日本家畜臨床学会誌
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32 巻, 1 号
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原著
  • 高橋 純, 大澤 健司, 洲鎌 圭子, 中坪 競顧, 松原 和衛, 三宅 陽一
    2009 年32 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2013/05/16
    ジャーナル フリー
    乳牛へのオブシンク処置におけるPGF2α(PG) 投与から2回目GnRH投与までの間隔を30時間あるいは48時間にした場合の下垂体の反応性および定時授精(定時AI) 後の排卵同期化率、定時AI後早期の胚生存率ならびに妊娠率を比較した。ホルスタイン種経産牛27頭のDay0にGnRH製剤を、Day7にPG製剤をそれぞれ筋肉内投与した。27頭中13頭にはPG投与の30時間後に再度GnRH (2nd GnRH) を投与し(30時間群)、14頭にはPG投与48時間後に2nd GnRHを投与した(48時間群)。定時AI は両群ともに2nd GnRH投与後16時間に行い、その24時間後に排卵の有無を超音波検査で確認した。各薬剤投与時およびAI時に採血し、血中プロジェステロン、エストラジオール-17βおよび黄体形成ホルモン(LH)濃度を測定した。また、両群における定時AI後48時間の胚生存率を超早期妊娠因子活性により算出した。その結果、排卵同期化率、定時AI後48時間の胚生存率および妊娠率は30時間群で84.6%、53.8%および46.2%、48時間群で85.7%、61.5%および50.0%と、両群間に有意差は認められなかった。2nd GnRH投与時の血中LH濃度(基底値) は48時間群(0.99±0.71 ng/ml) の方が30時間群(0.47±0.31 ng/ml) よりも有意(P>0.05) に高いものの、LHの反応性(GnRH投与2時間後のLH濃度から基底値を引いた値)は両群間(30時間群:5.49±3.64 ng/ml;48時間群:7.40±4.10 ng/ml)に有意差はなかった。以上より、PGと2nd GnRH投与の間隔として30時間は48時間の場合と同等の結果が期待できること、いずれの処置においても不受胎の原因の多くは受精障害あるいは定時AI後48時間以内の胚死滅であることが示唆された。
症例報告
  • 三浦 萌, 福田 稔彦, 植木 淳史 , 池ヶ谷 あすか, 池田 亜耶, 阿南 智顕, 竹鼻 一也, 山口 英一郎, 金 檀一, 佐 ...
    2009 年32 巻1 号 p. 8-11
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2013/05/16
    ジャーナル フリー
    4ヵ月齢の黒毛和種牛が、2ヵ月齢時より発症した左後肢の跛行を主訴に来院した。症例は患肢を後方に過伸展し、蹄を着地せずに振り子状に動かす特徴的な歩様を呈していたが、疼痛反応はなく、X線所見においても異常は見られなかった。以上の所見から痙攣性不全麻痺を疑い、脛骨神経切除術を行ったところ、速やかに症状の改善が見られ、その後再発もなく治癒に至った。
  • 佐々木 宏, 渡辺 大作, 小松 咲, 安藤 貴朗, 大塚 浩通, 及川 正明
    2009 年32 巻1 号 p. 12-17
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2013/05/16
    ジャーナル フリー
    14日齢から25日齢まで喘鳴症にて抗生物質と副腎皮質ホルモン剤により治療された31日齢の黒毛和種の雌子牛が、再発により北里大学獣医学部付属動物病院に入院した。入院時、吸気時の喘鳴音、努力性呼吸、食欲不振および運動不耐性がみられた。内視鏡検査により咽喉頭粘膜の充血、左右被裂軟骨の麻痺および右側被裂軟骨の腫脹と内側への変位が認められ、咽喉頭炎と診断した。治療に用いた抗生物質と1日投与量(投与病日:d) は、セファゾリン1g (1-2d)、エンロフロキサシン200mg (3-22d)、リンコマイシン400mg (3-27d)、タイロシン800mg (32-44d)、オキシテトラサイクリン400mg (46-54d)であった。抗炎症剤としてプレドニゾロン20mg(1-5d), 10mg(6-11d), 5mg(12-15d)の筋肉注射、フルニキシン140mg (16-22d)の静脈内投与を実施し、カナマイシン250mgまたはゲンタマイシン50mgと気管支拡張剤の噴霧吸入(1-10d、14-22d)およびポビドンヨードの咽喉頭部塗布(32-54d) を行った。第6病日に喘鳴音の軽減と食欲が回復し、第16病日には採食時以外に喘鳴音が消失し、第54病日に喘鳴音は消失し治癒した。以上より、咽喉頭炎による喘鳴症に対する抗生物質と抗炎症薬の長期投与の有効性が示された。
  • 池ヶ谷 あすか, 小笠原 裕喜, 池田 亜耶, 三浦 萌, 阿南 智顕, 竹鼻 一也, 山口 英一郎, 金 檀一, 佐藤 繁, 山岸 則夫
    2009 年32 巻1 号 p. 18-21
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2013/05/16
    ジャーナル フリー
    11ヵ月齢の黒毛和種雌牛(体重300kg)の頸骨骨折に対して治療を行った。初診時のX線検査で左脛骨骨幹中央部に完全な横骨折が認められ、骨折部は短縮性の縦軸転位を示していた。畜主の了解のもと、緊急避難的に直系2.5mmのキルシュナー鋼線による創外固定とプラスチックキャストによる外固定を実施した。症例はその後順調に回復し、手術後130日には、わずかな懸垂跛を呈したがほぼ正常に歩行できるまで回復した。本症例は、体重300kgの牛の脛骨骨折に創外固定と外固定の併用のみでほぼ治癒に至った稀な症例と考えられた。
技術資料
日本家畜臨床学会シンポジウム報告(日本産業動物獣医学会共催)
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