経皮的電気刺激(Transcutaneous electrical nerve stimulation: TENS)は,電極貼付部位や心理面がTENSの効果に影響を与えると報告されている.本研究は電荷量をほぼ同一にした片側肢と両側肢のTENSが健常人に対する実験的疼痛に与える影響と,さらに,不安がこれらに与える影響を明らかにすることを目的とした.本研究のデザインはランダム化クロスオーバー試験とし,健常人21名にState-trait anxiety inventory Y-2(STAIY-2)を測定後,右1チャンネル(channel: ch): 右L3/4皮膚分節領域に1ch刺激,右2ch: 右同領域に2ch刺激,両側2ch: 左右同領域に各1ch刺激の3条件の電極貼付部位に対してTENSを実施した.TENSは30分実施し,TENS前,10, 20, 30分後に右鵞足の圧痛閾値(Pressure pain threshold: PPT)を測定し,PPT変化率に対し反復測定分散分析,多重比較を行った.またSTAIY-2とPPT30分後の変化率との関係をpearsonの相関係数で調べた.10, 20分後のPPT変化率は両側2chと右2chが右1chに対して有意に上昇し(p<0.01),30分後では,両側2chが右1ch(p<0.01)と右2ch(p<0.05)に対し有意に上昇していた.STAIY-2と両側2chPPT変化率にr=-0.44(p<0.05)の相関関係が認められた.両側肢のTENSは片側肢のみのTENSより鎮痛でき,不安がTENSの効果を減弱させる可能性が示唆された.
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