高コレステロール血症の改善は虚血性心疾患の一次予防として最も重要であると考え, トータル・ヘルス・プロモーション・プラン (THP) の実施に伴う食習慣および運動習慣の改善が, 高コレステロール血症の改善に及ぼす影響について調査検討した。
1990年および1991年にTHPを開始し3年間経過を追えた1, 119名 (男性843名, 平均年齢43.9±11.1歳。女性276名, 平均年齢42.4±10.5歳, 製造業72%) の中で, 初回に高コレステロール血症 (総コレステロール値220mg/d
l以上) が認められた193名 (男性150名, 平均年齢47.7±9.1歳, 女性43名, 平均年齢47.1±9.5歳) を対象とした。
二元配置分散分析の結果, 食習慣の改善が総コレステロール値の改善に効果的であったが (
p=0.046) , 運動習慣の改善は総コレステロール値の改善に効果があるとはいえなかった。また, 食習慣と運動習慣の間には交互作用 (相乗作用, 相殺作用) はなかった。今回, 高コレステロール血症の人がTHPを実施し食習慣を改善した場合, 総コレステロール値が有意に低下し, 虚血性心疾患の発生率を抑えられたと考えた。
食習慣の改善率は34.1%, 運動習慣の改善率は24.2%であり, THPは食事・運動習慣の獲得および継続面においても有用であったと考えた。食習慣の改善に関しては, 男性と若年の女性に改善率が悪い傾向があり, 特にそれらの層に対する指導および継続面での工夫が必要であると思われた。
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