北海道某地域住民を対象として, 体脂肪率と他の肥満指標について, 血圧や血清成分値との関連を検討した結果, 以下の結果を得た。
1) 男性では, 体脂肪率, BMI, WHRは50~59歳にピークに達し, その後減少し, 皮下脂肪厚は加齢とともに低下した。女性では, 体脂肪率, BMIは60~69歳で, 皮下脂肪厚は50~59歳でそれぞれピークを示し, 以降減少し, WHRは, 加齢とともに増加した。
2) 体脂肪率と最も相関の強い肥満指標は, 男女ともBMIであり, 体脂肪率とWHR, 皮下脂肪厚との相関性に性差がみられた。
3) BMIは正常域であっても, 体脂肪率において肥満と判定されたり, 体脂肪率では正常域であっても, BMIにおいて肥満と判定される相違例が認められ, 前者は女性が, 後者は男性が多かった。
4) 体脂肪率と血圧との関連は, 収縮期血圧, 拡張期血圧と有意な正相関を示し, BMIと血圧との関連に類似した。
5) 体脂肪率は, 血清HDL-コレステロール値と有意な負相関を得, 血清中性脂肪値, γ-GTP活性値, LPO値, 尿酸値と有意な正相関を示し, さらに男性では血清総コレステロール値, 女性では血糖値と有意な正相関を認めたが, 50歳以上の女性では, 総コレステロール値と有意な正相関を示さなかった。体脂肪率とBMIは, 各血清成分値との有意な関連が類似したが, 体脂肪率の方が, より多くの血清成分値と強い相関性が認められた。
以上の結果から, 体脂肪率は健診時などにおいて, 有用な肥満指標であることが確認された。
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