本稿は, これまでの喘息の運動療法に関する研究の方法上の問題点を検討したうえで, 喘息患者に対する運動の効果を検討することを目的とした。
EIAに対する運動効果については否定的報告が多少多いように見うけられるが, これらの報告から対照群がもうけられており, かつ運動種目とEIA誘発方法が類似している報告を抽出すると, 運動群, 対照群ともに改善されなかったとする否定的報告は1編しかみられないが, 運動群のみが改善されたとする肯定的報告は2編みられる。
喘息に対する運動効果については, 対照群のない報告においても, 対照群のある報告においても, 運動が喘息の改善に効果的であるとする報告が多くみられる。
身体諸機能に対する運動効果については, 対照群のない報告では, 運動が喘息患者に好影響を及ぼすことを示唆した報告が多い。しかし対照群のある報告においては, 好影響がみられたとする報告は6編みられるが, 否定的報告は5編みられる。
従って, 今後は本稿で検討したような方法上の問題点を考慮した追加研究が行われる必要があると思われる。
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