日本口腔内科学会雑誌
Online ISSN : 2186-6155
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ISSN-L : 2186-6147
27 巻, 2 号
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原著
  • 多田 理佐, 三邉 正樹, 秋山 友理恵, 財津 愛, 稲田 潤一郎, 森田 奈那, 浮地 賢一郎, 野村 武史, 河野 通良, 高橋 愼一 ...
    2021 年 27 巻 2 号 p. 43-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜疾患患者は出血や疼痛によりセルフケアが困難となり,口腔衛生状態が不良となりやすい。さらにステロイド治療による口腔内の2次感染が懸念される。これまでに口腔衛生管理の重要性は報告されているが,病勢との関連性を詳細に検討した報告は少ない。本研究では,尋常性天疱瘡(PV)または口腔扁平苔癬(OLP)によりセルフケアが困難となった15名(PV:5名,OLP:10名)を対象に,病勢および口腔衛生状態の評価を行い検討した。PVにおいて,病勢と口腔衛生状態の間に強い相関(r=0.751,P<0.01)が見られた。一方,OLPでは相関を認めなかった(r=0.233,P>0.05)。
    PVでは,口腔衛生管理が病勢の悪化とステロイド治療による2次感染を予防できる可能性があるため,歯科衛生士がPVの急性期に介入することが重要であると考えられた。OLPでは,口腔前庭狭小や患者背景などの増悪因子が口腔衛生管理の有効性に影響を与える可能性があるため,増悪要因の除去と患者個々にあった口腔管理が重要であると考えられた。
  • 大野 清二, 北村 直也, 笹部 衣里, 山本 哲也
    2021 年 27 巻 2 号 p. 52-58
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー
    口腔扁平苔癬(OLP)の発症にC型肝炎ウイルス(HCV)感染が関与しているとの報告が散見される。そこで今回われわれは,HCV感染者に生じたOLPについて臨床的に検討したので報告する。対象は当科にて臨床・病理組織学的にOLPと診断し,HCVに感染している24例(HCV群)で,HCVに感染していない130例(対照群)を対照として,年齢,性別,病変数,発症部位,臨床型,治療効果および癌化率について比較検討した。性別,年齢,病変数および発症部位は両群間に有意差は認められなかったが,HCV群の臨床型は対照群に比べビラン・潰瘍型が有意に多かった。HCV群は対照群に比べ治療効果が優れていたが,再燃例が有意に多く認められた。HCV群の癌化率は8.3%で,対照群の3.8%より高値であった。以上より,HCV群は治療が奏功しやすいが再燃しやすく,さらに癌化率が高いため,長期の経過観察が必要であると考えられた。
  • 酒井 克彦, 森田 奈那, 三邉 正樹, 鶴見 惇, 秀島 能, 松本 祐介, 小松 万純, 本田 健太郎, 野村 武史, 松浦 信幸
    2021 年 27 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル フリー
    超高齢社会である本邦において,口腔カンジダ症患者の増加が予測される。今回,口腔カンジダ症患者の特徴を把握することを目的に,2019年4月から2020年3月までに東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科を受診した口腔カンジダ症患者168名の臨床統計的検討を行った。対象患者の平均年齢は71.1歳で,女性が全体の69.6%を占めた。リスク因子として口腔乾燥,義歯使用など局所的リスク因子を有する症例が多かった。病型は紅斑性が50.0%で最も多く,次いで偽膜性が42.3%を占めた。検出菌は88.3%がC.albicans単独であった。治療効果は23.8%が抗真菌薬の投与が無効であり,17.8%に再発を認めた。口腔カンジダ症は一般的に予後良好であるが,難治例も存在した。詳細な特徴の把握のため,より多施設での調査が必要である。
症例報告
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