1992年4月から1995年3月までに, 当センターで健診を受け, 5年後にも当センターを受診した3, 604名 (平均年齢50.9歳) を対象として, 非糖尿病 (空腹時血糖 (FPG) が125mg/d
l/以下かつ糖尿病としての治療を受けていない) から糖尿病 (本論文では, FPG 126mg/d
l/以上をもって糖尿病型とし, 糖尿病治療中である者と合わせて糖尿病と診断) への悪化する率を検討した。スターティングポイントのBody Mass Index (BMI) およびFPGにより対象を区分し, 5年の前後でBMIおよびFPGの変化量の平均と5年後に糖尿病を示した率を算出したところ, 以下の結果が得られた。 (1) スターティングポイントで糖尿病を示した率は4.1% (147/3, 604) であったのに対し, 5年後に糖尿病を示した率は7.1% (257/3, 604) であった。 (2) スターティングポイントのFPGが100mg/d
l~104mg/d
lの2.0%, FPGが105mg/d
l~109mg/d
lの7.7%, FPGが110mg/d
l/~114mg/d
lの18.3%, FPGが115mg/d/
l~119mg/dlの37.7%, FPGが120mg/d
l~125mg/d
lの68.4%が, 5年後に糖尿病を示した。 (3) FPGが100mg/d
l~119mg/d
lの場合には, 5年後に糖尿病を示す率にBMIの各層間で有意差は認められなかった。一方, FPGが120mg/d
l~125mg/d
lの場合には, BMIが24未満の層では5年後に糖尿病を示した率が46.2%であったのに対し, BMIが24以上の層では5年後に糖尿病を示した率は87.1%を示し, この差はマン・ホイットニ検定にて有意なものであった。したがって, FPGが120mg/d/~125mg/d
lでBMIが24以上の場合には, 糖尿病に準じる厳重な管理が必要であると考えられる。
抄録全体を表示