保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
10 巻, 3 号
10周年記念特別号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
10周年記念特別号
  • 中山 広宣
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 114-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本学会は志を共にする諸先生のご指導とご支援により,平成22 年の2 月25 日に設立致しました.そして,10 年の歳月の中で初学者のみならず多くの研究者が研究論文としてその足跡を刻み,令和の時代を迎えることができました.初代会長そして第1回学術集会長として十周年を迎えられたことに感慨もひとしおであり,私の後任である渡辺先生をはじめとして関係者の皆様に心より感謝を申し上げます. 元号令和は万葉時代の太宰府の坂本八幡宮での歌会の一文から引用されたとのことですが,この坂本八幡宮は菅原道真公が左遷された太宰府政庁跡に隣接して私の日々の散歩コースでもあります.また,『和』というお言葉から『和をもって貴しとなす』と説いた聖徳太子が建立した福祉,医療,教育の礎である四箇院は本学会の理念と同様であり不思議なご縁を感じます. 聖徳太子は「四箇院の制」により,四天王寺に敬田院,施薬院,療病院,悲田院の四つの施設を設立したそうです.敬田院とは仏教精神を基本とした教育を行ない,施薬院とは病人に薬を施し,療病院とは言うまでもなく病院のことで病気を癒し,悲田院とは身寄りのない者や老人を救済する福祉施設のことです.日本最初の教育,医療,福祉の実践が行なわれたということに諸外国に類を見ない文化的・歴史的意味があると思います.また,聖徳太子は十七条憲法を制定し,その中で,性善説を基本に,人の生き方を説いています.先にも記載しましたが,「和を以て貴しとなす」というお言葉は,日本人であれば誰でも聞いたことがあると思います.他には,礼を守りなさい,人と意見が違っても怒ってはいけない,大事なことは多くの人と議論して決めなさい,などです.この思想は現代に引き継がれています.聖徳太子の教えは 日本人の思想や文化のルーツなのでしょう.そして,我々が探求するチームリハビリテーションの理念も全く同じだと考えます. 本学会設立の目的は,第一に狭義のリハビリテーションにとどまらず,人の生活(保健,医療,福祉,教育)に関係する方々の研究交流の場として,第二にその成果をもって社会に貢献すること,第三に学部卒業後,あるいは大学院終了後の研究継続を支援することにありました. 近年の保健・医療・福祉・リハビリテーション分野においては,EBMEBP ということは当然ですが,それに加えて,QOL やリカバリ(ー回復)という対象者の思いや主体性を大切にするという支援が望まれています.このような主観的命題は,数値で表すことは非常に難しいことであります.また,内的要因や外的要因によって絶えず変化します.そのため,「対象者中心の支援」と言うことは簡単ですが,今,本当に対象者中心の支援ができているかと問われれば断,言することは難しいと思います.しかし,多くの専門職がその領域を超えて,恊働研究や積極的な情報交流を行ない,社会を包含した統合的なチームリハビリテーションが推進されれば,よりよい生活支援が可能になると考えます.本学会が,「自分らしく生きる」という観点から,改めてリハビリテーションの本質を再考する機会,そして新知見の発見やリハビリテーション科学の向上に繋がり,さらには,私の造語ですが「人間生活学」という,人がより良い生活を創るための学問の交流の場として発展することを祈念いたします. 最後に,本学会が領域を超えた幅広い研究発表,情報交流の場として,数多くの方々に活用していただくようお願い申し上げます. これをもちまして,保健医療学学会十周年記念の挨拶とさせていただきます

  • 渡辺 正仁
    2020 年 10 巻 3 号 p. 115-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    学会を立ち上げようと相談したのは,私が新設されたばかりの大阪保健医療大学に在職中のことでした.初代会長となった作業療法学科の中山教授,理学療法学科の石倉教授と共に大学教員の業績を上げるために学会を作ろう,大学の紀要ではなく,将来的に多くの仲間が集まって切磋琢磨し合える学会にしようと相談したのが始まりでした.学会を立ち上げ,次いで機関紙を邦文と欧文の両方で発行する事になりました.振り返れば,よくやったものだと思います.資金も人もない状態で,全くの一からでした. 出来るだけ多くの,特にこれから研究を始める若手の研究者を育てる学会にしたい.従って,会費も安くしたい.当時でも3000 円の会費は安かったと思います.機関紙もお金がかからないようにオンラインジャーナルにしようという事になりました.先ずは会則を作成し,学会誌の日本版と欧文版の投稿規定も作成しました.ホームページの作成も何もかも手作りでした. 教員みんなが知り合いの先生方に声をかけ,何とか第一回の学術集会を大阪保健医療大学で開催できた時の喜びは忘れられません.関西 の医療関係の教職員や学生が集まって,互いの向上を目指して頑張ろうという趣旨に賛同して下さった方が意外に多かったことは驚きで,これは今後伸びていくに違いないと確信できた時でもありました. 研究は1つの大学の中で「井の中の蛙」のようでは伸びない.若い研究者には積極的に発表してもらい,ベテラン研究者は教育的な指導を心がける.そして,より大きな,将来的には国際学会や国際雑誌に発表できる研究者を育てたい.そして,その力を教育に生かしていい学生を育て,リハビリテーションの水準向上に寄与する.おこがましい考えだったとは思いますが,その理念が実を結びつつあるように感じます.初代,中山会長の後任として,2 代目の会長に就任してからも,若手の先生方が会を引っ張ってくれました. 今では学会誌も海外を含め,多くの方が投稿してくれるまでになりました.リハビリテーションの水準が上がり,多くの優秀な研究者が育っています.この学会が,初心を忘れず,多くの新しい研究者を今後も育てていってくれることを願っています

  • 森 禎章
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 116-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    歴代の会長,中山広宣先生ならびに渡辺正仁先生の後を継ぎ,保健医療学学会の会長を努めさせていただいております森 禎章でございます.本学会は2010 年(平成22 年)に関西のリハビリテーションに関わる大学が手を取り合うことで設立された学会であります.本学会の目的は第一に狭義のリハビリテーションにとどまらず,人の生活(保健,医療,福祉,教育,工学など)に関係する多くの専門領域の研究者や実践者に研究交流の場を提供すること,第二にその成果をもって社会に貢献すること,第三に大学をはじめとする専門職養成施設卒業後,大学院修了後の研究継続を支援することであり,その社会的意義はとても大きなものがあると思います. 保健医療分野の研究は,医科学を中心とした自然科学的な知見を基にするだけではなく,工学,人文科学,行動科学などの知見を加え,総合的・学際的な学問分野としてさらに発展していかなければなりません.そのためには,様々な分野・領域の専門家が,人の生活と健康を共通の目的として集まり,分野・領域の垣根を越え交流する場が必要となります.その役目を果たすのが保健医療学学会であると考えております.本学会にご参加くださる皆様には,本学会において他の分野・領域の研究から新しい知見を得ていただき,ご自身の研究を充実・発展させていただければ幸いです.私としましては、本学会が活用され,様々な分野・領域の研究者の相互交流によって新たな研究が生まれ,保健医療分野の発展に繋がればこの上ない喜びです. 学会は設立以来10 年を迎えました.会員数は3 桁を超えたばかりで,まだまだ小さな学会 ではありますが,年を追う毎に学術集会は盛会となり,数多くの若手研究者および学生諸氏に発表の場として活用していただいております.これに加え,本学会の発刊する保健医療学雑誌も年々投稿数が増加し,その学術レベルも次第に向上してきております.これらにおきましても,学術集会長,学会理事,雑誌編集部,そして会員の皆様方の不断の努力の賜であると思っております. 今後,さらなる学会の発展のためには,会員数の増加,学会誌への投稿の増加を目指さなくてはなりません.第一に各養成施設の卒業生に学会員になっていただくことが肝要かと思います.そのためにも学術集会において学生発表の場を増やし,修士および博士課程に在籍する大学院生にも討議の場として活用していただき,将来の会員獲得に向けての魅力を発信しなくてはなりません.保健医療学雑誌をご覧の会員の皆様方におかれましても,会員数の増加に向けてご協力賜れますと幸いです.保健医療学雑誌は医学中央雑誌やJ-Stage へ掲載されるのはもちろんのこと,メディカルオンラインを介した二次利用が増加するなど,着実な発展を遂げております.保健医療学雑誌のさらなる発展を目指し,会員の皆様方にはぜひ論文投稿をお願い致します. 最後になりましたが,諸先輩方のお力添えのもと保健医療学学会が設立10 周年を迎えられましたことを厚く御礼申し上げます.私も微力ながら本学会の発展に尽力して参る所存であります.今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます.

  • 石倉 隆
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 117-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学雑誌創刊10 周年,おめでとうござい ます.前・保健医療学雑誌編集委員会委員長として,保健医療学雑誌の過去・現在・未来に一言申し上げます. 10 年前,保健医療学学会が創立され,同時に保健医療学雑誌が創刊された時のコンセプトは保健医療という幅広い分野の研究を担うこれからの若い研究者に投稿いただき,研究者としての,あるいは医学系論文執筆の登竜門としていただきたい,ということであったと記憶しています.投稿論文の査読にあたっては,“あまり厳しくならないように”審査することとされていました.しかし私には,この言葉が全く理解できませんでした.私は,老若男女関係なく研究者である以上,一定の研究知識と研究倫理を持つべきで,その審査にあたっては,そのことを十分に理解しているものが“厳しく”かつ“慎重に”行うべきと考えていたからです. 私がこのように考えていたのには理由があります.研究にはルールがあり,崇高な倫理観が必要であることは,研究者であればだれでもが承知していることです.このルールと倫理観に則って研究が遂行されるからこそ信頼できる結果が導き出されるのです.しかし我々医療技術者はその養成課程で正しい研究ルールや研究倫理を学んできたでしょうか.卒業研究で研究のルールや研究倫理が学べたでしょうか.研究のルールや研究倫理を学ぶ機会のなかったものが,患者さんのためにあるいは臨床家のために根拠を示したいという高い意識を持ち研究を行ったとしても,結果的には信頼される成果は導き出されません.無意識的に嘘の結果を提供することになるかもしれません.場合によっては,研究不正として研究者生命が絶たれるかもしれません.現に,理学療法士や作業療法士の研究の中には,倫理審査を通していないもの,研究計画書が存在しないもの,インフォームドコンセントやイ ンフォームドアセントを得ていないもの,得ていても口頭で済ませているもの,仮説なくデータを先に収集してあとからものを言おうとしているもの,まさに恐ろしい状況が漫然と存在していたのです.だからこそ,若手研究者の登竜門というのであればなおさら,研究ルールを熟知し,崇高な研究倫理を持ち合わせたものが,若手研究者に研究のイロハから指導する体制が必要ではなかったかと振り返るところです. その時代から10年が経過し,大阪保健医療大学では質の高い研究計画書の作成と厳格な倫理審査を実施しています.研究者であれば知っていて当たり前の研究ルールや研究倫理,研究計画書の作成方法ですが,院生の誰一人としてこれらを知らない状況は,10年前と何も変わっていません.院生の中には,これらを知らないまま学会発表や論文投稿をしているものがいるという非常に危険な状況です. 私は研究者として,保健医療学雑誌が後進のための教育的医学雑誌であることに大きな存在意義があるものと理解しています.だからこそ,現編集委員会には,若手研究者に正しい研究ルールと研究倫理を指導していく役割を担う必要があるのではないかと思っております.本学の紀要では,研究計画書の提出を論文投稿時に求めています.研究者の研究ルールや研究倫理の理解度を確認し,ルール通り研究が遂行されたかを確認するためです.これは研究者を守る手段であることは言うまでもありませんが,雑誌を守る手段でもあります.研究不正は,今や,研究者個人の問題ではなく,編集委員会の質や雑誌の問題ととらえられる時代です.保健医療学雑誌でも昨今の研究環境を敏感にキャッチされ,今後も若い優秀な研究者を育て,秀逸な研究成果を掲載し,保健医療のevidence 構築に邁進されますこと,期待しております.

  • 野村 卓生
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 118-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学学会創立10 周年ならびに保健医療学雑誌発刊10周年,誠におめでとうございます.私は保健医療学雑誌・Journal of Allied Health Sciences 創刊時より編集委員として関わり,前・委員長の石倉 先生の後任として,2013 4 月より委員長を務めております.保健医療学雑誌・Journal of Allied Health Sciences の知名度を向上させ,科学雑誌としての位置づけを高めるため,委員長に就任してから種々の対策を講じて参りました.現在,保健医療学雑誌・Journal of Allied Health Sciences は,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が構築した日本の科学技術情報の電子ジャーナル出版を推進するプラットフォームである科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)へ登録し,広く世界に論文を発信する体制を整えています.また,医学中央雑誌刊行会(医中誌Web)およびメディカルオンラインでも論文の検索を可能としました.2018 年度からは論文の早期公開も開始し,採択後の論文をいち早く保健医療学学会ホームページで公開しております.これを実現できたのも,私が委員長に就任後,編集実務担当として献身的に編集業務を支えてくださった梛野浩司 先生(関西福祉科学大学)ほかのご協力があってのものです. 現在,論文の査読に関しては,作業療法学・言語聴覚学・理学療法学の各分野から,それぞれ,大歳太郎 先生(関西医療大学),苅安 先生(京都学園大学),岩田 先生(大阪府立大学),三谷保弘 先生(関西福祉科学大学)の計4 名の先生方に副編集委員長をご担当頂いております.論文査読にあたっては,論文が投稿されてから,まず,編集事務局にて体裁をチェックし,その後, 編集委員長を含めて5 名のいずれかがEditor を担当しています.Editor は当該分野を専門とする 2 名以上の研究者に査読を依頼して,論文投稿者 とのやり取りを行っています.査読にあたっては,保健医療学学会の設立目的をふまえて,査読者の 先生方には建設的な査読を行って頂いております.最終的にEditor は論文の採否を決定しています.論文受付から査読者への連絡等,煩雑な作業ですが,編集事務局担当者の丁寧で迅速な対応により支えられています.編集委員長就任時は編集事務局を兼任していましたが,編集事務局作業を学内の先生にご協力頂けることになりました.編集事務局を担当頂いた順に明﨑禎輝 先生(現・高知リハビリテーション専門職大学),佐久間香 先生(現・兵庫医療大学),甲斐 先生(関西福祉科学大学),現在は幸田仁志 先生(関西福祉科学大学)には,編集委員長として厚く御礼申し上げます. 論文の掲載数については,編集委員会からの依頼型での査読付き総説論文の企画も奏功し,第1 巻では論文の掲載数は10 編であったのが,第9 巻では約2 倍の19 編の論文(うち英文3 編)を掲載することができました.また,近畿外の先生方からの論文投稿も増えており,雑誌の知名度も着実に向上しています.最近では海外の研究者からも論文投稿に関して問い合わせがあります. 2020 年度からは,投稿・執筆規定も刷新し,科学 雑誌としてのさらなる躍進を目指していきたいと考えています.保健医療学雑誌・Journal of Allied Health Sciences への益々のご協力をよろしくお願い申し上げます.

  • 小柳 磨毅
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 119-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学学会の設立に関わらせていただいたのは,故 西村 敦先生のお誘いがきっかけでした.「療法士を中心とした学際的な学会を設立し,大学院教育の発展にも結び付けたい」とのご趣旨に感銘し,ご一緒させていただきました.設立当時は会の運営や学会の準備に手間取ることもありましたが,回を重ねる毎に,皆様のご協力もあって円滑に進めることができるようになりました. 学際的な色彩の強い本学会は,普段は接することのない様々な情報に触れることができ,感性を刺激されることが度々ありました.さらに様々な視点から議論が行えることは,大学院生を指導する立場として,教育的な価値が高いと感じています.また会員と編集委員の皆様のご尽力により,本学会の機関誌である「保健医療学雑誌」が刊行され,大学院生を含む多くのセラピストが査読を経て情報発信できることは,本学会の優れた社会的,学術的な貢献と思います. 過去の学会では,海外から講師をお招きしたこともありました.当時,アメリカメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースにおいて,主任の理学療法士を務めておられたスー女史に講演をいただきました.多数のスライドを拝見してお話を聞き,米国の充実した設備や環境に圧倒されました.しかし同時に,スポーツ損傷に対する理学療法の基本的な考え方や技術には,共通するものが多いという実感があり,本邦からの国際的な情報発信の重要性を痛感した機会でした. 本会では,数年前から一般演題の中に,学部の学生が発表できるセクションが設けられました.優秀演題を表彰する制度も併設し,学生の研究意欲の向上にも貢献しています.人と議論をしながら真理を追求していくという,セラピストには欠くことのできない資質を,学生時代から高めていく意義は極めて深いと思います. 西村先生のご遺志に応えるためにも,今後も微力ながら本学会の発展に努めたいと思います.

  • 井上 悟
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 120-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    私が教員になりましてすぐに2013(平成25)年4 月〜本学会の理事になれと,西村敦先生(故人,藍野大学)と小柳磨毅先生(現副会長)に上手く乗せられまして入会,すぐに学術集会長のお役が回ってきました.どうもそのために入会させられたようです? その時ちょうど本学術集会も第5回目を迎え,運営上の担当大学が一巡し大阪保健医療大学に戻ってきたため,急きょ,私(年の功?)が担当者として開催する運びとなりました. 学会前年の総会で,前学会長の渡辺正仁先生から,本学術集会の運営方針として,「小じんまりとした研究会型で,運営の負担も少なく,長く継続できる学会を目指したい!」とおっしゃられ賛同したことを記憶しています.そして本学会の目的である,大学・養成校卒業後さらに大学院での研究継続を支援し,身近な意見交換の場を創ることを達成できるよう努めました.さらに運営上の方法をいくつか,私のわがままで変更させていただきました.①担当が一巡しましたので,担当大学がすべてを担当・ 仕切るのではなく,会員大学にも運営の役割分担をしていただき進めてほしいという希望.②また会場も大阪府立大学のご協力のもと,府大サテライトのI-site なんば利用で学外へ会場を出すことも試みました. プログラムは,①一般演題9題,②特別講演1「我が国における理学療法士の現状と展望~理学療法士のリハビリテーションマインド」,講師 石川県立リハセンター次長 日本理学療法士協会理事:荒木茂先生,③特別講演2「我が国における作業療法士の現状と展望~経験を振り返り次世代へ」,講師 大阪府作業療法士協会副会長:山下協子先生でした.当日は多数の参会者をお迎えし,無事に学術集会を開催することができました.これも会員の皆様方の格別のご協力とご支援の賜物とこの紙面をお借りし,改めまして心より御礼申し上げます.そして本会が10 周年を迎え一層の発展・充実できることを祈念します.

  • 淵岡 聡
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 121-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学学会創立10 周年の記念すべき日に,この場に執筆の機会をいただきましたこと, 感謝申し上げます. 2015 年某月,井上 悟 先生,小柳 磨毅 先生からお声掛けをいただき,2016 年12 月,第7 回学術集会の集会長を務めさせていただきました. 集会の内容については自由に設定してくださいとのお言葉をいただき,当時,話題になり始めた人工知能(AI)のリハビリテーションへの応用可能性について,大阪府立大学の中島智晴 先生に特別講演をお願いしました. 特別講演では,コンピュータ(計算機)の処理能力向上と機械学習理論の成熟により,人工知能はビッグデータの処理方法として既に産業界への導入が進んでおり,特にICT 産業界を中心に,販売促進戦略やより個人のニーズに応じたサービスの提供方法として実用化されていることをお示しいただきました. その上で,易転倒傾向のある対象者の行動分析から,転倒を予測・予防するための住環境整備 への応用など,医療・介護分野への応用的研究が進んでおり,将来的なリハビリテーションへの応用について非常に示唆に富む内容でご講演いただきました. 私にとりまして,学術集会長は未経験の重責ではありましたが,これまで学術集会を運営されてきた諸先生方にご指導・ご助言をいただきながら,何とか盛会裡に開催することができました. 第7 回集会から数年を経て,現在,大阪府立大学と大阪市立大学との統合・新大学設置に向けての具体的な作業が急速に進んでおり,リハビリテーションへの人工知能(AI)の応用について,新大学の重点研究分野として発展させるという方向性を検討することができました. このような貴重な機会を与えていただきました保健医療学学会に感謝申し上げるとともに,本会の構成員として,微力ながらリハビリテーション医療の発展に貢献できるよう精進する所存です. 今後ともよろしくお願い申し上げます

  • 羽崎 完
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 122-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    元号が平成から令和に変わる時代の節目に,本学会が保健医療に関係する多くの専門領域の研究者の交流,研究支援,社会貢献を目的に設立されてから10 年を迎えることは,誠に喜ばしく,心よりお祝いの言葉を申し上げます.また,本学会の機関誌である保健医療学雑誌が,創刊からこれまで欠号することなく10 年間発刊できたことも大変喜ばしく,重ねてお祝い申し上げます.これも,ひとえに森禎章会長をはじめ理事,事務局,編集委員の先生方のご尽力のたまものと,深く敬意を表します. さて,この10 年間はまさに「光陰矢のごとし」,あっという間でした.しかし,保健医療を取り巻く環境や社会情勢は,目覚ましく変化しました.また,変化しつつあります.地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化,在宅医療と介護の連携推進,一億総活躍社会の実現に向けた障害者雇用,高齢者の健康寿命延伸,労働者の心の健康の保持増進,高度医療の発展にともなう諸問題, ICT の活用,リーン・ヘルスケア,グローバル・ヘルス・リーダーの育成など,我々が取り組むべき課題は枚挙にいとまがありません.これらの多様な課題に対応するために,保健医療に関係する多様な職種で構成される本学会の果たすべき役割は,ますます重大となります. また,この10 年間で理学療法士・作業療法士などのコメディカルスタッフの人数が,さらに急増しました.そして急増にともなって,医療サービスの質がいささか低下しつつあるように感じます.次年度には指定規則改定による新カリキュラムがスタートしますが,学内教育で質を十分に向上させることは困難ではないかと危惧いたします.本学会が,卒後教育の一環として機能し,医療サービスの質の向上に貢献する必要性を強く感じます.さらに,保健医療分野の研究を取り巻く環境も大きく変化しました.研究者には,研究を適切に実施する上で,個人情報保護を含む研究対象者保護の観点から,研究者等が守るべき高度な倫理指針の遵守が求められるようになりました.また,COSMIN CONSORTSTROBE など種々の研究についての国際基準や声明が発表・報告され,精密で高度な手法による研究が求められています.本学会が,研究を始めたばかりの若手研究者の教育の場として,高い研究倫理のもとエビデンスレベルの高い研究を行う研究者の育成に寄与することを強く望みます. 本学会は創立10 年とまだまだ若い学会ですが,次の10 年,その次の10 年とその社会的役割を果たしつつさらに発展を続け,伝統ある学会となることを祈念いたします.

  • 後藤 昌弘
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 123-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学学会創立10 周年,謹んでお慶び申し上げます.創立当時からの役員の皆様,会員の皆様のご尽力,ご協力の賜物だと思います. 本学会は,平成22 年,医療,保健,福祉,教育にとどまらず,情報技術,工学技術,スポーツなど,多種多様な領域の専門家が相互に交流することを第一の目的として設立されました.私が大会長を務めさせていただいた第9 回保健医療学会は,10 周年という節目を目前にした年であり,本学会が益々発展するためにも次世代の育成に一役買おうと,初の試みとして理学療法士養成機関在校生による卒業研究コンペティションを施行しました.養成機関在学中からの研究経験がその後の専門家としての志向や成長に繋がって欲しいという思いからです. 登壇した学生は,初めての学会発表に緊張しながらも自己の研究成果を発表し,質疑にも懸命に答え,終了後は達成感に笑顔を輝かせていました.境界を超えた集団的な創造活動から生まれる発展について示唆を与えてくれる理論としては,ユーリア・エンゲストロームの活動理論があります.本学会においても研究領域や参加者の職種がさらに広がることはもちろん,所属機関,教員と学生という立場の垣根を超えた拡張的な対話や協同から新たな関係,発展が得られるのであれば,教育に携わる者としてこれ以上喜ばしいことはありません. 関係各位のご活躍と今後のご健勝をお祈り申し上げるとともに,皆様の交流から生まれるエネルギーによって本学会が益々発展していくことを祈念いたします

  • ~すべての人に感謝の意を表します~
    境 隆弘
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 124-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本学会が創立10 周年を迎えました.この10 年の間,本学会の発展は,創設時に奔走された先生方の強いお志とご尽力に始まり,そして,それを継続している現行の多くのスタッフによる賜物だと存じます.私は学会設立時から関わりを持たせて頂いており,創立10 周年と聞くと,感慨一入ですが,つい“先月”までは,どちらかと言うと苦い種類の方の忘れられない思い出が大半でした.以下,しばらく失敗談にお付き合いください. 設立当初,私は監事の役目を仰せつかりました.これまで監事の経験は一度も無く,元来お金の扱いが不得手な私は(後述にもお金の失敗エピソードあり),監査のたびに計算ミスや必要書類の不備などを頻発し,当時の執行部の先生方には多大なご迷惑をおかけしたことを記憶しています.この場をお借りして,改めてお詫び申し上げます. 次に忘れられない大きな失敗は,第3 回学術集会の時でした.前々から「ガラスの声帯」と揶揄されるほど潰れやすい私の喉は,これまでにも声が出なくなることで,仕事に穴を開けてしまったことがあります.特に冬場は空気の乾燥により,かなりの頻度で声がかすれて出なくなるのですが,こともあろうに集会長講演の司会という大役を仰せつかったこの集会の当日,全く声が出なくなりました.焦って慌てふためく私に,笑いながら「代わったるで」の一言で司会を代わってくださったのが,故・西村敦先生でした.天国の西村先生,その節は本当にありがとうございました. また,第5 回学術集会では準備委員長という大 任を拝しましたが,後にも先にもない赤字を出してしまいました.当時の役員の先生方には大変ご迷惑をおかけしました.謹んでお詫び申し上げます. こんな迷惑をかけてばかりの私でしたが,今年は第10 回学術集会会長を任ぜられました.まずは,集会当日はるばる静岡県から日帰りでお越し戴き,特別講演「国際競技大会におけるサポート活動〜東京オリンピック・パラリンピック競技大会への取り組み〜」をご講演戴いた,講師の鈴木章先生(国立スポーツ科学センター)に深く感謝の意を表します.この原稿は,“今月”あったばかりの集会終了直後に執筆していますが,開催結果は歴代最多の18 演(学生題発表を除けば,第6 回とタイ)が集まり,赤字を出すこともなく,そして,第3 回集会時の教訓から毎年11 月に入ればマスクをして喉の保湿をするのが習慣となった甲斐もあり,私もきちんと声が出て,成功裏に終えることができました.これも偏に,特別講演の講師擁立時に戴いたお力添えや,準備・運営に関する数々の方面からのご助言,演題数増加のための多くの方々からのご支援,そして志の高い学生さんの大勢の参加,これら本学会に関係のある,あらゆる人たちに支えられて,集会が成立したと感じております.皆様,本当にありがとうございました. 最後になりましたが,本学会が次の10 年,更にその先の未来においても,本学会に関わるすべての人が,これまで同様に今後も支えあいながら発展していくよう祈念致します.

  • 由利 禄巳
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 125-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学学会は,平成222010)年2 月に中山広宣氏(大阪保健医療大学:当時),石倉隆氏(大阪保健医療大学),渡辺正仁氏(大阪保健医療大学:当時)が発起人となって設立されました.そして,初代会長の中山広宣氏,副会長の故西村敦氏(藍野大学:当時)と小柳磨毅氏(大阪電気通信大学)らをはじめ思いを一つにした有志が集まり,同年12 4 日(土)第 1 回学術集会が大阪保健医療大学において開催されました. その後,その思いは前会長渡辺正仁氏(関西福祉科学大学:当時),そして現会長森禎章氏(関西福祉科学大学)に引き継がれ,10 周年を迎えました.学術集会も令和元年(2019 年)には第10 回を開催しました.創立時に44 名であった会員数は現在では100 名を超えています.保健医療学雑誌は,設立年である2010 4 月 から年2 回発刊しており,近年は投稿論文数も増えております. このように,本学会は研究成果の公開発表や討議を通じて保健医療学の発展に寄与するだけでなく,保健医療学に携わる専門家同士の有意義な交流の場として役割を果たすよう努めてまいりました.これも一重に会員諸氏の協力のおかげと感謝いたします. 保健医療学学会及び保健医療学雑誌創刊10 周年は,保健医療学における研究交流,社会貢献のさらなる発展に取り組む機会でもあります. 今後も学会のさらなる発展に向け,研究交流および,研究成果を持って社会に貢献できる場として,発展を遂げていきたいと願います.これからも学会運営にご協力いただきますよう,よろしくお願い申し上げます.

  • 梛野 浩司
    原稿種別: その他
    2020 年 10 巻 3 号 p. 126-
    発行日: 2020/02/01
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    保健医療学雑誌は保健医療学に関する研究論文を世に広めることを目的に平成22 年に創刊されました.毎年4 月と10 月の2 回発刊し,おかげさまでこの10 年間に合計20号を発刊いたしました.皆様から多くの論文投稿を受け,保健医療学に関する論文を掲載してまいりました.第5 巻からはJ-stage にも掲載させていただき,より多くの人々に論文を読んでいただけるようになりました. 保健医療学雑誌では英語論文と和文論文を 掲載しており,英語論文ではOriginal article 21 編,Report 3 編,Review 1 編,和文論文では原著 50 編,報告 13 編,総説 23 編,資料 8 編を掲載いたしました(表).これも一重に皆様からのご協力のおかげと感謝いたします. 今後も保健医療学の研究論文を掲載し,皆様の研究交流および社会貢献に貢献できるように発展してまいります.これからも保健医療学雑誌の運営にご協力いただきますよう,よろしくお願い申し上げます.

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