日本口腔内科学会雑誌

総説

全身性疾患の存在を示唆する口腔粘膜症状の重要性

—オラドローム（新しい用語）—

出光俊郎, 梅本尚可, 神部芳則

2022 年 28 巻 1 号 p. 1-11
発行日: 2022年
公開日: 2022/12/30

DOIhttps://doi.org/10.6014/jjsom.28.1

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近年，筆者らは全身性疾患発見のきっかけになる口腔病変を「オラドローム」と呼ぶことを提唱した。実際に口腔粘膜から全身疾患をみていると口腔と全身は密接に関連していることがわかる。口腔病変，あるいは口腔所見と皮膚病変が全身性疾患発見の端緒となりうるなど重要な情報を与えてくれる。本稿では口腔粘膜病変から内科疾患や全身性皮膚疾患を解説する。口腔を丹念に診査することは全身性疾患のスクリーニングとして重要である。

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原著

造血器悪性腫瘍治療後に生じた顎口腔領域の審美・機能障害に対して歯科口腔外科的介入で改善を図った3例

合島怜央奈, 蒲原麻菜, 姫田和広, 檀上敦, 山下佳雄

2022 年 28 巻 1 号 p. 12-19
発行日: 2022年
公開日: 2022/12/30

DOIhttps://doi.org/10.6014/jjsom.28.12

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造血器悪性腫瘍に対しては薬物療法に加えて放射線治療や造血幹細胞移植が治療の中心となる。新規薬剤の導入により治療成績は向上し，長期生存症例も増加している。一方で，治療による併発症によりQOLが低下する症例もある。特に顎顔面領域においては審美障害，咀嚼や構音などの機能障害が生じることがある。今回，造血器悪性腫瘍治療後に生じた顎口腔領域の審美および機能障害に対して手術や補綴治療といった歯科的介入によりQOL改善を図った3例を経験したので報告する。

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症例報告

クロイツフェルト・ヤコブ病患者2例に対する抜歯経験

吉田成緒, 鈴木大貴, 秋山友理恵, 野村武史, 大金覚

2022 年 28 巻 1 号 p. 20-25
発行日: 2022年
公開日: 2022/12/30

DOIhttps://doi.org/10.6014/jjsom.28.20

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クロイツフェルト・ヤコブ病（Creutzfeldt-Jakob disease以下CJD）は，脳の海綿状変性による高度の認知症，ミオクローヌスといった神経機能障害を特徴とする疾患である。プリオン病患者の歯科治療については，感染予防対策に細心の注意を払う必要がある。今回われわれは，感染対策のもと，抜歯を行ったCJD患者の2例を経験したのでその概要を報告する。

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多発性骨髄腫に併発した口唇アミロイドーシスの1例

桒原正浩, 山田有佳, 加藤伸, 中川種昭, 角田和之

2022 年 28 巻 1 号 p. 26-31
発行日: 2022年
公開日: 2022/12/30

DOIhttps://doi.org/10.6014/jjsom.28.26

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アミロイドーシスは，アミロイド蛋白がさまざまな臓器や組織に沈着し，機能障害をきたす原因不明の疾患である。
今回われわれは，多発性骨髄腫に合併した口唇アミロイドーシスの一例を経験した。症例は50歳男性。初診時，上下唇に結節があり，生検にてアミロイドの沈着が確認された。初診より9年経過し，口唇病変に変化は無い。本邦における報告の検討では口腔に生じるアミロイドーシスは舌が多く，口唇での発症はまれであった。

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多発性口腔潰瘍を認めた顕微鏡的多発血管炎の２例

藥師寺孝, 長谷川恵里, 柴野正康

2022 年 28 巻 1 号 p. 32-37
発行日: 2022年
公開日: 2022/12/30

DOIhttps://doi.org/10.6014/jjsom.28.32

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顕微鏡的多発血管炎（MPA）は，抗好中球細胞質抗体（ANCA）が陽性となる全身性血管炎である。今回MPAに伴う多発性口腔潰瘍を呈した2例を報告する。症例1はミエロペルオキシダーゼ（MPO）-ANCA陽性と腓腹神経生検所見からMPAと診断後，口腔内に多発性潰瘍を認めるようになった。症例2は全身性に浮腫を認め，内科で精査中に口腔粘膜に多発性潰瘍を認めた。MPO-ANCAが陽性であったことからMPAと診断された。潰瘍は化学療法後に消失した。口腔内の多発性潰瘍を認めた際には本疾患も考慮する必要がある。

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