サブスクリプション型コンテンツ配信サービス,特に急拡大する定額制動画配信(Subscription Video on Demand)サービスにおける消費者行動の分析については,計画的行動理論をはじめとする消費者行動モデルに基づく研究が行われている。しかしながら,調査時点における消費者の将来的な行動意図の推計にとどまっている。そこで,本研究では,行動意図に加え,実際の行動までを実測データとするシングルソースデータを用い,共分散構造分析による消費者の意思決定プロセスの分析を試みる。実際の行動変化の観測データから,行動意図,および行動を因子変数化し,計画的行動理論による消費者行動モデルのマーケティングへの応用の有効性について検討する。
近年,企業で社会的責任に関する取り組みが活発に行われている。制度理論によれば,企業がCSR活動を行う意図は社会に貢献することだけでなく,「社会的正当性」を追求することにもある。企業のCSR活動を同型化プロセスとして捉えた場合,DiMaggio and Powellが提示した強制的圧力,規範的圧力ならびに模倣的圧力の3種類の圧力からCSR活動は発生すると考えられる。本稿ではNestlé S.A.およびUCCグループを事例研究の対象とし,企業のCSR活動に与える影響を企業が採用するビジネスモデルおよび同型化圧力の視点から分析した。その結果,強制的圧力と模倣的圧力は水平分業型ビジネスモデルのほうが強く,規範的圧力は垂直統合型ビジネスモデルのほうが強いという仮説を検証した。