【目的】本研究は慢性脳卒中片麻痺患者を対象に温熱刺激及び温熱振動磁気刺激が痙縮抑制効果に与える影響を検討することを目的に実施した.【対象】当院外来に通院する慢性脳卒中片麻痺患者5名(男性2名,女性3名,平均年齢75±8.1歳)を対象とした.【方法】治療介入として温熱刺激による治療を3回,温熱振動磁気刺激による治療を5回実施し,治療介入の前後に評価としてPendulum Testにて伸張反射閾値,10 m歩行検査にて歩行速度と歩幅を測定した.【結果】伸張反射閾値の変化率が治療前よりも10%以上上昇した症例は温熱刺激で1症例,温熱振動磁気刺激で3症例であった.歩行速度では10%以上増加した症例は温熱刺激で2症例,温熱振動磁気刺激では5症例全てであり,歩幅では10%以上増加した症例は温熱刺激で1症例,温熱振動磁気刺激で3症例であったが,伸張反射閾値の上昇とは関連が見られなかった.【結語】温熱,振動及び磁気刺激を組み合わせることで温熱単独より痙縮抑制効果がみられる症例はあるが,歩行の改善との関連はなく物理刺激の心理的要因も含めたほかの要因の関与が示唆された.
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