日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
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23 巻
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  • 宮村 定男
    1995 年 23 巻 p. 1-9
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 阿部 春樹
    1995 年 23 巻 p. 10-18
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    コンピューター画像解析による視神経乳頭の定量的な計測が臨床の場で行えるようになった。これに伴い従来のC/D比のみならず,乳頭面積,乳頭辺縁部面積,陥凹面積,陥凹容積などのパラメーターが容易に求められ,緑内障の進行の有無をより正確に知ることができるようになった。さらに走査型レーザー検眼鏡の緑内障眼への臨床応用により,網膜神経線維層欠損や菲薄化の同定,強膜筋状板孔の形態や構築の観察,視神経乳頭およびその周囲の脈絡膜の微小血管造影が可能となった。今後は,これらの新しい検査法の進歩と普及によって,より早期の緑内障の診断とその進行の有無をより正確にかつ定量的に捕らえうるばかりでなく,緑内障の視神経障害メカニズムの解明への応用が期待される。
  • 松井 瑞夫
    1995 年 23 巻 p. 19-24
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 今田 寛睦
    1995 年 23 巻 p. 25-30
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 崎元 卓
    1995 年 23 巻 p. 31-37
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 福山 千代美
    1995 年 23 巻 p. 38-39
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 内田 冴子
    1995 年 23 巻 p. 40-45
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 中村 桂子
    1995 年 23 巻 p. 46-55
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    サイプレジン®麻痺下の屈折検査は小児の視力障害の治療の基本である。弱視や内斜視がある場合はアトロピン®を使用する。3歳以下の乳幼児では正常値より2D以上遠視側の場合に処方を考える。遠視の小児は遠見に比べ近見が見えにくい場合が多く,近距離視力が重要な情報となる。近視は眼鏡処方のみならず生活指導も軽視してはいけない。また眼鏡フレームも小児の顔の特徴を考慮した,安定性と安全性の高いものを薦める。両眼性の弱視は眼鏡装用のみで治りやすく,本人も協力的である。しかし片眼性の弱視は眼鏡装用自体が難しく,弱視治療の対象となる。治療の基本は遮閉法である。アイパッチの貼り方や実施状況の把握には工夫が必要で,常に暖かい励ましが大切である。皮膚のかぶれや心因的なトラブルのある場合はアトロピン遮閉やMoore-Johnson法などの薬物治療も大いに役立つ。不同視弱視は斜視弱視より治りやすいが,治療後に眼鏡をはずすことが習慣化することも多く,長期経過観察が必要である。近年,心因性視覚障害の小児が増加傾向にある。しかし,その診断は慎重に行い,家庭生活の見直し等を指導していくことも大切である。またロービジョン者には残存視力を有効に活用するための拡大鏡や単眼鏡,CCTVなどに実際触れる機会を増やすことが必要である。
  • 臼井 千恵
    1995 年 23 巻 p. 56-60
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    両眼視機能障害には,正常な両眼視機能が成立していない場合と,正常両眼視機能が何らかの理由で妨げられている場合の,二種類がある。前者は先天あるいは乳児斜視と斜視弱視が対象となり,治療には手術による眼位矯正と弱視訓練を行う。後者は後天性の斜視・眼球運動障害あるいは白内障術後などが対象となり,治療にあたっては,症例に必要な検査を各種行い,両眼視の妨げとなるっている要因を発見して対策を考える。
    両眼視機能検査は自覚的検査であり,検者の検査手技や患者の検査に対する理解度などによって結果が多様化するため,患者の答えに惑わされず正確に結果を判定することが大切である。
  • 甲状腺眼症の眼球運動障害
    新井 紀子
    1995 年 23 巻 p. 61-68
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    甲状腺眼症による眼球運動障害は,外眼筋の障害が複数筋に及び,外眼筋麻痺による眼球運動障害と比較して多彩な症状を伴う。本症の眼球運動障害の治療は,薬物療法,放射線療法,手術療法があるが,眼位矯正に終わり複視の残存による日常生活の支障や症状の再発に対する不安感がある。後天性眼球運動障害は中枢性の融像障害がないので,早期に理にかなった視能矯正を行うことを深井は強調している。本編では甲状腺眼症による眼球運動障害30例に積極的な視能矯正を行った。その結果,90%に融像域が獲得でき,眼球運動障害も改善を示した。更に家庭訓練の自己管理指導により,再発の不安を緩和できた。甲状腺眼症の眼球運動障害例に視能矯正は有効であることが判明した。
    このような眼球運動障害や複視という重い視覚障害に,積極的に対峙し,患者を支える事は視能訓練士の使命であると考える。
  • 赤池 なぎさ, 小林 昭子, 斉藤 重子, 小森 敦子, 原沢 佳代子, 遠藤 成美
    1995 年 23 巻 p. 69-75
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    日常で視野異常を自覚しているか否かについて,初めて視野検査した420例を対象に,1年間アンケート調査を行った。とくに緑内障について検討し,以下の結果をえた。
    1) 視野異常を自覚していた例は,緑内障15.5%,視路疾患54.4%,網膜疾患59.2%であり,異常を自覚している割合は緑内障が最も少なかった。
    2) 視野異常を自覚していなかった緑内障125例中72例(57.6%)に,CPSDに異常を認めた。そのうちの,CPSDの最大値は15.93dB,PDでP<0.5%の上半視野欠損を自覚しなかった。
    3) 視野異常を自覚していた緑内障23例のうち,視野異常がなかった1例のCPSDは0.94dB,PDでP<5%の1点の鼻側沈下を認めた。緑内障は,視野異常を自覚することが少ないことから,アンケートで調査することの難しさと,視野検査の重要性をあらためて確信した。
  • 杉浦 ゆかり, 伊藤 あおい, 山崎 直美, 川本 加奈子, 伊藤 志代美, 玉置 明野, 市川 一夫, 田辺 詔子, 深見 嘉一郎
    1995 年 23 巻 p. 76-81
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    社会保険中京病院眼科を1993年7月から12月までに受診した新患6~84才の計700眼を対象として標準色覚検査第3部検診用(SPP-3)を行なった。正常眼では,誤読してもエラーとしない第2表の“5”,第3表の“4”,第4表の“6”以外は誤読はほとんどなかった。
    有病眼では,視力が1.0以上である症例でも誤読する者が疾患別で16.7%~62.5%あったのでSPP-3は視機能検査の予備検査として有用である。
    先天色覚異常者の検出率も十分であった。
  • 沼田 公子, 緒方 真治, 清水 勉, 高木 満里子, 帆足 悠美子
    1995 年 23 巻 p. 82-90
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    色覚異常者の裸眼視力の実態を把握するために,1991~1993年の3年間に熊本県内の13施設を色覚異常の主訴で受診した先天性色覚異常の男子256名について裸眼視力,自覚的屈折,色覚検査について調査を行った。小学1年生,4年生,中学1年生,高校生について裸眼視力1.0以上の頻度および色覚異常者と健常者の裸眼視力の比較を行った。健常者の値には文部省統計疾病被患率を用いた。
    裸眼視力1.0以上の頻度は小学4年生,高校生では色覚異常者のほうが高く,他の学年は差がなかった。特に高校生ではその差は大きく,20%であった。高校生より年長者では色覚異常者のほうが裸眼視力が良い割合が多い可能性が推察された。
    統計学的には中学1年生と高校生で有意の差を認め,高校生で色覚異常者の方が裸眼視力が良好であることがわかった。
    自覚的屈折度の分布は+4.5~-9.0Dであった。
    色覚異常の種類は第1異常25例,第2異常225例,判定不能6例であった。
  • 大島 順子, 田中 俊一, 清水 公也
    1995 年 23 巻 p. 91-99
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    角膜形状解析装置EyeSys社corneal analysis systemを3年間使用した過程で遭遇した,以下の具体的な問題点と解決策について検討した結果,(1)~(5)の結論が得られた。
    (1) 角膜に触れる他の検査との順序を考慮する。
    (2) 涙液層の厚さを適度にするために測定直前に瞬目させる。
    (3) 小瞼裂眼では,眼瞼を無理に開瞼しようとして,眼球に圧迫を加えたり下眼瞼まで引き上げないようにする。
    特に奥目では,紙絆創膏を巻いた綿棒の使用が有効である。
    (4) 測定眼が視力不良の場合,僚眼を遮蔽,またはプラチドリング上にあるマークを利用して固視を誘導する必要が生じる。
    (5) コンタクトレンズ装用眼は,最低1週間の装用中止後の測定が望ましい。
  • 第1報 白内障手術患者における術前角膜乱視の傾向
    石井 雅子, 早川 由里子, 山口 典子, 二宮 登美子, 山岸 広子, 佐久間 敦子, 梶原 紀子, 山口 雅之, 藤井 青
    1995 年 23 巻 p. 100-107
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    1993年6月に日本眼科学会よりだされた屈折矯正手術の適用に関する答申では,2Dを越える角膜乱視が乱視矯正手術の適応となり,また,白内障術後の眼内レンズ挿入眼に有用性が高いとしている。術後により良い視機能を得るために,術前から存在する角膜乱視を評価することは重要であると考える。
    今回我々は,白内障手術を施行した507例,715眼に対し,術前の角膜乱視をオートレフケラトメーター(ARK-2000:NIDEK社)と角膜形状解析装置(TMS-1:Computed Anatomy社)を用い,ケラトメーターでの角膜乱視の推移および,トポグラフィーによる角膜形状解析について検討した。
    結果として,角膜乱視の経年変化は,従来の報告どおり,加齢により倒乱視傾向を示した。しかし,ケラトメーターで直乱視,倒乱視,斜乱視と区別された中には,不正な乱視が多く含まれることが明らかになった。
  • 梅田 千賀子, 中西 高子, 佐藤 彰子, 杉田 慎一郎, 山田 寿一
    1995 年 23 巻 p. 108-112
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    間歇性外斜視の基礎型,開散過多型に対する最大斜視角の完全矯正術を施行した55例の内,再検査またはアンケートによる解答を得る事が可能であった症例について,術後20年の経過を日本弱視斜視学会治癒基準に基づき検討した。
    対象とした症例は術前Orthopticsを施行しており,手術直後には20Δ下の内斜視状態となっているものが多かった。
    経過観察の結果,術後20例に検査可能であった13例は全例において治癒Excellentを満たし,アンケート群14例においても治癒良好とするものであった。以上より,間歇性外斜視の基礎型,開散過多型に対し,最大斜視角を求めてそれを完全矯正する当院の治療法は有効であると考えられる。
  • 岡 真由美, 新井 紀子, 深井 小久子, 木村 久
    1995 年 23 巻 p. 113-117
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    基礎型間歇性外斜視に対してボツリヌス毒素療法を施行し,過矯正眼位が出現した後,良好な治療経過を認めた症例と過矯正眼位が出現せず斜視の再発を認めた症例を比較し,経過良好例よりボツリヌス毒素療法の視能矯正について検討した。
    良好例の治療前眼位は,30ΔX(T)',25ΔXTであった。ボツリヌスを右眼外直筋へ2回注入し,斜視角は減少したが残余角を認めた。第3回目は両眼外直筋に注入し,70ΔET',68ΔETとなったが5か月後4ΔE',4ΔEに改善し,約2年間良好な眼位を保持した。不良例の治療前眼位は,30ΔX(T)',35ΔXTであった。ボツリヌスの注入は,注入量を漸増しながら右眼外直筋に計4回行った。眼位は,6ΔX',6ΔXに改善したが外斜視の再発を認めた。
    ボツリヌスの両眼外直筋への注入により,両眼内直筋のトーヌスが一時的に増強し輻湊が賦活されたため良好な眼位保持が,可能であったと考えられた。
  • 吉川 英子, 阿部 匡代, 萩原 真由美, 野村 代志子
    1995 年 23 巻 p. 118-123
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    弱視治療,網膜対応異常の治療および予防に,新しい緑色の遮閉具アイパッドを試用し,その有用性を検討した。対象は当院で経過観察中の弱視斜視患者で従来のOpticludeあるいはElastopad liteのどちらか一方(両者を一群とし肌色と略す),アイパッド(緑と略す),アイパッチホワイト(白と略す)の計3種を使用することのできた23名にアンケート調査を実施した。
    結果
    1.肌色は粘着力は優れているが,剥がす時の痛みが強かった。白は軟らかく肌触りが良く剥がす時の痛みは少かった。しかし,粘着力は弱く,サイズが大きすぎた。緑はパット部および接着部は軟らかく肌触りが良く,その上剥がす時の痛みが少なかった。しかし粘着力は弱かった。
    2.かぶれは,肌色が60%と一番多く,緑と白では各々8%,4%と少なかった。
    3.次回購入希望の遮閉具はアイパッドの希望が一番多かった。ただし,9歳以上の女児は色が目立ちすぎるとの理由で嫌がった。
  • 谷口 基子, 池淵 純子, 楠部 亨
    1995 年 23 巻 p. 124-130
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    38例の低視力者に近見補助具として拡大鏡の処方を試みた。処方が可能であったのは34例で,その近見視力は0.01~0.5,視野は中心暗点のある者12例,傍中心暗点のある者9例であった。比較的視機能の良好な者は,拡大鏡使用によって新聞を読むことができた。視機能の不良な者も,残存視機能を活用することで僅かながらでも不便さを解消できた。また,処方後の使用状況は,調査できた32例中,毎日使用している者は22例,一週間に数回使用する者は3例,ほとんど使用していない者は7例であった。使用していない例は,比較的視機能の良好な者から不良の者までばらついていた。拡大鏡活用には,残存視機能の程度だけではなく必要性や意欲も影響すると考えられた。たとえ視機能が不良でも,積極的に処方していくことが望まれる。
  • 久保 真奈子, 奈良 浩子, 原田 晴代, 高橋 広
    1995 年 23 巻 p. 131-137
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    北九州市立総合療育センターでは,1991年より,視能訓練士がLow Vision訓練を行っている。その契機となった一症例の3年間の成長過程を報告する。症例は生後5か月時当センターを受診し,視覚障害の影響が大きい精神,運動,言語の発達遅滞と診断された。眼科診断は,左眼は小眼球で義眼を装用し,右眼は朝顔症候群であった。3歳11か月まで当センターの通園部門で療育を受けた。眼科外来でのLow Vision訓練は4歳2か月から行った。この時の矯正視力は0.01であった。ルーペを常用させながら概念形成を促し,6歳1か月より弱視レンズ使用の訓練を行った。7歳現在の矯正視力は0.05,単眼鏡使用にて0.5,ルーペ使用で1.0である。フロスティッグ視知覚発達検査等での評価は訓練開始時に比し向上している。Low Vision訓練は早期に始めることが大切で,当センターの訓練科,指導科の担当者らや幼稚園教諭との連携が必要であることを痛感した。
  • 難波 哲子, 深井 小久子, 早川 友恵, 岡本 料子, 松本 富美子
    1995 年 23 巻 p. 138-143
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    川崎医療福祉大学感覚矯正学科視能矯正専攻課程では,3年次学生を対象に,効果的な視能矯正実習を行う目的でシミュレーションを実施した。
    シミュレーションは,実症例を参考に入力系および統合系視覚障害を設定した。シミュレーション教育の評価は,問題設定から問題解決プロセスまでのレポート作成ならびに発表によって行った。
    シミュレーションの利点は,疾患に対する知識および技術の関連ができたことである。また学生自らが体験学習を通して問題解決能力が向上したことである。
    シミュレーションによる視能矯正実習は,効果的で有用な教育法であることが判明した。
  • Titmus stereo testとLang stereotest
    高木 満里子
    1995 年 23 巻 p. 144-147
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    近見の立体視検査において,検査距離の影響について検討した。
    対象は,3歳から31歳の43症例である。立体視検査には,Titmus stereo test,(T.S.T.)とLang ste reotest (Lang)を用いた。検査距離は,規定距離である40cmと30cmとで検査を行なった。10cmの距離の差の影響は,T.S.T.では51%に認められた。しかし,Langで影響が認められたのはわずか7%に過ぎなかった。
    T.S.T.は,定量性に優れている。それ故に規定距離での検査が重要となる。Langは定量性は小さい。また距離の影響はほとんどみられなかったことからも,従来言われているようにスクリーニングには適している。
  • 丹治 弘子, 河野 美穂, 坂本 章子, 橋本 禎子, 八子 恵子
    1995 年 23 巻 p. 148-152
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    23歳の男性で,視力や眼位に問題がなく,近見立体視検査も良好であるが,深径覚計の三桿法ができず,大型弱視鏡での立体視が(-)であった症例に対し,立体視の向上を目的に両眼視機能訓練をおこなった。
    訓練内容は,実体鏡での家庭訓練とプリズムでの融像性輻湊訓練である。
    訓練の結果,実体鏡での融像はできるが,立体視図形の複数の視差を完全に区別することはできなかった。またプリズムでの融像幅は,はじめ18Δであったが訓練後60Δまで広がった。それにともない大型弱視鏡での立体視も(+)となった。しかし三桿法はバラつきがみられ,良好な成績は得られなかった。
    当初の目的は達成されたが,三桿法にバラつきがみられたことについては,運動性融像との関連が推測された。
  • 酒井 尚子, 新井 紀子, 深井 小久子, 木村 久
    1995 年 23 巻 p. 153-157
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    視能訓練により良好な融像域を獲得した,後天性眼球運動障害例の融像域の拡大経過を障害別に検討した。症例は,機能的障害として後天性上斜筋麻痺5例,機械的障害として眼窩吹き抜け骨折5例である。融像域はバゴリーニ線条鏡による融像野を測定し,拡大経過をパターンで表現した。後天性上斜筋麻痺例の融像域は,訓練前は麻痺筋の診断的むき眼位方向と拮抗する方向にあり,拡大方向は麻痺筋の診断的むき眼位の方向より認められた。眼窩吹き抜け骨折例では,症例による多様性が見られ,一時期に多方向へと融像域が拡大する傾向を認めた。以上のように後天性眼球運動障害は,原因により融像域の拡大経過に異なりが認められた。これは,視能訓練の奏効機序の異なりを示唆するものである。融像域の拡大経過を明らかにすることは,訓練の予後を予測するうえで有用である。
  • 生田 由美, 臼井 千恵
    1995 年 23 巻 p. 158-164
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    硫酸アトロピン及び,塩酸シクロペントレートを用いた際に患者が感じる自覚症状についてアンケート調査を行った。
    硫酸アトロピンを用いた24名のうち,22名(91.7%)がまぶしいと訴え,15名(62.5%)が近くが見にくいと訴えた。まぶしいとの訴えは点眼中止後10日目に,22名中19名(82.6%),近くが見にくいとの訴えは点眼中止後2週間目に,15名中12名(75.0%)が消失した。
    塩酸シクロペントレートを用いた255名では,212名(83.1%)がまぶしいと訴え,189名(74.1%)が近くが見にくいと訴えた。これらの症状は点眼2日目の午後に,各々183名(86.3%),168名(88.9%)が消失していた。
    これらの調節麻痺薬を用いた後,患者が実際に不自由を感じる期間は,他覚的に検討した報告よりもやや短めであることが分かった。今後は,これらのことを考慮して患者に対する説明を行う必要があると思われた。
  • 田辺 由紀夫, 加藤 栄子, 石森 実佳, 福山 千代美, 吉田 泰弘, 小出 千鶴, 中島 裕美
    1995 年 23 巻 p. 165-170
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    眼科外来を受診した小・中学生の保護者を対象に小児の屈折異常等に関するアンケート調査を行なった。
    その結果から,近業⇒近視または仮性近視⇒裸眼視力低下といった図式や近視は治るといった知識が一般に信じられており,屈折異常やその矯正について必ずしも正しい知識が十分に理解されていないことが推測された。背景には,裸眼視力良好を絶対的によしとする風潮や「近視=悪い目」という考え方があるものと考えた。
    今後,正しい知識を普及させるためには,眼科臨床に携わる者が屈折異常に対する正しい認識を持ち,積極的に啓蒙活動を行なうべきであると考えた。
  • 笠井 景子, 村井 亜実, 古川 理子, 杉本 早紀, 初川 嘉一
    1995 年 23 巻 p. 171-176
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    発達遅延のある子供の視力評価について,暦年齢と発達年齢とを比較して視力の検討を行なった。Teller Acuity Cardを用いて,発達遅延児32例59眼,健常児144例260眼の視力を測定した。さらに発達遅延児32例に対し,新版K式発達検査法を用いて発達年齢を算出した。
    発達遅延児の視力は同じ年齢の健常児に比べかなり低い値となった。しかし発達年齢に置き換えて視力を検討すると,健常な子供の視力とほぼ同じものとなった。発達遅延のある子供の視力を評価するには,年齢だけでなく,発達年齢を考慮にいれなければ,正常かどうかの視力評価が行なえないと思われる。
  • 窪田 光男, 植田 有美子, 面田 幸子, 阿部 孝助, 大鳥 利文, 楠部 亨
    1995 年 23 巻 p. 177-181
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    片眼性弱視症例160例に対し健眼に終日完全遮蔽治療を施行し,眼位の変動を調査したところ,8例に5Δ以上の内斜視角の減少が見られた。これらの症例は遮蔽治療開始時に全例20Δ以下の内斜視を伴っており,健眼と弱視眼の屈折値の差が3D以下であった。健眼終日完全遮蔽法により弱視眼の矯正視力は向上し,内斜視角は減少した。治療終了時にはおおまかな両眼視機能を有する微小角斜視の状態になった。これらのことにより遮蔽法による弱視治療中は視力のみでなく内斜視角の変化にも注意する必要があると思われた。
  • 事象関連電位のPattern刺激による試行
    早川 友恵
    1995 年 23 巻 p. 182-190
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    パターン刺激による事象関連電位(Pattern ERP)の脳電図と電位発生源をPattern VEPおよびERPと比較した。Pattern ERP, Pattern VEPは視角30分の市松で,ERPはodd-ball課題(奇数の出現回数)で誘発した。正常人5例ずつの加算データを分析した。Pattern VEPの脳電図は,後頭の皿型陽性帯電(P100),側頭領域の陰性帯電(N145),頭頂領域の陽性帯電(P200)を示した。電源はP100は後頭,P200は頭頂深部領域にあった。ERPの脳電図は,頭頂領域の陽性帯電が2回(P200,P300)出現した。電源はいづれも頭頂深部領域であった。Pattern ERPの脳電図は後頭領域の皿型陽性帯電(P100),頭頂領域の陽性帯電(P200),頭頂領域の陽性帯電(P300)を示した。電源は後頭領域(P100)と頭頂深部領域(P200,P300)に認めた。Pattern ERPにより,Pattern VEPおよびERPの主要成分が観察できる可能性が示唆された。図形覚の情報処理は後頭領域,側頭領域の順にすすみ,大脳深部構造物で認知,判断等の高次処理を行って成立すると考える。
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