メディア・英語・コミュニケーション
Online ISSN : 2436-8016
Print ISSN : 2186-1420
10 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
基調講演
実践報告
  • ~メディアリテラシー教育における発信の学び
    宮原 淳
    原稿種別: 実践報告
    2020 年10 巻1 号 p. 31-45
    発行日: 2020/10/08
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    メディアリテラシー教育における発言の試みとして、筆者の大学4年生ゼミはTOEICのスコアアップ方法をまとめた電子書籍を出版した。学生自身が戦略的に企画し、読者対象を絞り込み、東京からの情報ではなく、「地方」発信であるという特徴をタイトルに掲げるなど、他の商品と差別化を意図した。本稿は、メディアリテラシーの観点で実践内容7段階を提示し、電子書籍出版プロジェクトが自己客観視を重視した上で、広く社会とのコミュニケーションを学ぶプロセスであったことを次の点から総括した。第一に、プロジェクト7段階の全てにおいて、常に他者とのコミュニケーションを実践した。第二に、コミュニケーションの範囲を学生間の限定的なコミュニティからはじめ、就活を経て、新聞掲載など広報へ徐々に拡大し、社会とのコミュニケーションを学んだ。第三に、学習者コミュニティの維持にSlackとTrelloは有益で、共同作業が円滑化した。以上を整理すると、学習者の情報発信はICT環境でより可能になり、教室のような閉鎖的な環境では達成しにくい社会とのコミュニケーションを学ぶ教育効果を引き出すことが可能だと言えるであろう。

  • ~絵本翻訳を通して~
    南津 佳広, 中内 啓太, 杉村 寛子
    原稿種別: 実践報告
    2020 年10 巻1 号 p. 47-60
    発行日: 2020/10/08
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、英語を専門としない学部1年生向けの英語リーディングの授業において、思考力のきっかけとなる推論力を涵養することを目的に導入した絵本翻訳の授業実践について報告する。授業では、まず翻訳の予備演習を行ってから、絵本のテクストのみを打ち出した演習シートを使用して1回目の翻訳を行わせた。この1回目の翻訳では、調査対象とした2クラスのうち、一方をSTから直接TTを作成するグループ(D1)とし、もう一方をSTを手掛かりに解釈したイメージを絵に描かせてからTTを作成するグループ(D2)とした。全体をひと通り翻訳し終えた後、ピア・レビューを行わせた。その後、両グループともに原著の絵を転用した絵付きワークシートを使って同じテクストを再翻訳させ、D1とD2で翻訳における推論操作に差が生じているかどうかを比較分析した。その結果、D2の学生のほうが自由拡充や含憲の導出など、幅広い推論操作を行ってTTを作成していたことが明らかとなった。このことから、あえて非言語的な段階を設定することでより深い推論を促すことができ、ひいては学生の思考力の涵養を促すきっかけづくりができる可能性があることが示唆された。

研究ノート
  • 山本 淳子
    2020 年10 巻1 号 p. 7-29
    発行日: 2020/10/08
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    英語教育にICTを導入する動きが加速している。ICTはその特性から英語のスキルと共に動機づけを高めるとされており、その導入方法と動機づけとの関連についての研究が進められている。しかし急速に進む技術革新を背景に、十分な解明には至っていない。本稿は、CALL、特にモバイルテクノロジーを中心としたMALL(Mobile Assisted Language Learning)を取り入れている大学の英語学習者を対象に、自己決定理論(SDT)の枠組みとWTC(Willingness to Communicate)の概念を取り入れた質問紙調査を行った。研究1では動機づけとeラーニングに対する動機づけとの関連をプレテストとポストテストの結果から分析し、研究2ではサンプルサイズをやや大きくした上で、eラーニング関連の動機とTOEIC IP®スコアの関係を調査した。複数の変量要因に対処するため、両研究において線形混合モデルを活用し、その結果を構造方程式モデリングで検証した。両研究においてWTCが重要な役割を果たしていたほか、内発的動機が有能性の欲求(PC)に直接寄与し、PCが最終的な目的変数(研究1ではeラーニングに対する意欲、研究2ではTOEIC IP®スコア)に直接寄与していることが明らかになった。SDTでは説明ができない結果についても考察を行った。

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