膿原性肉芽腫は皮膚や粘膜に生じる単発性の有茎性病変である。成因については不明確であるが,内分泌系の影響,感染,外傷等があげられる。今回われわれは,免疫抑制剤使用により舌縁に多発性に生じた膿原性肉芽腫を経験したので報告する。
症例1:74歳,男性。腫瘍随伴性天疱瘡に対しステロイド療法中だった。舌縁に多発性に腫瘤状病変が出現した。
症例2:42歳,男性。ホジキンリンパ腫に対し同種造血幹細胞移植後に移植片対宿主病(以下,GVHD)予防目的に免疫抑制剤を投与中に舌縁に多発性に腫瘤状病変が出現した。両症例とも切除生検の結果,病理組織学的に膿原性肉芽腫の診断であった。
ステロイドあるいは免疫抑制剤による免疫力低下は,膿原性肉芽腫の発症につながる要因の1つである可能性が示された。
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