皮膚における遅延型過敏反応(DTH)はマウス耳介皮膚にハプテンを塗布して反応を惹起し,耳介の腫脹で評価されている。口腔内で近似した実験系は存在しない。本研究ではマウス舌の厚径でDTHを評価する実験系の作製を目的とした。ハプテンとして2, 4-dinitrochlorobenzene (DNCB)を背部皮膚に塗布して感作し,その後舌表面にDNCBを塗布して反応を惹起した。感作動物ではDNCBの舌塗布後の舌腫脹がより顕著であった。舌粘膜ではCD4
+T細胞,CD8
+T細胞,CD25
+T細胞の浸潤がみられた。mRNAでは,IL-1β,IL-2,IL-6,IL-10,IL-12,TNF-α,granzyme Bの発現が増大したが,IL-4,IFN-γでは増大はみられなかった。この実験系はDTHに特徴的な舌腫脹,T細胞の浸潤様式,サイトカインの発現がみられる系と考えられた。
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