日本口腔内科学会雑誌
Online ISSN : 2186-6155
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19 巻, 2 号
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総説
  • 牟田 毅, 二木 寿子, 赤司 浩一, 中村 誠司
    2013 年 19 巻 2 号 p. 35-47
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    造血幹細胞移植は,造血器悪性疾患の長期寛解を可能にする。しかし強力な化学放射線治療による移植前処置により,移植後早期に重症の口腔粘膜障害(oral mucositis:OM)を合併する。さらに好中球減少や細胞性免疫低下に起因する二次感染を合併する。移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)の予防に用いるメソトレキセートもOMの増悪因子である。そのため血液内科医,歯科医師,看護師が協力し,患者教育を含めた総合的な口腔ケアを行うことが非常に重要である。一方,移植後長期間経過後も慢性GVHDの合併により,口腔粘膜の乾燥や疼痛などの症状が遷延する。そのため含嗽や保湿などのセルフケアや,口腔領域の定期健診の重要性が指摘されてきた。今後さらなる医療連携の進展を期待して,造血幹細胞移植後の口腔領域合併症についての最新知見も踏まえて概説する。
症例報告
  • 神部 芳則, 篠崎 泰久, 伊藤 弘人, 草間 幹夫, 松本 直行, 小宮山 一雄
    2013 年 19 巻 2 号 p. 48-53
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    患者は86歳の女性で口蓋の潰瘍を主訴に受診した。総義歯を新しく作成後に潰瘍を自覚したため,義歯の調整を数回行ったが症状の改善はみられなかった。硬口蓋に多発性の潰瘍と発赤を認めた。潰瘍の表面は白色の壊死組織に覆われており,硬結は触知しなかった。CT画像で口蓋の骨破壊はみられず,生検の結果びまん性にリンパ球様細胞の浸潤を認めた。これらの細胞は免疫組織学的にCD3陰性,CD5陽性,CD30陽性,CD56陽性,CD57陰性,EBER1陽性であり病理組織学的にEBV関連T/NKリンパ増殖性疾患と診断した。ステロイドの投与で一時潰瘍の改善を認めたものの,心不全により死亡した。
  • 多木 陽子, 加藤 伸, 飯島 佑斗, 佐藤 英和, 藤田 康平, 山上 淳, 永井 哲夫, 中川 種昭, 角田 和之
    2013 年 19 巻 2 号 p. 54-59
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    尋常性天疱瘡(PV)は粘膜皮膚に発症する自己免疫性水疱形成疾患で成人に好発する。今回われわれは小児に発症したPVの1例を経験した。患者は13歳女児で口唇,舌のびらんを主訴に受診。抗デスモグレイン3抗体のみ陽性の粘膜優位型PVであった。外用ステロイドのみで病勢コントロールが可能であった。既報告例を検討したところ,小児に発症したPVは非常に稀であった。加えて本症例の臨床的な特徴についても考察した。
  • 山下 雅子, 神部 芳則, 小澤 通子, 岡田 成生, 伊藤 弘人, 草間 幹夫
    2013 年 19 巻 2 号 p. 60-65
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    膿原性肉芽腫は皮膚や粘膜に生ずる隆起性肉芽腫性病変で口腔にも発生し,女性に多いと報告されている。本疾患の正確な病態は不明であるが急速に拡大するため鑑別診断が重要である。今回,膿原性肉芽腫の2例を経験したので報告する。症例1:36歳,女性,妊娠9か月,舌背部の有茎性腫瘤。症例2:24歳,女性,妊娠30週,下唇部の有茎性腫瘤。切除術を施行し,病理組織学的に膿原性肉芽腫の診断であった。
  • 小澤 通子, 神部 芳則, 宗正 憲和, 柏崎 明子, 林 宏美, 草間 幹夫
    2013 年 19 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    口腔カンジダ症は,口腔常在菌叢を構成するCandidaによる日和見感染であり,抗癌剤による化学療法,抗菌薬や副腎皮質ステロイド薬の長期投与などがその発症要因となっている。
    口腔カンジダ症は,口腔粘膜の疼痛,灼熱感,味覚異常をその主な症状とし,臨床的には白苔の付着や粘膜の萎縮を認める。しかし,口唇での報告は顎口腔領域では比較的稀である。
    われわれは,口唇の腫脹および発赤を認めた74歳女性,54歳女性,71歳女性の計3例を経験した。
    抗真菌薬により腫脹,発赤,疼痛は消失し,現在,症状の再燃はなく経過良好である。
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