近年, 生活習慣病の発症は増加傾向にあるため, 従来の健診 (二次予防) から生活習慣の改善による発症の予防 (一次予防) が重要視されるようになった。1999年, 日本総合健診医学会における問診検討委員会はBreslowらのHealth Practice Index (HPI) に代わる新たな10項目の生活習慣 (体重増加, 飲酒, 喫煙, 運動不足, 食生活, 甘いもの, 脂肪分, 塩味, 睡眠不足, 歯磨き) を提唱した。本研究では, これらの項目を用いて生活習慣を点数化 (仮称: Japanese Health Practice Index, JHPI) , 健診結果との整合性を検討し, 一次予防を前提とする生活習慣病予防の指標としての有用性を検討した。
まず, 健診受診者849名 (男性602名, 女性247名) を対象として, 自記式問診票を用いて生活習慣の調査を行い, 各生活習慣問診項目と7つの生活習慣病 (肥満症, 耐糖能異常, 高血圧症, 高脂血症, 低HDLC血症, 高尿酸血症, 肝機能障害) との関連性を男女別に
x2検定を用いて検討した。次に, 各生活習慣問診項目をそれぞれ1点として合計得点を算出し, ROC解析を用いてその有用性を検討した。
JHPIの各項目と合計得点は, 一部の項目において生活習慣病との関連が示唆された。
各ROCより検討したJHPIの有用性は男性では肥満症, 低HDLC血症, 肝機能障害, 女性では肥満症において示唆された。一方, 男性の高脂血症, 高尿酸血症ではAUCは0.5に近く, 女性でも多くの疾患で評価不能であった。
今後, JHPIを生活習慣病予防の指標として確立するためには, コホート調査などによりJHPIの精度・妥当性の検討を深めていく必要があると考えられた。
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