日本再生歯科医学会誌
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11 巻, 1 号
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原著論文
  • 三上 豊, 隈部 俊二, 岩井 康智
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 11 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/05/08
    ジャーナル フリー
    ヒト間葉系幹細胞(HMS0014)を,コラーゲンゲル(Cellmatrix Type I-A)をスキャホールドとした3次元培養を行い,そこにチタンインプラント体を包埋した.細胞を骨芽細胞様細胞へ分化誘導し,インプラント体周囲にみられる硬組織形成の様相をin vitroで観察および検討した.インプラント体と周囲のスキャホールドの変化を経日的に観察した後,チタンインプラント体は周囲のスキャホールドと一塊として切り出し,樹脂包埋して研磨標本を作製した.また,インプラント体周囲のスキャホールドから凍結切片とエポン超薄切片を作製した.観察の結果,インプラント体表面に骨芽細胞様細胞の接着と石灰化物の沈着がみられた.スキャホールドにおいてはHMS0014細胞はCellmatrixの3次元網状構造を基礎にコラーゲン線維を分泌し,コラーゲン線維に関連する石灰化と細胞外マトリックスのターンオーバーを制御する組織像がみられた.contact osteogenesisとdistant osteogenesisの出現がみられたことにより,インプラント療法におけるtissue-engineering materialとしてのコラーゲンゲルの有用性が示唆された.
  • 菊地 信之, 﨑山 宗紀, 牧村 英樹, 長浜 文雄
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 11 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/05/08
    ジャーナル フリー
    我々は人工軟化根管象牙質を作製し,根管内にナノ化ハイドロキシアパタイト(ナノ化HA)応用したところ,およそ24時間でナノ化HA粒子は自然に根管象牙質内に浸入し,ほぼ未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化したことを報告した.しかし,再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さが経時的にどのように変化するのか解っておらず,またそのような報告も見当たらない.そこで,ナノ化HAの作用によって再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さの経時変化について検討した結果,再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さは時間経過するに従い増加する傾向であることが認められた.このことは,ナノ化HAによって未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化された軟化象牙質が長期間にわたり硬さに変化なかったことは,本来除去すべき軟化象牙質が保存できる可能性を示唆している.
  • 崎山 宗紀, 菊地 信之
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 11 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は完全除去が原則である軟化象牙質を再硬化させ歯質を保存させることである.牛歯歯根を急速脱灰液(K-CX)で根管内より軟化させ,人工軟化根管象牙質を作製し,ナノ化ハイドロキシアパタイト(ナノ化HA)を用いて根管内に応用したところ,人工軟化根管象牙質は未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化したことを報告した.しかし,試料として作製した人工軟化根管象牙質は細菌による感染はない.臨床の場でよくみられる感染根管には多数の細菌がみられるが,その細菌がナノ化HAによる軟化根管象牙質の再硬化にどのように影響を及ぼすか解かっていない.よって,唾液を接触させた人工軟化根管象牙質を作製し,同様にナノ化HAを応用することにした.その結果,唾液を接触させた人工軟化根管象牙質においても未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化が認められた.このことは,細菌の有無に関わらず本来の象牙質の強度を得ることができたことは,今後補綴処置で除去すべき軟化象牙質を保存できる可能性を示唆している.
  • 三島 弘幸, 井上 昌子, 門田 理佳, 服部 淳彦, 鈴木 信雄, 筧 光夫, 松本 敬, 里村 一人, 見明 康雄
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 11 巻 1 号 p. 27-39
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究はメラトニンと象牙質における成長線の周期性との関連を解明し,その作用機序を探ることを目的とした.対照群とメラトニン投与の低濃度群及び高濃度群の3群に分けて実験した.研究は①5日令の歯根形成期の夜間と次の日の6日令の昼間及び②7日令の昼間と次の日の8日令の夜間の試料を用いた.低濃度群では濃染層の幅が広がり,淡染層の幅が狭くなっていた.高濃度群では成長線の間の淡染層は認められなかった. 低濃度群や高濃度群では象牙前質に石灰化球が数多く観察された.メラトニン投与濃度が上昇するにつれて象牙前質中の石灰化球の数と大きさは有意に増加していた.メラトニン投与群では,切歯と臼歯の歯冠象牙質の中央部に新しい成長線が観察された.SEM-EDS分析では,CaとP含有量がメラトニン投与群で増加していた.メラトニンが象牙芽細胞の石灰化周期とコラーゲン分泌周期を促進し,成長線の形成機構に影響されたと考察される.
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