土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
62 巻, 2 号
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和文論文
  • 山本 泰幹, 森吉 昭博
    2006 年 62 巻 2 号 p. 286-294
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     鋼床版舗装の縦亀裂に対して,首都圏の最低気温付近でも生じるぜい性破壊現象に着目し,各種混合物のぜい化点付近における引張破壊性状を検討した.この結果,骨材粒度やアスファルトの種類によって混合物の破壊性状が異なるため,載荷条件(荷重・速度)が同じ場合でも,縦亀裂の発生状況が変化することがわかった.そこで,ぜい性領域における縦亀裂の判定法として,混合物の引張破壊ひずみやぜい化点に基づき,舗装表面の発生ひずみを数値的に評価する方法を提案する.本手法は,長期フィールド試験でも良好な結果を得ている.また,新しい混合物や種々の構造形式でも縦亀裂の判定を容易に行うことができるため,これまでになかったぜい性領域における舗装破壊の定量的評価が一般的に可能となる.
  • 石田 眞二, 亀山 修一, 岳本 秀人, 姫野 賢治, 鹿島 茂
    2006 年 62 巻 2 号 p. 295-305
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     歩道の縦断・横断勾配や段差は,車椅子利用者の円滑な移動にとって大きな障害となるが,例え,縦断・横断勾配や段差が小さい歩道であっても,歩道の路面凹凸が大きい場合には,車椅子による走行に負荷が生じる.本研究では,供用中の歩道において測定された縦断プロファイルと車椅子走行トルク測定装置のデータを解析し,車椅子の走行負荷に基づく歩道の路面凹凸評価方法を開発した.さらに,縦断勾配と路面凹凸の形状を変えることが可能な走行路における車椅子走行アンケート調査を解析した結果,本方法によって縦断プロファイルから算出された路面凹凸評価指標と車椅子利用者の評価には強い相関があることが分かった.
  • 三宅 淳一, 松下 博通, 取違 剛
    2006 年 62 巻 2 号 p. 306-319
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     モルタルのコンシステンシーの発現機構を明らかにするために,多様な配合や各種の粒度の細骨材を用いたモルタル試験を行い,ペースト膜および水膜に着目した考察を行った.その結果,モルタルのミニスランプやフローはセメントと骨材粒子を覆う余剰水膜厚に依存し,配合や細骨材粒度に係らず,(余剰水膜厚/セメントおよび細骨材粒子の比表面積平均粒径)を指標にすることにより,一義的に整理できることが判明した.また,セメント・細骨材・粗骨材混合物の実積率試験およびスランプ試験により,コンクリートのスランプ最大となる配合のめやすはそれら3成分混合物の実積率が最大となる配合であり,その時の細骨材率は細骨材・粗骨材混合物の実積率を最大とする値にほぼ一致するとの結論を得た.
  • 山本 武志, 金津 努
    2006 年 62 巻 2 号 p. 320-329
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     セメント硬化体中で生じるフライアッシュのポゾラン反応は,高pH下でCa2+と反応するメカニズムによることを考慮し,フライアッシュのポゾラン反応性を迅速に判定する促進化学試験法としてAPI法の提案を行った.この方法は,普通ポルトランドセメントとフライアッシュを等量ずつ混合した懸濁液を密封容器中で80℃にて18時間反応させ,その懸濁液中で消費されるCa2+量を評価指標とする.JIS A 6201で示されるSiO2含有量の規格値45%以上を満たすフライアッシュを適用した場合,API値(指標)と材齢1年までのモルタル試験で得られた活性度指数の間には良い線形相関(R=0.98)が得られ,API法を適用することにより,ポゾラン反応性の評価とともに活性度指数を迅速に予測できることを明らかにした.
  • 藤田 弘昭, 上原子 晶久, 津村 浩三, 石澤 徹
    2006 年 62 巻 2 号 p. 330-340
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     青森県日本海側におけるRC橋梁の塩害に関する耐久性を調査することを目的に,当該地域沿岸の39橋について87本のコア採取を行い,塩化物イオンの浸透性状を分析した.本調査結果を,全国規模で調査した既往の研究結果,およびコンクリート標準示方書の性能照査のための想定値と比較した.その結果,コンクリート表面の塩化物イオン濃度は,全国規模の調査結果よりも高い値を示していた.さらに,表面の塩化物イオン濃度と海岸線からの距離との関係の影響要因について考察した結果,その関係は川幅(橋長)に影響されることが分った.一方で,塩化物イオンの拡散係数は,調査データのほとんどがコンクリート標準示方書による想定値よりも小さい値となり,耐久性照査の観点からは安全側にあることを確認した.
  • 伊藤 始, 岩波 光保, 横田 弘, 岸添 拓, 石川 靖晃, 久保 全弘
    2006 年 62 巻 2 号 p. 341-355
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     短繊維混入を考慮した鉄筋コンクリート部材の有限要素解析を行う場合,精度の良い結果を得るためには引張側だけでなく,圧縮側のコンクリートの応力-ひずみ関係も適切に与えることの重要性がこれまでの研究で指摘された.そのため,短繊維補強コンクリートの圧縮破壊性状について実験的に検討を行った.実験では,内部にひずみゲージを埋め込んだ円柱供試体を作製し,圧縮破壊させた.その結果,短繊維を混入することで最大応力後に応力が緩やかに低下することが確認された.短繊維は,破壊にともなうひび割れの開口を抑制し,破壊領域での吸収エネルギーを大きくするのに有効に働いた.これらの傾向から短繊維補強コンクリートに適用できる圧縮側の応力-ひずみ関係を提案した.
  • 三田村 浩, 須田 久美子, 福田 一郎, 今野 久志, 松井 繁之
    2006 年 62 巻 2 号 p. 356-375
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     近年,既設鋼床版の疲労損傷事例が報告されており,合理的で経済性に優れる疲労損傷対策工法が求められている.そこで,優れた引張性能を有する高靭性繊維補強セメント複合材料(Engineered Cementitious Composite;ECC)を鋼床版の上面増厚材料とし,ずれ止めにFRP製のプレート型ジベルを用いてECC・鋼床版合成構造とすることで,鋼床版に発生する局所応力を低減し,疲労耐久性を向上させる方法を新たに考案した.ここでは,実物大試験体を用い,局所応力発生部位に着目した要素試験,定点載荷疲労試験および輪荷重走行試験を行い,3次元非線形FEM解析による検討を加えてECC合成鋼床版のせん断伝達機構を明らかにし,提案方法の有用性を示した.また,実橋載荷実験により設計の妥当性を確認した.
  • 武田 三弘, 大塚 浩司
    2006 年 62 巻 2 号 p. 376-384
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/05/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,X線造影撮影によりコンクリート内部に発生している空隙,マイクロクラックおよび初期欠陥等を検出することによって,コンクリート強度の推定を行うものである.強度の推定を行うために,水セメント比の異なる数種類のコンクリート供試体を作製し,X線造影撮影によって得られた透過線量と圧縮強度との関係を求めた.この実験では,コンクリート以外にモルタル,Non-AEコンクリートを用いた実験も行った.また,これらの結果に対して,実コンクリート構造物から採取したコア供試体を用いた強度推定および圧縮試験を行い,精度の確認を行った.
  • 秋山 充良, 伊東 佑香, 鈴木 基行
    2006 年 62 巻 2 号 p. 385-401
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,コンクリート構造物の環境作用に対する性能照査を信頼性理論に基づく限界状態設計法の枠組みの中で実現することを目的とした基礎的研究である.特に沿岸部などの塩害環境下に着目し,塩分の飛来から鉄筋腐食が発生するまでのモデル化に介在する種々の不確定性について,観測・実験データをもとに評価し,耐用期間内に鉄筋腐食が生じる損傷確率を定量化した.次いで,損傷確率を Monte Carlo 法などにより算定することなく,要求レベルに漸近させるために必要な設計かぶりを評価する手法を提示した.これにより,塩害環境やコンクリートの品質に関わらず,鉄筋腐食に対してある一定の損傷確率を有する鉄筋コンクリート構造物の耐久設計が可能となることを示した.
  • 加地 貴, 石井 光裕, 橋本 親典, 水口 裕之
    2006 年 62 巻 2 号 p. 402-415
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     フライアッシュの有効利用と枯渇化する骨材資源対策を目的として,フライアッシュを細骨材の一部と置換する方法で比較的大量に使用したコンクリートについて,フレッシュコンクリート性状に関する実験を行った.その結果,フライアッシュを細骨材の一部に置換することによるコンクリートの配合やフレッシュ性状への影響が明らかになった.さらに,実験結果に水膜モデルを適用することにより,単位水量やブリーディング量と粒子材料表面に形成される水膜厚との関連性を示し,同一スランプのコンクリートではフライアッシュの品質や使用量に因らず,水膜厚が一定となることが明らかになった.
  • 梁 俊, 國府 勝郎, 宇治 公隆, 上野 敦
    2006 年 62 巻 2 号 p. 416-427
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,内部振動機で締め固める通常のコンクリートの締固め性を評価するための試験方法を提案するものである.締固めの進行は,コンクリートのコンシステンシー(スランプ)に応じて定まる型枠中に投入したときの初期密度から,締固めエネルギーによる密度の増大過程であると捉え,相対的な見かけ密度の増大に基づいて締固め性の評価を行った.本文は,締固め性試験方法におけるコンクリート打込み時の初期密度の考え方,試験時の振動加速度の大きさ,スランプ5~15cmの異なる配合のコンクリートについての締固め性,任意の振動締固め時のコンクリートの密度と圧縮強度の関係を検討し,スランプを有するコンクリートの締固め性試験方法を提案したものである.
  • 澤部 純浩, 上田 尚史, 中村 光, 国枝 稔
    2006 年 62 巻 2 号 p. 444-461
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     せん断補強筋の定着不良を生じたせん断破壊するRCはりのせん断耐力の評価法の検討を行い,既往の実験結果および,数値解析を用いてその適用性について検討を行った.その結果,検討した評価法により,斜め引張破壊するはり,せん断圧縮破壊するはりのいずれにおいても,定着不良を生じたせん断補強筋の効果を概ね評価できることが確認された.また数値解析により,定着不良領域や付着強度,供試体寸法を解析パラメータとしてせん断破壊挙動の評価を行った.その結果,せん断補強筋の定着不良の影響は,斜め引張破壊するはりでは,引張側の支点近傍において,せん断圧縮破壊するはりでは,引張側の支点近傍,および圧縮側の載荷点近傍において生じたとき,その影響が構造物全体の挙動に対して支配的であることが確認された.
  • 上野 敦, 國府 勝郎, 宇治 公隆
    2006 年 62 巻 2 号 p. 462-476
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,スラグ細骨材を用いたコンクリートの品質向上を目的として,細骨材の粒子形状および密度に着目して系統的な検討を行ったものである.はじめに,細骨材の粒子形状および密度が,モルタルの流動性およびブリーディングに及ぼす影響を基礎的に評価した.そして,モルタルの流動性向上のための,細骨材の粒子形状に基づく微粒分量などの調整方法を明らかにした.また,モルタルのブリーディング抑制のための,微粒分量およびW/Cの調整方法を明らかにした.次に,これらのモルタルの品質向上のための調整を行うことによる,コンクリートのフレッシュ時から硬化後にわたる品質向上について検証試験を実施し,細骨材の粒子形状および密度に基づく調整が,コンクリートの品質向上に対しても有効となることを明らかにした.
英文論文
  • Bui Khac DIEP, Junichiro NIWA
    2006 年 62 巻 2 号 p. 428-443
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/20
    ジャーナル フリー
    A validity of the existing prediction equations for the ultimate tendon stress in beams prestressed with unbonded tendons was examined by large number of experimental data. The predicted results of tendon stress at ultimate were discussed in terms of several factors that were found important to affect the ultimate tendon stress. A parametric study was performed in order to propose a new prediction equation for computing the tendon stress at ultimate in beams prestressed with internally unbonded tendons. The accuracy of the proposed equation for tendon stress was verified by comparing the predicted results with the experimental results, which were collected in the available literature.
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