がん治療における化学療法,口腔を照射野に含む放射線療法,および造血幹細胞移植では,有害事象として口腔粘膜障害がしばしば発生する。がん支持療法の国際学会であるMultinational Association of Supportive Care in CancerおよびInternational Society for Oral Oncology(MASCC/ISOO)は,システマティックレビューの手法により,2019年から2020年にかけて,「MASCC/ISOO口腔粘膜障害のマネジメントに関する臨床ガイドライン」の改訂版を発表した。さらに,総括の概要について,日本語の公式翻訳版も発表された。しかし,国際的なガイドラインであるが故に,日本での非承認薬あるいは適応外使用について言及されている内容が多い。また,総括の概要で,原文に由来する意図が伝わりにくい箇所がある。本稿では,改訂されたガイドラインの内容について紹介するとともに,上述した問題点を念頭に,ガイドラインの総括の概要に記載された内容について詳述した。