平成18年度より薬学6年制教育がスタートし,真に社会の役に立つ医療人としての薬剤師養成が使命となり,質の高い医療人育成のために教育現場のみならず薬局・病院など臨床現場においても改めて教育の重要性が強調されている.薬学教育の質向上のためには,教育方法や効果の検証を行い現場へ還元するための研究活動が必須であるが,薬学領域における “教育研究” は緒についたばかりである.そこで我々は2016年8月に開催された日本薬学教育学会第1回大会において『薬学教育研究,事始め』と題したシンポジウムを実施した.
教育研究において,研究対象は学生など研究者との社会的関係上弱者である場合が多く,十分な倫理的配慮が必要である.そこで本稿では,国や他の医療系学会の指針を参照し,教育研究の倫理的配慮の必要性について言及する.
薬学教育研究の最終目標は,質の高い人材を育成し医療の質向上へとつなげることであり,今後策定されるであろう日本薬学教育学会の研究倫理指針は,薬学教育研究の質を高めるとともに,研究の発展に寄与するものでなければならない.
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