物理療法科学
Online ISSN : 2758-1063
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25 巻, 1 号
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特別講演
  • 竹林 崇
    2018 年 25 巻 1 号 p. 01-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    1990年代,脳卒中後の上肢麻痺に関しては,発症から180日間を過ぎると「プラトー」と呼ばれ,機能回復は困難だと考えられていた.しかしながら,2000年前後にConstraint-induced movement therapy(CI療法)やロボット療法が生活期においても上肢麻痺の改善といった成果を見せはじめたことから,プラトーという概念は徐々に廃れて行き,逆にCI療法やロボット療法のエビデンスは確立されていった.さらに,2000年代後半に入ると,上記のアプローチの効果をより増大するための末梢電気刺激療法などをはじめとした物理療法が台頭し,上記のエビデンスが確立されたアプローチと併用した多角的療法が広く実施されるようになった.本稿では,我々がこれまで研究を実施してきたCI療法の概要と,電気刺激療法はじめとした物理療法とCI療法の臨床試験の結果について提示したいと考えている.

  • 生野 公貴
    2018 年 25 巻 1 号 p. 06-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,多くの基礎および臨床研究により脳卒中後の運動麻痺や痙縮等の病態メカニズム解明に向けた知見がアップデートされている中,電気刺激を含むリハビリテーション介入もより適応を明確化するために洗練される必要があると考えられる.しかしながら,電気刺激の特性を最大限生かしつつ,種々の障害の病態メカニズムにあわせて介入している研究はいまだ少ないのが現状である.我々はガイドラインやランダム化比較対照試験の結果のみを安易に解釈/流用することに注意が必要であり,電気刺激がより効果的かつ適切に使用されていくためには,まず適応となる対象者の詳細な病態分析から仮説検証的に適切なアウトカムをもって効果判定していくプロセスの累積が重要である. 本稿では,脳卒中後生じる運動麻痺,痙縮といった主要な障害に焦点をあてて,その病態メカニズムを分析したうえで,仮説検証的に電気刺激の介入により効果検証を行っている取り組みを提示する.

  • 松尾 英明
    2018 年 25 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    近年の疼痛研究の進歩により,痛みの新たな病態やメカニズムが明らかになり,病期により主となる病態が変化する.組織傷害後早期の急性期では,炎症性疼痛,末梢性感作が主な病態であり,疼痛コントロール,組織修復を促す物理療法を行い,機能障害や活動性低下に対する運動療法を行う必要がある.慢性期の病態は,痛みを伝える神経系の不適応な可塑的変化であり,より複雑な病態に変化する.したがって,複雑化する前に予防する介入が必要である.筆者らが取り組んできた一連の基礎研究により,電気刺激療法(TENS)は,神経障害性疼痛の痛覚過敏に予防的に有効である可能性が示唆されたが,さらなる臨床的検討が必要である.さらに慢性期の痛みに対しては,痛みと運動障害の悪循環を打開できるような物理療法を行い,機能障害や痛み動作の誤学習を是正するような運動療法を行うことが重要であると考える.いずれの病期においても,痛みをコントロールする目的で物理療法を活用し,痛みに伴う運動障害に対する運動療法を行うことが重要と考えている.

  • 大住 倫弘
    2018 年 25 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では,急性期・慢性期の疼痛メカニズムを概説するとともに,それぞれの病期のリハビリテーションに必要なコンセプトをまとめた.急性期では,“末梢性感作”が主たる病態メカニズムであるため,消炎・鎮痛作用のある物理療法と運動療法を実施していくことが必要である.慢性期では,脊髄あるいは脊髄上位レベルでの“中枢性感作”を含んだ病態メカニズムが存在するため,運動機能障害・心理的問題などにも対処しながらリハビリテーションを進める必要がある.いずれにしても,症状から病態メカニズムを推測した上で病期別の疼痛リハビリテーションを計画することが重要となる.

原 著
  • 岡村 和典, 城野 靖朋, 山本 征孝, 江川 晃平, 金井 秀作
    2018 年 25 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,Short Foot exercise(以下,SFex)の習得を促進する目的で随意運動介助型電気刺激装置(以下,IVES)を利用することの有効性を検討する.対象はSFexの経験を有さない健常成人16名とした.対象は従来の方法でSFexの練習を行うコントロール群と,従来の方法に加えIVESを母趾外転筋に適用しながらSFexの練習を行うIVES群にランダムに振り分けた.最大努力のSFex中における母趾外転筋と長母趾屈筋,前脛骨筋,長腓骨筋の筋活動を5分間の練習前後にそれぞれ測定し比較した.IVES群の母趾外転筋の筋活動にのみ,5分間の練習に伴う有意な増加が確認された.また,この変化はコントロール群に比べ有意に大きかった.SFexの習得を促進する目的でIVESを利用することは,足部外在筋による代償を増加させることなく,従来の方法以上にSFex中の母趾外転筋の筋活動を増加させることのできる有効な方法であると考える.

  • 渡 孝輔, 岩下 佳弘, 中村 智明, 飯山 準一
    2018 年 25 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    研究目的は,穏和な全身温熱刺激(systemic mild thermal stimulation, MTS)によるプレコンディショニングが腎IRIに与える効果を確認することである.マウスを無作為に,①MTSを実施せずに偽手術を行った群,②MTSを実施せずに虚血再灌流手術を行った群,③MTS前処置後に虚血再灌流手術を実施した群に分けた.虚血再灌流手術から24時間後に採血,腎を採取して組織学的または分子生物学的手法を用いて分析した.腎IRIによって有意に上昇した血清クレアチニン値はMTSにより有意に低下した(p<0.05).MTSは腎組織の尿細管損傷(p<0.05),TUNEL陽性細胞数(p<0.001)を有意に減少させた.これはcleaved-caspase3の有意な減少(p<0.05)とリン酸化Hsp27の有意な増加(p<0.05)を伴った.この結果はMTSによってHsp27の活性化を増加させることでアポトーシスを抑制することが示唆された.

  • 田中 雅侑, 前重 伯壮, 金指 美帆, 中西 亮介, 藤野 英己
    2018 年 25 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では肺高血圧症ラットの骨格筋におけるミトコンドリア機能障害及び毛細血管退行に対する中周波電気刺激の治療効果を検証した.Wistar系雄性ラットを対照群,モノクロタリンを投与して肺高血圧症を惹起させた群(MCT群),モノクロタリン投与後に下腿後面への中周波電気刺激を実施した群(MCT+ES群)の計3群に区分した.MCT+ES群はモノクロタリン投与2週後から電気刺激を行った.3週間の治療終了後にヒラメ筋を摘出し,解析を実施した.MCT群では対照群に比較して,ヒラメ筋の有酸素性エネルギー代謝に関わる酵素活性(SDH, CS, b-HAD),毛細血管数,PGC-1aタンパク発現量が有意に減少したが, MCT+ES群ではこれらの減少を有意に抑制した.また, MCT群とMCT+ES群の肺重量及び右心重量は対照群に比較して有意に高値を示したが,MCT群とMCT+ES群の間に有意差を認めなかった.これらの結果から骨格筋に対する中周波電気刺激は肺高血圧症の病態に悪影響を及ぼすことなく,骨格筋の有酸素性エネルギー代謝能の低下を抑制することが示唆された.

  • 上野 瑞季, 田中 雅侑, 平山 佑介, 金指 美帆, 松本 智博, 前重 伯壮, 藤野 英己
    2018 年 25 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    心不全の骨格筋では筋萎縮や代謝機能の低下,さらに毛細血管退行などの障害が生じ,運動耐容能の低下が惹起される.一方,レーザー療法は廃用性筋萎縮からの回復を促進することや,骨格筋における血管新生因子の発現を増加させることが報告されており,心不全で生じる骨格筋の変化に効果があると考えられる.そこで,本研究では心不全モデル動物の骨格筋毛細血管退行に対するレーザー照射の効果について検証した.Wistar系雄性ラット(6週齢)を用い,対照群(Cont),心不全群(HF),心不全+レーザー照射群(HF+L)の3群に区分した.心不全により筋線維数に対する毛細血管数比(C/F)比はCont群と比較して有意に低値を示した.一方,心不全による骨格筋障害に対するレーザー療法は骨格筋における血管新生因子(VEGF)の発現を増加させ,血管新生抑制因子(TSP-1)の過剰発現を抑制し,C/F比の低下を抑制した.これらの結果からレーザー療法は心不全に伴う骨格筋の毛細血管退行を抑制することが明らかとなった.

  • 中西 亮介, 平山 佑介, 田中 稔, 小野 紘平, 池治 拓也, 前重 伯壮, 藤野 英己
    2018 年 25 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    神経筋電気刺激(NMES)は筋収縮を誘導し,廃用性筋萎縮を予防することが知られている.一方,パルス磁気刺激(MS)も筋収縮を誘導する方法の一つとして知られているが,NMESとの廃用性筋萎縮に対する予防効果を比較検討した報告はみられない.そこで,本研究では廃用性筋萎縮に対するMSの予防効果を組織学及び分子生物学的手法を用いて,NMESと比較検証した.雄性Sprague-Dawley系ラット15匹を用い,これらを通常飼育を実施した対照群(CON),2週間の後肢非荷重群(HU),後肢非荷重期間中に後肢に介入を実施した群に区分した.介入を実施した群は左側後肢にNMESを実施し(HU+NMES),右側後肢にMSを実施した(HU+MS).介入期間終了後にヒラメ筋を採取して,筋湿重量を測定した後にHE染色及び筋線維横断面積(CSA)の測定を行った.また,Western blotting法で筋中のMuRF-1タンパク発現量を測定した.HU+NMES群のCSAとMuRF-1タンパク発現量はHU群と比較して有意差を認められなかった.HU+MS群のCSAはHU群と比較して有意に高値を示した.さらに,HU+MS群のMuRF-1タンパク発現量はHU群と比較して有意に低値を示した.本研究の結果からNMESは不活動に伴う廃用性筋萎縮に対する予防効果を示さなかったが,MSは十分な予防効果を示すことを明らかにした.

  • ─予備的研究─
    中村 潤二, 久我 宜正, 後藤 悠太, 生野 公貴, 武田 和也, 庄本 康治
    2018 年 25 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,大腿骨頸部骨折患者の股関節外転筋への電気刺激療法と課題志向型練習を併用した際の効果を予備的に検討することとした.対象は,大腿骨頸部骨折術後患者とし,準無作為に電気刺激群(ES群)6名,コントロール群6名に割り付けた.両群ともに,歩行能力向上を目的とした課題志向型練習を実施し,ES群は,術側中殿筋への電気刺激を併用して実施した.介入は10セッション行った.評価は介入前後に股関節外転筋力,膝関節伸展筋力,疼痛,Timed up & go test,6分間歩行テスト(6MWT),圧力計式歩行解析装置を用いて歩行パラメータを計測した.介入後にES群は,コントロール群と比較して,術側股関節外転筋力の有意な改善がみられ,6MWTの改善傾向がみられた.ES群における術側股関節外転筋力の変化量は,歩行速度,術側と非術側の歩幅,ストライド長,6MWTの変化量との間に強い有意な相関がみられた.大腿骨頸部骨折患者の股関節外転筋への電気刺激と課題志向型練習の併用は,股関節外転筋力や歩行能力を向上させる可能性がある.

  • 前田 貴哉, 吉田 英樹, 原 幹周, 小田桐 伶, 小野 睦
    2018 年 25 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    [目的]腰椎疾患患者の下肢痛に対して経皮的電気神経刺激(TENS)と温熱もしくは寒冷療法を併用施行した場合の即時的な鎮痛効果について検討することとした.[方法]対象は下肢痛を有する腰椎疾患患者37名とし,TENSのみを施行する単独施行群,TENSとホットパックを併用施行する温熱併用群,TENSとコールドパックを併用施行する寒冷併用群に振り分けた.TENSで使用したパルス振幅値は対象者が不快に感じない最大強度とした.介入前後の下肢痛のVASとその変化量,さらにパルス振幅値について比較した.[結果]介入前後のVASは全群で有意な減少を認めた.VASの変化量は温熱併用群で単独施行群より有意に大きい値を示した.パルス振幅値は温熱併用群で他の2群より有意に大きい値を示した.[考察]温熱療法の併用に伴い痛覚閾値が上昇し,TENSのパルス振幅値が増大することで,門制御の作用向上などが生じた可能性が考えられる.

  • ─同一デルマトーム内での比較─
    佐藤 哲也, 高松 昇三, 鮫島 充, 渡邉 由依, 行武 大毅, 徳田 光紀
    2018 年 25 巻 1 号 p. 78-83
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    変形性膝関節症(膝OA)に対する経皮的電気刺激治療(TENS)に関して,同一デルマトーム内で膝関節を通電領域に含む場合と含まない場合の異なる電極貼付部位における運動時痛の鎮痛効果を比較検討した.対象は片側の膝OAで膝痛を呈する女性8名とした.電極貼付部位はデルマトームL3,L4領域内の2ヵ所で,膝蓋骨の上方と内下方,および膝蓋骨の下方と内下方とし,2条件ともに同一のTENSパラメータに設定した.各条件でTENSを実施しない場合(TENSなし)とTENSを実施する場合(TENSあり)で平地歩行と階段昇降を実施し,各々の動作終了後の膝痛の程度をVisual Analog Scale(VAS)で測定した.両条件ともに,VAS値はTENSなしに比べてTENSあり(p<0.01)で有意に減少した.両条件間の比較ではTENS有無のVAS値の変化量に有意差は認めなかった.膝OAの運動時痛に対するTENSは,同一デルマトーム内であれば膝関節を通電領域に含むか否かの電極貼付部位に影響されず同等の鎮痛効果を認めることが示唆された.

症例報告
  • 光武 翼, 小山 総市朗, 坂本 麻衣子, 沖田 光紀, 堀川 悦夫
    2018 年 25 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    機能的電気刺激(FES)の中でも,随意運動介助型FESや傾斜センサ内蔵型FESは,脳卒中片麻痺患者の歩行障害改善への有効性が期待できる.本研究は,この2つのFESを併用することによって,歩行能力が改善し,運動関連領域の活動に変化があるのか検討した.対象者は回復期病棟に入棟した脳卒中患者5名とし,無作為に随意運動介助型FES+傾斜センサ内蔵型FESを用いた歩行練習群(実験群)と随意運動介助型FES+通常歩行練習群(対照群)に分けた.介入期間は2週間とした.介入効果は加速度計を用いた歩行時の身体動揺と,機能的磁気共鳴画像法を用いた随意的な足関節背屈運動時の脳活動で評価した.実験群では対照群と比較して,歩行速度の上昇,歩行時の身体動揺減少を認めた.脳活動は,実験群にのみ介入後に非麻痺側補足運動野(SMA)の有意な活動が認められた.本研究は随意運動介助型FESと傾斜センサ内蔵型FESを併用することで,非麻痺側SMAの賦活とともに歩行時の身体動揺を減少する可能性が示唆された.

短報
  • 西方 智大, 原島 宏明, 森本 祐介, 宮野 佐年
    2018 年 25 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】前十字靭帯(ACL)再建術後患者に対する全身振動刺激(WBV)は,下肢筋力やバランス能力を改善させることが報告されている.本研究の目的は,ACL再建術後患者のバランス能力や下肢筋力に対するWBVの即時効果を検討することである.【方法】当院でACL再建術を行った5例に対し,30秒間のWBV(周波数30 Hz,振幅2 mm)を施行し,その前後で測定を行った.測定項目は,重心動揺総軌跡長(開眼と閉眼での閉脚立位およびフォワードランジ),閉眼片脚立位時間,膝関節伸展筋および屈曲筋筋力とし,患者5例の平均値を算出し,介入前後で比較した.【結果】重心動揺総軌跡長は開眼立位にて有意に減少し,ランジ条件では一定の傾向を示さなかった.閉眼片脚立位時間は5名のうち3名が向上した.膝関節屈曲筋筋力は有意に向上した.膝関節伸展筋筋力は差はなかった.【考察】WBVによる介入前後で開眼立位の重心動揺総軌跡長,膝関節屈曲筋筋力にて有意差を認めたことから,1回のWBVにおいても下肢筋力やバランス能力が即時的に向上する可能性が示唆された.

  • ─ステロイドモデルラットを用いた検証─
    吉川 雅夫, 坂口 顕, 川口 浩太郎, 藤岡 宏幸
    2018 年 25 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,創傷に対する微弱電流刺激(Microcurrent electrical stimulation:MES)の治癒促進効果について,ステロイド投与モデルラットを用いて検証した.対象はSDラット(6週齢36匹)とし, ステロイドを筋肉内投与した後背部に直径8 mmの皮膚欠損を背部に作成した.背部の創に対しては,MESを行わないcontrol群,単相性MESを行う群,二相性MESを行う群に分けて,創の面積を測定した.実験7日目に創傷面積を比較したところ,二相性MES群はcontrol群および単相性MES群より創傷面積が縮小していた.また,組織学的観察では,二相性MESで他よりも多くの上皮化像が認められた.ステロイドはその投与により, 炎症が過剰に抑制されるため,創傷治癒が遷延する.このような難治性創傷に対してMESにより創傷治癒促進効果が認められたことは,ステロイド投与患者が手術を受けた場合など,術創部に対してMESを施行することで,術創治癒の遷延を改善できる可能性があり,術後の後療法の発展に寄与するものと考えられた.

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