メディア・英語・コミュニケーション
Online ISSN : 2436-8016
Print ISSN : 2186-1420
9 巻, 1 号
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研究ノート
  • 南津 佳広, 杉村 寛子, 工藤 多恵, 金井 啓子
    原稿種別: 実践報告
    2019 年9 巻1 号 p. 57-77
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    2018年 9月 15日に佛教大学二条キャンパスで開催された、本学会第 126 回西日本地区例会のシンポジウム「教育と翻訳通訳〜どのメディアをいかに教育に応用するか.」の概要を報告する。本シンポジウムでは、各パネラーが、教育に翻訳通訳を導入する試みについて、ジャーナリズム論、文学、英語教育、通訳論の立場から報告した。報告内容はどの素材を用いて翻訳通訳を授業で導入しているのか、そして、教育における翻訳通訳の位置付けやその目的や効果などを軸にして、言語教育における様々な側面について問題を提起した。本シンポジウムはこれまでの TILT の流れを受けて各バネラーの報告をもとに、教育における翻訳通訳の裾野を広げ、教育における訳の定義の多様性について議論を重ね、理解を深めることを目的としている。

研究論文
  • An Analysis of Students' Group Discussions
    工藤 多恵, 杉村 寛子
    原稿種別: research-article
    2019 年9 巻1 号 p. 5-23
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    いわゆる書き手が情報を伝達するという意味において、文学テクストはメディアのひとつである。しかし、コンテクストが必ずしも明らかではない文学テクストにおいては、読み手がテクストを根拠とし、自らが持てる知識や経験を踏まえ、コンテクストの構築と修正をくり返す中で、意味は生成されていく。以上のように文学テクストでは読み手ごとに多様な解釈が生まれる可能性があることから、他のメディアとはやや異なった性質を持つ。このような文学テクストの性質に着目し、Ernest Hemingwayの"Cat in the Rain" (1925) を教材とする試行授業を行った。この授業の目的は、グループ・ディスカッションという互いの解釈を評価や検討する機会を与えることで、学生により深い思考を促すことにあった。本研究では、学生の同意のもと、6 グループ(23 人)のグループ・ディスカッションを録音した。その録音スクリプトを、Hanauer (2001)による 9 つのカテゴリーと、筆者らが追加した5 つのカテゴリーに基づき分析した。その上で、それぞれの発言時間を計測し、グループ・ディスカッションの実情を詳細に理解することを試みた。結果、積極的に解釈の共有はされていたものの、筆者らが期待した発展的な解釈に結び付く発言はそれほど多くは見られなかった。また、設問で問われている内容の理解に不要な時間が費やされている一方で、活発な議論に結びついた設問があることもわかり、文学テクストというメディアが、グループ・ディスカッションを通して思考を刺激することが示唆された。

  • 山本 五郎
    原稿種別: research-article
    2019 年9 巻1 号 p. 25-34
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    罵り言葉に関する先行研究の課題の一つは,所謂罵り言葉の定義付けが定まっておらず,分析対象となる表現が一定していないことである。また,Jay (1981), Jay and Janschewitz (2008), Beck (2009), Fin (2017)などをはじめとする多くの先行研究では,fuckshit あるいは bitch のような使用頻度の高い典型的な表現をまとめて扱っているものが多く,個別の表現の意味や用法に焦点があてられることが少なかった。このような背景を踏まえ,本稿では,先行研究では充分に取り上げられてこなかった罵り言葉として crap 及びこれを含む定型表現である cut the crap に注目し,大規模コーパスである Wordbanks Online を用いて語法分析を行った。コーパスから抽出した言語データ及び使用したコーパス検索式(CQL)を提示し,shit などのシノニムと比較しながら,話し言葉における crap 及び crap を含む定型表現の用法上の特性について考察した。

  • マルチモダリティ批判的談話分析の試み1
    井上 みゆき
    原稿種別: 研究論文
    2019 年9 巻1 号 p. 35-55
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では、日本の英会話教室における英会話促進に関するディスコースを検証するため、大手英会話教室の AEON、 ECC、 NOVAのテレビ CM3本を分析する。本研究が適用する理論の枠組みは、主にマルチモダル批判的談話分析(Multimodal Critical Discourse Analysis, MCDA) (Machin & Mayr, 2012)である。テレビ CMで使われた言語及び視覚イメージをそれぞれ分析しながら、一見自然で中立的なイデオロギーと権力の関係を明らかにする。結果として、英語が話せることでその他の体験や感情をも手に入れることが可能だというイデオロギー的な考えが明らかとなった。また、英語が話せる日本人と話せない日本人二つの区別された表象が作り上げられ、序列化されている。そこでは英語が話せる日本人は僅位な立場に位置付けられ、権力が付与されている。

基調講演
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