土木学会論文集F
Online ISSN : 1880-6074
ISSN-L : 1880-6074
64 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
招待論文
  • 蒔苗 耕司
    2008 年64 巻2 号 p. 148-162
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,土木における情報の意義と役割を見出すことを目的とし,土木情報の構造について考察する.土木情報の構造は,抽象−具体による情報ピラミッドとして表現でき,ライフサイクルは5期に区分できる.土木情報ピラミッドは,土木の理念を頂点とし,政策等を経て,個々の土木構造物に接続する大ピラミッドである.情報技術は,土木情報の時空間構造に対し,取得,情報の表現・加工,予測,投影,ライフマネジメント,運用,人間・社会との情報交換,情報マネジメント,に分類することができ,これらは情報の遅延の解消,建設プロセスの効率化,建設物の品質向上に寄与する.これからの土木情報技術に求められるのは,情報を総体として捉えた情報マネジメントである.膨張する情報を管理・活用し,次世代の土木構造物に生かしていくことが求められる.
和文報告
  • 沼田 佳久, 竹田 茂嗣, 高崎 秀明, 鈴木 啓晋
    2008 年64 巻2 号 p. 163-172
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/05/20
    ジャーナル フリー
     線路上空の人工地盤等を構築する際,基礎杭の施工は線路の間や架空線・ホーム屋根の下など,狭隘で低空頭な作業空間で行われる.このような条件の下,孔壁防護等の補助工法を必要とせず,杭先端部の根固めを行える低空頭先端強化型鋼管杭工法を開発し,その支持力特性を検証した.施工は,改良した小型杭打ち機を用いて,短尺(3.0m以下)の鋼管杭を継ぎ杭方式で削孔・圧入した後,杭の先端よりセメントミルクを噴射し根固めを施すものである.鉛直載荷試験の結果より,施工された鋼管杭は中掘り先端根固め杭に相当する鉛直支持力を確認できた.また,杭先端部の鋼管外周面にセメントミルクを充填することで周面支持力は増大し,中掘り先端根固め杭よりも周面支持力係数の大きい場所打ち杭の算定式と,同等以上の周面支持力を得ることを確認できた.
和文論文
  • 貝戸 清之, 山本 浩司, 小濱 健吾, 岡田 貢一, 小林 潔司
    2008 年64 巻2 号 p. 115-129
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,社会基盤施設を支援する大規模情報システムのアセットマネジメントを目的として,故障の発生確率が時間とともに変動する消耗故障系機器の故障発生過程をワイブル劣化ハザードモデルで表現する.情報システムは多様な機器で構成されている.機器によるハザード率の異質性を考慮するために,ハザード率の異質性を確率変数で表現したランダム比例ワイブル劣化ハザードモデルを提案する.さらに,ハザード率の異質性をガンマ分布で表現するとともに,ハザードモデルに含まれる未知パラメータとハザード率の異質性を推計する方法論を開発する.最後に,高速道路の交通管制情報システムを対象として,実際の故障履歴データから消耗故障系機器の故障発生確率を推計し,本研究で提案した方法論の有効性を実証的に検討する.
  • 小林 潔司, 石原 克治, 田澤 龍三, 徐 飛
    2008 年64 巻2 号 p. 130-147
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,土壌汚染に関する表土調査の結果に基づいて,土壌汚染浄化費用リスクを評価するためのベイズニューラルネットワーク(以下,BNNと略す)モデルを提案する.具体的には,伝統的なニューラルネットワークモデルを用いて,土壌汚染浄化費用モデルを作成する.ついで,ニューラルネットワークモデルをベイズ推計することにより,重み係数の事後確率分布を求める.これにより,土壌汚染に関する表土調査の結果に基づいて,調査対象地点における土壌汚染処理費用の確率分布(土壌汚染浄化費用リスク)を求めるBNNモデルを提案する.さらに,新たに獲得した土壌汚染サンプルを用いて,BNNモデルを更新する方法論も提案する.最後に,土壌汚染浄化費用の実測サンプルを用いてBNNモデルの有効性について実証的に検証する.
  • 斉藤 仁, 黒崎 秀, 高橋 晃, 竹内 友章, 小泉 淳
    2008 年64 巻2 号 p. 173-184
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,大深度トンネルにて施工時に発生するセグメントの損傷の抑制について,Kセグメントの形状やジャッキパターンなどの施工方法に着目して検討したものである.具体的には,施工ステップを模擬した三次元FEMモデルにより,Kセグメントの形状,組立て時のジャッキパターン,およびセグメント同士の力の伝達や変形の拘束をパラメータとした解析を行い,施工ステップごとに生じる応力や変形の程度を比較検討した.検討の結果,損傷の抑制効果のあるKセグメントの形状やジャッキパターンなどの施工方法について,一つの知見を示すものである.
  • 今井 龍一, 青山 憲明, 金澤 文彦, 上坂 克巳, 大石 龍太郎, 櫻井 和弘, 柴崎 亮介
    2008 年64 巻2 号 p. 185-199
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/20
    ジャーナル フリー
     国土交通省では,CALS/ECを推進しており,データ再利用環境の構築を目指した電子納品を実施している.電子納品された成果品が徐々に蓄積されてきている一方で,下流フェーズで利用する情報の引き継ぎやデータの再利用性の向上などの課題が明らかになってきた.これらの課題に対して改善策を検討してきたが,ライフサイクルの観点にたった現状が明らかになっていない状況である.
     本研究は,電子納品を中心にした業務およびデータ流通の現状を分析して問題点を抽出し,適切な改善策を講ずる業務プロセス改善の可視化手法を検討した.この手法に基づき,国土交通省の道路事業を対象に業務分析を行い,具体的な改善案を提言するとともに,本研究で検討した手法の有用性を実証した.
  • 織田澤 利守, 山本 浩司, 青木 一也, 小林 潔司
    2008 年64 巻2 号 p. 200-217
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,機能部と構造部で構成される複合的道路付帯施設の最適補修政策について考察する.機能部の劣化状態は,故障の有無という2値変数で記述される.一方,構造部の劣化状態は複数の健全度で記述される.このような複合施設の維持補修では,予防修繕による構造部の長寿命化政策だけでなく,機能部の同時取替,構造部と機能部の取替のタイミングの同期化政策が重要となる.そこで,構造部と機能部の劣化過程を非斉次マルコフ連鎖モデルで表現するとともに,補修政策と取替タイミングの同期化政策を求める最適補修同期化モデルを定式化し,多数の道路付帯施設で構成されるシステム全体の点検・補修間隔を最適化する方法論を提案する.さらに,道路付帯施設の中から消火施設をとりあげ,最適補修同期化モデルの有効性を実証的に検証する.
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