPが低く還元的な環境でAs・Feが溶出し,ORPが高く酸化的な地下水でMn濃度が高い.地下水質のAs・Mn・Fe濃度に着目して,溶出・汚染メカニズムをpH-Eh図をもとに作成し考察した.
  • 赤井 純治, 市橋 弥生, 小暮 敏博
    セッションID: R4-P02
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    佐渡三川川産砂金にみいだしたバクテリア形態組織似ついて,FIBを用いて透過型電子顕微鏡を用い,砂金の鉱物学的・結晶学的特徴について記載を行った
  • Hye-jin Kim, Jinwook Kim, Toshihiro Kogure
    セッションID: R4-P03
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    Recently we have found weak extra reflections similar to c-reflections in the ED patterns of calcite precipitated in a hot-spring (La Duke) near Yellow Stone National Park. However, X-ray microanalysis indicated that the amount of impurity cations such as Mg2+ is very small and sulfur is the major impurity element. S/Ca atomic ratio is about 3%. The cell parameters of the La Duke sample determined from XRD, indicated that the a-length (4.9803Å) is slightly decreased and the c-length (17.076Å) slightly increased compared to the pure calcite (a = 4.9857Å, c = 17.0624Å). The Selected-area ED pattern along the [001] direction indicated that the extra reflections appear holding the three-fold symmetry of calcite. Combining these results and with a future experiment to determine the chemical species of sulfur by XPS, we are now constructing a model of the superstructure to form c-reflections in the present specimen.
  • 猿渡 和子, 萩野 恭子, 長澤 寛道, 小暮 敏博
    セッションID: R4-P04
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    ココリス(coccolith)は、海生藻類の一群であるハプト藻の細胞周囲に形成されている方解石(CaCO3)の鱗(scale)である。ココリスは、その形態からヘテロココリス、ホロココリス、ナノリスに分類される。SEM-EBSDを用いた詳細な結晶方位解析から、白亜紀の化石ヘテロココリスは、Vユニット・Rユニットともに多様性があることがわかってきた。本発表では、新生代の化石のヘテロココリスとナノリスについて、SEM- EBSDによる結晶方位解析、さらにSEMステレオフォトグラメトリーによる結晶面と稜線方向の指数の決定を行い、結晶方位解析の結果を報告する。
  • 甕 聡子, 永井 隆哉, 岨 康輝, 渡邊 剛
    セッションID: R4-P05
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/28
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    造礁性サンゴの有する外骨格は鉱物aragonite (CaCO3)から形成されていることが知られている.これは主に骨格のバルク試料をXRDで同定した結果に基づく.一方で,骨格には多様な化学元素が含まれていることが分かっている.それらの元素の中には,Srのようにaragoniteに固溶していると考えられるものもあるが,aragoniteには固溶するとは考えにくい元素であるMg,Al,Na,N,Sなども化学分析により検出されている.これら元素,とくにMg,N,Sは骨格中に存在する有機物に由来することも考えられるが,これまでのところ有機物として確認されているのはSのみである.Mg,Naは骨格生成時の周辺環境を反映し変動するとされ,この変動を用いて古環境復元が試みられている.しかし,これら元素はどのような過程で骨格中に取り込まれたかが解明されていない.そこで本研究では,サンゴ骨格aragonite中でこれら元素がaragonite以外の鉱物として存在している可能性を,NanoからMicroスケールの微小領域観察を通じて検討したので報告する.
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