保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
9 巻, 2 号
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REPORT
  • Shigeki Kurasawa, Etsuko Takimoto, Wakana Kitano
    2018 年 9 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    BackgroundToday, food education is recommended and, support is thus required to improve the expertise of school nutrition staff. ObjectiveThe purpose of this report was to examine a support seminar led by an occupational therapists, and obtain a starting point to improve its content. MethodsThe seminar was targeted at 24 students, and was followed up by an anonymous self-administered questionnaire covering basic questions such as usefulness of each lecture topic and its degree of difficulty, appropriateness of time allocated to daily lectures, and seminar length. ResultsRegarding usefulness, more than 95.8% students responded that all lecture topics were "useful" or "fairly useful". As for theirs degree of difficulty, 87.0-100% answered "I could understand" or "I could understand it more or less", for all topics; for the brain function topic, 13.0% answered "I could not understand it very well". ConclusionThe questionnaire showed that the lectures were useful, but it emerged that there was a need to modify lecture contents such as brain function and sensory nervous system to make them more understandable.

原著
  • 中谷 謙, 倉澤 茂樹, 森 尚彫, 不破 真也, 酒井 希代江, 森岡 悦子, 中俣 恵美, 大歳 太郎
    2018 年 9 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    特別支援学校における専門職種の就業状況を把握することを目的として,全国の特別支援学校を対象に質問紙法による調査を実施し,言語聴覚士の就業状況に焦点をあてて検討した.就業状況,実働時間,学校の区分や特性等との関連性について解析した結果,言語聴覚士は,常勤数・非常勤数,実働時間数ともに少なく,就業状況は,生徒数が多い学校,聴覚障害,小学部において有意に多く,病弱,視覚障害では有意に少なかった.言語聴覚士が特定の学校や区分に集中して実働している状況が推察された.本検討の結果,連携促進のために,言語聴覚士の認知度の向上や言語聴覚療法の対象領域と専門性の理解を促す取り組みが必要と考えられた.

  • 越野 八重美, 山口 航輝, 高橋 優輝, 高橋 佑輔, 渡部 純
    2018 年 9 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,伸張反射検査において,打腱器の質量と腱を叩打する速度を個別に変化させ,反射の大きさと出現閾値について検討を行うことである.被験者は健常男性20 名であり,被験筋は大腿四頭筋とした.打腱器の質量を4 種類用意し,それぞれの質量について5 段階の速度で叩打を行った.反射反応は計20 種類の叩打刺激に対し,それぞれ発揮される筋電図の単収縮波形の最大振幅で比較を行った.実験の結果、速度,質量どちらの増加でも反射反応の大きさは増加するが,反射の出現閾値に関わるのは速度であり,一定速度以下では反射は出現しないことが示され,叩打速度は12m/秒が必要であることが推察された.

  • 村尾 浩, 岩井 信彦
    2018 年 9 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は専門必修科目から算出したGPAGPA-RS)でドロップアウト学生を識別できるかを明らかにすること.【対象と方法】対象を卒業群145 名とドロップアウト群34 名に分け,セメスター(以下,セメ)ごとのGPA-RS を比較した.ROC 曲線から信頼度を求めた【結果】卒業群,ドロップアウト群のGPA-RS(点)(中央値, 四分位範囲)は,1 セメ;2.171.92-2.42,1.751.50-2.25),2 セメ;2.362.10-2.55, 1.821.63-2.10,3 セメ;2.141.86-2.50,1.07 0.21-1.50,4 セメ;2.221.91-2.61,0.910.57-1.78),5 セメ;2.542.31-2.77,1.771.35-2.23,6 セメ;2.50 2.25-2.75,1.631.10-2.27)で,各セメで卒業群が有意に高値であった.信頼度(%)は75.891.0%であった.

  • 成田 亜希, 阿曽 絵巳
    2018 年 9 巻 2 号 p. 96-104
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    理学療法士学生は高等学校卒業後,現役で入学する学生が多く,発達過程では青年期にある.青年期の自己像を形成する上で自尊感情,自己愛,対人恐怖心性が存在し,理学療法臨床実習においても,これらの要素が影響すると考えられる.そこで89 名の学生を対象に自尊感情・自己愛・対人恐怖心性が実習成績とどのように関係するかを調査した.各期実習において自己を肯定的に捉えている方が実習成績は良い結果であった.また最終実習でのみ,自己愛が高い学生ほど実習成績は良かった.対人恐怖心性と実習成績の間には負の関係性が示唆された.理学療法臨床実習では,社会性を身につけておくこと,かつ学生が自己に対して肯定的な感覚を持つことができるような指導をする必要がある.

症例研究
  • 金野 健人, Samuel Chibwana, 高田 雄一
    2018 年 9 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    〔目的〕マラウイ共和国の僻地に生活する脳性麻痺児に対する集中理学療法とCommunity Based Rehabilitation がもたらす効果について検討することを目的とした. 〔対象と方法〕脳性麻痺両麻痺GMFCS レベルⅢである5歳男児1 名を対象とした.運動機能評価にはGMFM88 を使用し,減点項目である立位と歩行を中心に訓練プログラムを作成し,母親とコミュニティのボランティアが中心となって訓練を行った. 〔結果〕GMFM88 の立位項目のみ変化を認めた.集中理学療法開始時と終了時では8%増加,2 ヶ月後には26%,合計34%増加した.また,CBR マトリックスについても改善を認めた. 〔結語〕2 週間の集中理学療法と家族・ボランティア指導を併用することで,運動機能の向上だけでなく,参加した家族・ボランティアが共同し理想的なCBR 介入を促した.

総説
  • 渡辺 正仁, 早崎 華, 由留木 裕子, 渡辺 克哉
    2018 年 9 巻 2 号 p. 112-125
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    マリファナは古代より治療に用いられているが,マリファナに含まれるカンナビノイドの主成分として向精神作用を持つΔ−9 tetrahydrocannabinol (THC)と持たないカンナビジオール(cannabidiol; CBD)がある.近年,向精神作用を持たないCBD が様々な治療効果を示すことから注目されている.カンナビノイドは多様な受容体を介してその作用を発揮する.カンナビノイド受容体としていずれもG 蛋白共役型受容体であるCB1 CB2 があるが,CB1 受容体は主に神経細胞に発現しており神経伝達を調整している.CB2 受容体は中枢神経外の非神経細胞,特にリンパ球やマクロファージに発現している.CBD はこれらの受容体以外にGPR55TRP5-HT,およびPPAR 受容体を介してその作用を発揮すると考えられており,抗炎症作用,鎮痛作用,制吐作用,抗不安作用や糖尿病,癌,アルツハイマー病などの予防や治療の有効性が報告されている.ここでは,CBD の治療効果とその作用機序について述べる.

  • 由留木 裕子
    2018 年 9 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    アロマテラピーは気分に変化を及ぼしたり,身体に生理的な変化をおこさせたりする.このような香り物質の効果は,その匂いが嗅覚を介して神経系に情動的に働きかけるいわゆる心理的作用,あるいは香り物質に含まれる化学物質による薬理作用による.ここでは,精油の作用について紹介すると共にアロマテラピーのリハビリテーション分野への利用可能性について述べる.

  • 永見 慎輔, 福永 真哉, 戸田 淳氏
    2018 年 9 巻 2 号 p. 134-141
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    現在,誤嚥性肺炎は我が国における重要な社会問題であり,その多くの罹患者が高齢者とされている.摂食嚥下障害を発症した際には,速やかに摂食嚥下リハビリテーションを開始する必要があり,国際的に様々な方法論と手法が選択されている.しかし,その方法論は国際的に明確なコンセンサスが得られておらず,より戦略的な摂食嚥下リハビリテーションが展開される必要がある.近年,医療機器の導入や従来の方法を改良することにより,多彩なアプローチが行われるようになっている.今後は,引き続き様々な摂食嚥下訓練の方法について検証を行い,より適切な選択が可能になるように常に最新の知見を入手する必要がある.しかし,方法論は経口摂取を行うための手段であり,介入の目的は対象者のQOL に寄与することである.戦略的に摂食嚥下リハビリテーションに取り組むことによって,より質の高い介入を実現することが重要である.

  • 戸田 淳氏, 永見 慎輔, 福永 真哉
    2018 年 9 巻 2 号 p. 142-148
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/01
    ジャーナル フリー

    言語流暢性課題は比較的簡便に実施できることから,認知症のスクリーニング検査として多くの医療・福祉現場で使用されている.また近年の神経機能画像法の進歩により,課題中の脳活動部位が明らかとなり認知機能との関連が検討されている.結果の解釈においては,想起語数だけでなく語の検索ストラテジーなど,質的側面についての研究も盛んになっている.本稿では,言語流暢性課題の特徴や軽度認知機能障害(MCI)およびアルツハイマー病(AD)患者の成績について概説し,認知症診断における言語流暢性課題の有用性と今後の展望について述べる.

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