ESRを用いて,ガンマ線及び電子線を照射した穀類粉を計測し,照射誘導ラジカルについて明らかにした。試料穀類は小麦と米である。
g=2.0の位置に幅広のsinglet信号を観測した。この信号はsinglet信号とtriplet信号からなり,singlet信号は有機フリーラジカル由来の信号,triplet信号は
14N由来の信号であると推察された。ガンマ線または電子線照射処理された小麦や米の穀類粉のESRスペクトルには違いはなかった。照射により誘導された信号の強度は照射処理量の増加に伴い増加する傾向を示した。緩和時間は照射処理後,時間経過に伴い変化し,T
1は減少し,T
2は増加した。本研究では緩和時間はESR信号から得られるパラメータを用いて算出したが,今後は,pulsed ESRで直接分析することが必要である。
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