牛輸入凍結胚の品質と受胎率および流産率を調べた。輸入凍結胚の総数は970胚で、総受胎率は63,4%であった。輸出国別にアメリカ合衆国524胚、カナダ409胚、オランダ37胚であり、受胎率はそれぞれ66.2、59.9、62.1%であった。凍結保護剤別に、1.4Mグリセロール(Gly)570個、1.4MGly十0.1Mショ糖(Suc)61個、1.5Mエチレングリコール(EG)306個、1.7MEG33個で、受胎率はそれぞれ67.5、52.5、59.2、51.5%であった。1.5MEG処理胚および1.7MEG処理胚において、子宮角深部移植(32.6および15.4%)と浅部移植(63.7および75.0%)の受胎率に有意差が認められ(p<0.05)、子宮角浅部への移植により受胎率が高くなった。子宮角深部への移植は分岐部より10~15cmの深い部位で、子宮角浅部への移植は分岐部より2~4cmの浅い部位におこなった。Gly処理胚の融解後の品質の悪い胚61個の移植部位別受胎率は、子宮角深部移植(48.3%)と浅部移植(25.0%)との間に有意差が認められ(p<0.05)、子宮角深部への移植により受胎率が高くなった。総流産頭数は39頭で、流産率は受胎総頭数の6.3%であった。Gly処理胚の融解後の流産率では、品質良い胚(5.9%)と品質の悪い胚(18.2%)に有意差が認められ(p<0.05)、品質の悪い胚は流産率が高かった。
抄録全体を表示