25歳から72歳までの男性398名および29歳から67歳までの女性210名を対象として, 短期人間ドック受診者の体力について検討した結果, 以下のような知見を得た。
1) 全身反応時間, ステツピング, 伏臥上体そらし, 垂直跳び, 左右握力においては, 女性の方が男性よりも体力の低下が大きいことが示唆された。閉眼片足立ちにおいては, 男女ともに加齢減少率が高かった。しかし男性においては, 年齢とVO
2max/wt, 体脂肪率および手指反応時間との間に, また女性においては年齢と身長, 体重および立位体前屈との間に有意な相関が認められなかった。
2) 男女ともに全ての年代でVO
2max/wtの維持目標値を下回る被検者の割合が70~80%みられた。
3) 医学的検査項目の異常値出現率は, 被検者を高体力群と低体力群とに分けた場合, 男性においては有意な差が認められたが, 女性においては有意な差が認められなかった。しかし被検者を肥満群と非肥満群とに分けた場合, 男女ともに有意な差が認められた。さらに体脂肪率とVO
2max/wtを組み合わせて検討すると, 男性においてはNF, NU, OU群の順に有意に高率であり, 女性においては, OU群がNF, NU群に比較してそれぞれ有意に高率であった。従って, 運動指導を行う際には, VO
2max/wtと体脂肪率を総合的に判定することが望ましいと思われた。
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