サルコペニアは,筋力と機能の低下を伴う骨格筋量の減少と定義される障害1)であり,サルコ
ペニアは慢性腎臓病(CKD)患者に好発する合併症である1).2010 年の欧州のサルコペニア研
究班の定義を受け,日本サルコペニア・フレイル学会による定義においても「サルコペニアは高
齢期に見られる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度)などの低下により定義され
る」2)とある。さらに血液透析療法は,患者の転倒や骨折,運動障害,依存症,生活の質の低下,
および死亡の重要な予測因子である3 , 4)。一方,サルコペニア診療ガイドラインによると,運動
療法はサルコペニア発症の予防・抑制に対して推奨され,治療法として推奨される。さらに,サ
ルコペニアに対する介入の基本は,運動と栄養の組み合わせであるとしている。それゆえ,サル
コペニアの発生予防に運動療法は,栄養療法とともに中核をなす。本稿ではサルコペニアの予防
における運動療法の現状について言及する。
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