日本家畜臨床学会誌
Online ISSN : 1883-4604
Print ISSN : 1346-8464
ISSN-L : 1346-8464
30 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 佐藤 忠, 大谷 昌之, 中井 朋一, 佐渡谷 裕朗, 花田 正明, 岡本 明治
    2007 年30 巻2 号 p. 31-38
    発行日: 2007/10/30
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    Difructose anhydride III(以下DFAIII)はフラクトース2分子が結合したオリゴ糖で、ラットでカルシウム(Ca)吸収促進が報告され、ウシの第一胃微生物に分解されにくく、乾乳後期(分娩3週間前から分娩まで)にCa含量の低い配合飼料とDFA IIIを給与すると、分娩時の血中Ca濃度低下が抑制された。そこで、Ca含量の異なる配合飼料とDFAIIIの給与方法および分娩後にこれらの混合剤を経口投与することの有効性について、血中Ca濃度の推移から検討した。また、一般酪農家で、乾乳期DFAIII給与による周産期疾病の予防効果を検討した。乾物中Ca含量0.19%の配合飼料と乾乳後期と分娩後にDFAIIIを給与した第1群の分娩時血中Ca濃度は7.2mg/dlであった。一方、他の2群では、Ca含量1.06%の配合飼料を給与し、乾乳前・後期と分娩後にもDFAIIIを給与した第2群と、乾乳後期のみDFAIIIを給与した第3群における分娩時の血中Ca濃度はそれぞれ7.9と8.0mg/dlであった。とくに、分娩後CaとDFAIIIを経口投与しなかった第3群は、分娩24時間後の血中Ca濃度が7.7±0.7mg/dlと、0、6時間後よりも低下し血中Ca濃度の回復が遅延した。一般酪農家でのDFAIIIの給与試験では、診療頭数に対する低Ca血症と関連した周産期疾病発生率は、 DFAIIIを給与していない対照年が42%対して、DFAIIIを給与した試験年は15.2%に低下した。以上より乾乳期間にDFAIIIの給与、さらに分娩後にCaとDFAIIIの混合剤を経口投与することで、分娩後の低Ca血症を軽減し、関連した周産期疾病の発生率を低下させる可能性が示唆された。
  • 大塚 浩通, 乙丸 考之介, 小岩 政照
    2007 年30 巻2 号 p. 39-44
    発行日: 2007/10/30
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    子牛の肺炎における免疫反応を評価するため、自然発症した肺炎罹患子牛29頭の血清腫瘍壊死因子(TNF)活性と末梢血白血球のポピュレーションを解析した。供試子牛は検査後に死亡した群(1群、n=12)と回復した群(2群、n=17)とに分類した。1群では呼吸困難、発咳やラッセル音などが明瞭に観察された。1群の動脈血pHおよびpO2は2群に比べ有意な低値が認められた。1群の血清TNF活性は2群に比べ高値を示す傾向にあった。1群のCD3+、CD4+およびCD8+T細胞数は、2群に比べ明らかな低値を認めた。またCD3+T細胞数とpO2、血清TNF活性値とCD4+T細胞数との間には有意な相関が認められた。これらのことから子牛の肺炎の病態と血清TNF活性ならびに末梢血白血球ポピュレーションには関連があるものと示された。
  • 森山 直樹, 高木 光博, 大谷 昌之, 宮澤 清志, 宮本 明夫, 松井 基純, 三宅 陽一
    2007 年30 巻2 号 p. 45-50
    発行日: 2007/10/30
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種乳用牛の周産期における血液と乳成分および体重の変動と、分娩後の正常な発情周期回帰時期との関連性について検討した。乳汁中P4濃度の推移から求めた試験牛群の分娩後の正常な発情周期回帰までの日数は43.7±2.2(平均±SE)日であった。各種乳成分と正常発情周期回帰までの日数との間において低乳蛋白率(<3.0%)、低SNF(<8.5%)の牛で発情周期回帰(50.5±3.8日と56.2±5.8日)は有意(p<0.05)に遅れ、低乳脂肪率、低P/F比、低乳糖率の牛で発情周期回帰までの日数は遅れる傾向にあった。さらに、分娩前後の体重減少の程度が非常に大きかった牛(59.1±7.4日)および大きかった牛(41.5±2.4日)ではその程度が小さかった牛(35.9±3.5日)に比べて発情周期回帰までの日数が有意(p<0.01およびp<0.05)に遅れることを認めた。
  • 樋口 貞行, 角田 元成
    2007 年30 巻2 号 p. 51-55
    発行日: 2007/10/30
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    重篤な下痢症に罹患した子牛の救命率を向上させるには下痢症に伴って生ずる電解質・酸塩基平衡異常の改善が重要であるが、黒毛和種子牛に関するこれらの情報は極めて少ない。今回、携帯型の血液ガス分析装置を供試して、生後30日以下の黒毛和種子牛および下痢に罹患している子牛の静脈血の血液ガスおよび血液生化学成分の諸成分を測定した。その結果、健康な子牛では、pHv7.35±0.09、炭酸ガス分圧(PvCO2)60.5±12.5mmHg、総炭酸ガス濃度(tCO2)33.5±3.5mEq/l、重炭酸(vHCO3-)32.5±3.5mEq/l、Na+136.5±2.5mEq/l、K+4.75±0.65mEq/l、Cl-99.5±3.5mEq/l、過剰塩基(Base Excess;BE)7±4mEq/l、アニオンギャップ(Anion Gap;AG)9.35±2.65mEq/l、BUN9±6mg/dl、血糖114.5±29.5mg/dl、ヘマトクリット(Ht)27.55±10.25%、ヘモグロビン(Hb)9.15±3.35g/dlであった。健康な子牛における血液ガスおよびその関連血液成分の測定値は、下痢症に伴う代謝性アシドーシスに陥った子牛の多くの血液成分値との間に明確な相違を示した。子牛の救急診療あるいは日常診療における静脈血液の血液ガス分析は、臨床的な意義が大きく、また本研究における健康な子牛の血.液ガス諸相の測定値は、黒毛和種子牛における静脈血液の基準値になり得るものと考える。
  • 2007 年30 巻2 号 p. 56-58
    発行日: 2007/10/30
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
  • 2007 年30 巻2 号 p. 60-64
    発行日: 2007/10/30
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
feedback
Top